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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

139) 掃除で繁盛

マーケティング講座

こんにちは! 阪本啓一です。
最もコストのかからない繁盛法です


朝と夕方の習慣

朝起きると書斎の窓際へ向かい、呼吸法を約15分。ちょうど太陽の昇ってくる東向きの窓な
ので、気持ちがスッキリします。出張先のホテルでも実行しています。
 
次に向かうのがお風呂場。シャワーを浴びるためではなく、掃除をするためです。お風呂の汚れを落とす、というよりむしろ、習慣ですね。出張に出る朝であろうと、多少の熱があろうと、毎日欠かしません。無心になって手を動かしていると、仕事のヒントやアイデアがふっと浮かんできたりします。最後は使い古したキッチンペーパーを使って、水滴をきれいにぬぐって乾いた状態にして仕上がりです。
 
呼吸法と風呂掃除、この2つの習慣はここ4年くらいずっと続けています。具体的に何か「良いこと」があるかというと、はっきりしません。よくわからない、というのが正直なところです。しかし、やり続けることが経営やビジネスの上でとても重要なんだろうな、という感じはしています。
 
オフィスでも、掃除はとても重要な業務の1つです。夕方の業務終了後、トイレと床掃除は毎日やります。汚れているから掃除する、というのではなく、ただひたすら掃除することが重要だと考えているのです。トイレに芳香剤は使いません。きれいにしていれば、自然と嫌な臭いはしないだろうという、セルフチェックのためにも使わないようにしているのです。
 
床にはいつくばって掃除していると、小さなクッキーが落ちていたりします。テーブルを拭いていると、これまでなかったはずの場所に傷が付いていたりします(弊社は1つの大きな木机を、社員みんなで使っています)。こういう「小さな気付き」を得ることができるのも、掃除の喜びです。
 
昨日は、玄関の床を水拭きしました。お客様をお迎えするのに、ピカピカの玄関は気持ち良いだろうな、と思ったからです。


掃除で経営改善した町工場

掃除をすることと経営とを直接論理的に結び付けることはできませんが、でも、きれいな会社の経営はうまくいくような気がして、実行してきました。床を磨いていると心が磨かれる、そんな気がしています。そこで、クライアントにも掃除をお勧めしています。そんな中、掃除で経営改善した町工場が存在することを知りました。
 
東大阪にある枚岡合金工具。1949年創業の同社は、金型製作が主力商品です。現社長、古芝保治氏が創業者の父上から経営を引き継いだ翌年(97)、赤字に転落してしまいます。社長、役員報酬をカット、設備投資はしない、昼休みの電気は消す、残業を減らすなど、経費削減に努めました。しかし、そもそも利益率の低い受注が続いているので、抜本的な解決にはつながりません。12人いる社員にもどんよりした空気が流れます。
 
そんな中、ある勉強会で「3S(整理・整頓・掃除)」の考えに出会い、わらをもすがる思いで取り組みます。試行錯誤、社内の反発など色々あったのですが、結果、5年ぶりに見事に黒字回復したのです。
 
整頓の事例は説得力があります。整頓前の同社は、社員1人あたり平均1日30分もモノ探しに費やしていました。社員数が12名なので、1年間では「30分×12名×268日=9万6480分」。即ち1608時間ですから、実に201日をモノ探しにあてていたことになります。1人当たりに換算すると、1年間に130時間、つまり、1カ月の労働時間と同じ。1年間に1カ月、モノ探しというまったく付加価値を生まない時間のために、社員へ給料を支払っていたことになります。
 
一事が万事。整頓・整理・掃除のおかげで、社員のこころが一丸となり、また、工場や事務所がピカピカすることで、より前向きに、仕事へのモチベーションが高まったのです。


お金のかからない経営改善法

クライアントへの最寄り駅からタクシーに乗り、行先を告げると、運転手さんがひと言、「○○さんですか、あそこの工場はいつもきれいで気持ち良いですよね」。私は早速、その言葉を工場で働く皆さんに伝えました。みんな、目が誇らしげに輝いていました。
 
人間は環境の動物。きれいに環境を磨くことで、間違いなく業績も向上します。重要なことは、「誰かの担当」とするのではなく、社長以下全員で取り組むことです。
 
習慣とし、風土にまで定着すれば大きな強みになります。

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(2010年5月1日号掲載)