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ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

142) 論語と算盤

マーケティング講座

こんにちは!阪本啓一です。
徳ある経営をしましょう!


日本資本主義の父 渋沢栄一

私が経営者として、範としている人がいます。渋沢栄一氏(1840 - 1931)です。

キリンビール、サッポロビール、第一国立銀行(第一勧業銀行の前身)、東京ガス、東京海上火災保険、王子製紙、秩父セメント(現太平洋セメント)、帝国ホテル、秩父鉄道、京阪電気鉄道、東京証券取引所など、生涯500以上の事業を興した起業家・実業家としての手腕もさることながら、私が見習いたいと思うのは、経営に向き合う姿勢です。「経済と道徳は、両立できて矛盾するものではない」ということが氏の経営哲学であり、それがずばり『論語と算盤』という著作のタイトルになっています。


利潤動機は有害

「ビジネスは、可能な限り多くの利益を上げることが目的である」

渋沢氏が事業にまい進していた明治時代も、同様のことを言う人は後を絶ちませんでした。しかし、この、利潤を事業の第一優先目的とする「利潤動機」は意味がないばかりか、有害ですらあります。なぜなら、利益は目的ではなく条件に過ぎないからです。利益を目的とすることは、経営の本来の目的であるところの「顧客ニーズの充足」をおろそかにすることにつながります。これは、企業にとっての生命線を絶つに等しい。だから有害なのです。

かのドラッカーも、1973年の著作『マネジメント』の中で次のように指摘しています(上田惇生氏の訳による)。

●企業を利益によって定義し、説明することはできない
●企業とは何かを聞けば、ほとんどの企業人が営利組織と答える。経済学者もそう答える。だがこの答えは、間違っているだけではなく的はずれである
●利潤極大化のコンセプトには意味がない
●(利益は)企業や企業活動にとって、目的ではなく条件である。利益は、企業活動や企業の意思決定にとって、原因や理由や根拠ではなく、その妥当性の判定基準となるものである

渋沢栄一氏は生涯『論語』を座右に置き、経営の指針にしたといいます。それを知って以来、私も毎朝、『論語』の一節を読むことを日課にしています。やはり2500年残るコンテンツは深みがあり、それでいて、読むたび新鮮です。いくつかご紹介しましょう。


論語の言葉から

子曰く 里は仁を美となす 択んで仁に処らざれば いずくんぞ知を得んや
「どんなところに住んでいて も、どんな境遇に置かれようと も、仁徳を心のよりどころにし ていれば間違いはない。仁徳を 磨くことで、人柄も磨かれ、心 身共に豊かである」と解釈して います。「仁徳」の意味は、「人へ の慈愛と自律心」と理解してい ます。人にやさしく、自分に厳 しく、ですね。

子曰く 徳孤ならず 必ず 隣あり
「人は生まれつき誰もが徳を 好むものである。だから徳の備 わった人は、けっして孤独に なることはなく、むしろ人が集 まってくる。隣家と助け合うよ うに、人から手を差し伸べても らえる」

これはお店や会社に置き換え ても理解できます。繁盛してい るところは「自然と人が集まっ てくる」ものです。無理やり集 客の作戦などしなくても。まず、 自らが徳のある経営をすること で、お客様から自発的に集まっ てきて下さるようになる。

子曰く 道に志し 徳に拠り仁に依り 芸に遊ぶ
「理想の経営者は第一に道を 志す。道とは、人として踏み外 してはならない道であり、まず は人道を歩くのだ、というしっ かりとした志を持つ。次に、徳 によって処世する。徳とはやま しいことなく、自分を律し、他 人に害を及ぼさないあり方で ある。第3に、仁、つまり慈愛を もって人に接する。自らの幸福 は他人とシェアする。そして最 後に、趣味を充実させることに よって生活に潤いと豊かさを」

事業で成功するには知識や 技術はもちろん必要ですが、人 間として根っこの部分、つまり 「あり方」を磨くことが重要で す。『論語』を読むことは最良の 「あり方エクササイズ」になり ます。お薦めします!

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(2010年6月16日掲載)