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ミスター世界の食文化紀行

"ミスター世界"こと、関根正和さんによる「食」に関するライトハウスの人気コラム。食体験にまつわる楽しい話題や、移民の国アメリカならではの当地のレストラン情報をご紹介します。世界各国の珍しい食材や独特な調理方法、料理の特徴など、読めば新たな発見があるはず!

ミスター世界…世界230以上の国・地域を旅し、本場の食体験と、LA界隈の4000軒以上のレストラン食べ歩きの経験をもとに、食文化評論家として活躍。

ミスター世界
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誇れるアメリカ料理・プライムリブ

ミスター世界(関根 正和)

いまイギリスに行く機中でこれを書いている。

イギリスに行くのが楽しみな食べものはいくつかあるが、そのひとつがローストビーフだ。

薄切りのローストビーフに、肉汁から作ったソースをたっぷりかけ、ホースラディッシュをちょっとつけて食べる。

弾力のある中心部分の肉と、周辺部分にある白くてとろけるようなあぶら身と、ちょっと焦げ目のパリッとした表面部分。この三者の舌触りと香りのバランスがいい。

普通のステーキにくらべて柔らかい牛肉のスライスが、ナイフでスッと切れるところが快感でもある。

ジューシーな舌触りとソースのまろやかさ。

ホースラディッシュの、鼻をつんと刺激しながらクリーミーな香り。

そして、ヨークシャープディング。

アメリカの多くのステーキ屋さんならば、ステーキ類のつけあわせはベイクトポテトと決まっているが、このヨークシャープディングは、一見ポテトかなと思うのだがそうではない。

かんたんにいえば、パンの一種、ブリオッシュ。悪くいえば、特大シュークリームに、クリームを入れ忘れちゃったみたいなものだ。

これはあまり外国人には評判がよくないのだが、イギリス人は大好きだ。じつは僕も好きである。

パンの香り。でもパンのようにお腹を満たすのではなく、小麦の焼けた香ばしさだけを取り出した感じで、ソースによくなじむ。

しかし、ローストビーフがおいしいのは、イギリスだけではない。

日本にも、イギリス伝統的ローストビーフのうまい老舗のような店がいくつかある。

多分昭和の初期とかに、カレーをはじめイギリスから食文化がいろいろ入ってきて、日本に根付いたのだろう。

帝国ホテルで食べたイギリス風ローストビーフは忘れることができない。

それだけではない。

もとのイギリス植民地で、イギリスの食文化が根付いている国のひとつ、そう、アメリカである。

アメリカのプライムリブは、基本的にはローストビーフだが、イギリスではフィレなどの部分を使うことが多いのにくらべ、よりあぶら身の多いリブの部分を使うところが少しちがう。肉も厚切りで、得てしてボリュームが多い。

ビバリーヒルズにはLawry'sという老舗の有名店があり、LAを訪れる観光客もいちどは食べてみたいという人も多い。

僕にいわせると、その価値が十分ある店だ。

アメリカが世界に誇ってもいい数少ない特産料理のひとつだと思う。

とくにポイントはそのソースだ。

ソースと書いたが、じつは肉のうまみを凝縮してコンソメ風に煮込んだ肉汁ジュースだ。そのことをアメリカ英語では「au jus」という。

これは、フランス語の「肉汁風」ということばをだれかがまちがえてジュースそのものをさすようになってしまったようだが、ほんとうは「jus」でいいのである。

アメリカ人にはステーキにはバーベキューソースのようなものをドバドバかける人が多いが、あれでは肉の味が隠されてしまう。肉の味そのものを昇華させるジュース、これがいちばんですね。



LA&OCではココ!「予算」は2人分です
Lawry's Prime Rib
おしもおされぬプライムリブの名店。アメリカならではの雰囲気と料理で、日本からのお客さんなどを連れていくのにとてもいい。味は決して期待を裏切らないはず。
予算:$150
100 N. La Cienega Blvd., Beverly Hills
☎310-652-2827 www.lawrysonline.com 
Mon-Fri 5:00pm-10:00pm
Sat 4:30pm-11:00pm
Sun 4:00pm-9:30pm
Open 7 Days

Prime Cut Café
カリフォルニア料理の元祖のひとつで、日系の店。ベニスであいかわらずの人気店。デザートにバナナケーキあり。
予算:$80
1547 W. Katella Ave. #101, Orange
☎714-532-4300 www.primecutcafe.com
Sun-Thu 11:00am-11:00pm
Fri & Sat 11:00am-12:00am
Open 7 Days

(2011年10月1日号掲載)