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アメリカ50州基礎知識

アラバマ(33)

差別の歴史を乗り越え
南部経済発展の中心地へ

『アラバマ物語』で有名な同州は、人種差別の激しい州というイメージが強い。しかし、ディープサウスの中心地のひとつとして、長い伝統と独自の文化を誇り、近年は経済発展もめざましい。

アラバマ共和国を名乗り
南部同盟の中心的存在に

 アラバマという州名を聞くと、真っ先に小説『アラバマ物語』(原題:『To Kill a Mockingbird』)を思い浮かべる人も多いだろう。1930年代、人種差別と戦うため立ち上がった1人の弁護士の物語だが、ここからアラバマ=人種差別の激しい州、と短絡的にイメージしてしまいがちだ。確かにマーチン・ルーサー・キング牧師は同州のバーミンガム市を「米国で最悪の人種差別都市」と呼んだ。公民権運動が激しい63年、同州知事に就任したジョージ・ウォーレスが「今日も差別、明日も差別、永遠に差別」と公言したことはあまりにも有名だ。

 しかし、アラバマはサザンホスピタリティーの地でもあり、ディープサウスの中心地として長い伝統と独自の文化を持ち、州民はこれを誇りに思っている。

 アラバマ州に最初の人類が居住したのは、9000年から1万年前のこと。16世紀からはこの地を舞台に、スペイン人、フランス人、イギリス人による激しい覇権争いが繰り広げられた。1814年、アンドリュー・ジャクソン将軍指揮下の入植軍がインディアンを打ち破ると、入植者が急増。1819年、22番目の州として合衆国に加盟した。しかし1861年、北部連邦を脱退してアラバマ共和国を名乗り、結成直後の南部同盟に加わり中心的役割を演じる。

ヘレン・ケラーから
カポーティーまでを輩出

 同州最大の都市は、南部を代表する工業都市・バーミンガム。鉄鋼業が産業の中心で、石油、石炭、天然ガスの生産も盛ん。一方、農業では大豆、ピーナツ、トウモロコシの生産量が多い。

 同州生まれの有名人には、三重苦を負いながら障害者福祉に貢献したヘレン・ケラー女史、作家のトルーマン・カポーティ、俳優ではコートニー・コックス・アーケットがいる。音楽関係では、「ジャンバラヤ」を大ヒットさせたハンク・ウィリアムズ、ナット・キング・コール、ライオネル・リッチーら。また、生涯本塁打660本を放った野球のウィリー・メイズ、ボクシングのヘビー級チャンピオンのジョー・ルイスらがいる。