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ミスター世界の食文化紀行

"ミスター世界"こと、関根正和さんによる「食」に関するライトハウスの人気コラム。食体験にまつわる楽しい話題や、移民の国アメリカならではの当地のレストラン情報をご紹介します。世界各国の珍しい食材や独特な調理方法、料理の特徴など、読めば新たな発見があるはず!

ミスター世界…世界230以上の国・地域を旅し、本場の食体験と、LA界隈の4000軒以上のレストラン食べ歩きの経験をもとに、食文化評論家として活躍。

ミスター世界
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華的甜品在上海!

ミスター世界(関根 正和)

チャイニーズは値段も安いしおいしいし、早いし、食材の種類がいろいろ食べられて健康にもいいし、家族みんなでいろんな料理を一緒に楽しむことができるし、いいことばかり。でも、もしかして、ひとつだけちょっと不満に思うことがありませんか? そう、デザートです。

フランス料理などにくらべると、食後に食べる甘いものの種類が少ない。 広東料理の店には、おしるこに似た「紅豆沙」や、マンゴー味のプディング、ヤムチャで出てくるゴマ団子などもあることはあるが、だいたいそんなところで、種類が少ないのは否めない。あとは北京系、山東系の店にある、「抜絲」という大学芋に似たデザート(それについては以前書いたことがある)あたりしか見かけない。

日本の中国料理店にいたっては、むかしもいまも、デザートというと判で押したように「杏仁豆腐」か「月餅」しかでてこない。中国のデザートというと、それしかないと思っている日本人も多いのではないだろうか。ところが、上海料理店はちがうのだ。 チャイニーズの甘いものは、上海にあり!華的甜品在上海! たとえば、桂花酒醸圓子 (グイフワチューニャンユァンツ)、酒醸湯丸(チューニャンタンワン)ということもある。発酵させた米から作ったスープ、つまり軽い甘酒のような温かいスープに、ゴマをペーストにしたアンを詰めた白玉団子を浮かべたものだ。

日本の甘酒よりさっぱりとして後口がよく、食後にこころがほっと温まる食べものだ。桂花とは金木犀のことで、その葉が香ばしい。八寶飯(パーバオファン)。モチ米を甘くシロップで煮たもので、いわば中国版おはぎ。龍眼の実や果物のコンポートがちりばめてあり、見た目にも美しく、茹でたあずきの粒やハスの木の実などの食感も楽しい。

これはけっこう腹にドンとくるアイテムなので、デザートというより、食事中にはご飯モノをとらずにいて、最後のコースにご飯モノ兼デザートとして食べることをお勧めする。桂花栗子羹(グイフワリーツガン)。栗をいれた甘いスープ。羹というのはトロトロしたスープ。これも金木犀がはいる。

豆沙鍋餅(ドウシャゴービン)。小麦粉のモチに中にあずきのアンコを入れ、フライパンで焼いたもの。 豆沙酥餅 (ドウシャスービン)。前出のモチを、油で軽く揚げたもの。酥という字は、「サクサクした」という意味で、軽い食感がおなかがいっぱいの食後にぴったりする。

棗泥拉􂢀(ザオニーラーガオ)。蒸したデーツ(なつめやしの実)から作った羊羹。 棗泥鍋餅(ザオニーゴーピン)。なつめやしから作ったペーストを入れたモチ。 そのほかにも豆沙(あずき)や芝麻(ゴマ)を使った甜品が店によっていろいろある。 どうです、どれもちょっと珍しく、食べてみたくなってくるでしょう。

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【上海系(上海市の南にある浙江省や、北にある江蘇省の料理を含む)の店のみわけかたは、店の名や窓のサインなどに「上海」「滬」「浙」「江」「蘇」などの字があること、メニューに小籠包があることなど。それに店員の感じがいい!台湾出身者の店にも上海料理の店が多い】



(2011年6月1日掲載)