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ミスター世界の食文化紀行

"ミスター世界"こと、関根正和さんによる「食」に関するライトハウスの人気コラム。食体験にまつわる楽しい話題や、移民の国アメリカならではの当地のレストラン情報をご紹介します。世界各国の珍しい食材や独特な調理方法、料理の特徴など、読めば新たな発見があるはず!

ミスター世界…世界230以上の国・地域を旅し、本場の食体験と、LA界隈の4000軒以上のレストラン食べ歩きの経験をもとに、食文化評論家として活躍。

ミスター世界
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ひらめとかれい

ミスター世界(関根 正和)

ひらめとかれい。どちらも平たくておいしい。

世界中で食される。

日本では「左ヒラメに右カレイ」と、目のあるところで区別され、「鮃」と「鰈」と字もちがう。中国でもしかり。でも、欧米では、右左は無視しているようだ。

fl ounder、halibut*、plais、soleなどの名前で呼ぶけれど、それぞれ多少違うさかなだったり、ごっちゃになってたり、明確な境界線はないようだ。

ときには、「平たいさかな」fl atfi shと、おそろしくなげやりな呼びかたをされたりもする。

日本では、刺身や寿司ネタとして、さらには煮物などで欠かせないさかなだけど、外国ではどうだろう。

じつは、僕がイギリスに行くと、「いちどは食べたい」といつも思うのがこのさかなたちだ。

「イギリスの食べものはうまくない」、とよく言われるが、そんなことはない。ドーバー海峡のsole(ソール)は、舌触りに独特のむっちり感があり、香りがよく、世界にほこれる食べものだ。

レストランではムニエル(meunière)が定番だが、それ以外にもいろいろな調理方法で出してくれる。

ロンドンにはソールの専門店まであって、2、3度食べに行ったことがあるが、どれを食べてもおいしかった。

北海でとれるpalaisはfish & chipsで食べると最高だ。僕が「あー、イギリスに来てよかった」と思うのは、いつもこれを食べたときである。

意外に身が厚く、フライにすると身がフワッと空気を含んでホカッとしていて、take away(to goのイギリス英語)でこれを買って、夏でも肌寒いイギリスの戸外で食べると、とても心が温まる。

ソールというなまえは、お気づきのように、靴底に似ているところから来ている呼び名だ。

そんなネーミングはこのさかなにたいして失礼ではないかと思うのだが、ドイツ語Seezungeやスペイン語Lenguadoはもうすこしマシで、「舌」という意味だ。ずいぶんデカイ舌だけど。

そう言えば日本でも舌平目と言いますね。

ドイツでは、ハンブルグなど北ドイツの海に面した地域に行くと、やはり北海でとれたSeezunge(正確には「海の舌」)が名物で、えらくうまい。

南ドイツで豚肉やソーセージを毎日食べたあとで北に来ると、さっぱりとしたこの海の幸は、ことのほか味わい深い。

中国はどうだろう。
 
ここでのネーミングは、うってかわって重厚になる。

龍利(ロンリー)。龍のようにするどい(利)ということか。

清蒸全魚、つまりさかなをそのまま蒸してXO醤に浸し、ネギをたっぷり載せた料理は広東料理の定番で、このさかながよく使われる。

これがテーブルに登場したら、ホストが身をさばき、立ち上がってお客さんのお皿に配ったりする光景をよく目にする(高級店ではウェイターがやってくれる)。

このさかなは、海底の砂のなかにもぐって獲物を待っていて、獲物が来ると突然ジャンプして襲いかかるらしい。そういうところから龍利(ロンリー)というなまえがつけられたのではないかと、僕は思っている。これってわりと論理的ですね。

*halibutは日本では「おひょう」と訳されることが多いけど、かれい科のさかなである。

LA&OCではココ!
Sam Woo(三和)
いくつかある三和のなかでも、ここは特に味がいい。小さい店だがいつも混んでいる。
予算:$40
19008 S. Pioneer Blvd., Cerritos
☎562-865-7278
Lunch: Daily 10:00am-3:00pm
Dinner: Daily 3:00pm-12:00am
Open 7 Days

Cafe Stella
シルバーレークの、とても目立たないが、知る人ぞ知る名店。メニューはオーセンティックなパリカフェのメニュー。味もとても満足。Sole Meunièreもある。
予算:$80
3932 W. Sunset Blvd., Los Angeles 
☎323-666-0265 www.cafestella.com
Lunch: Tue-Sun 9:00am-3:00pm
Dinner: Mon-Sat 6:00pm-11:00pm
Sun 6:00pm-10:00pm



(2011年8月1日号掲載)