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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

188)顧客に広めてもらうマーケティング

マーケティング講座

こんにちは!阪本啓一です。

「拡散」してもらいましょう!


お裾分け社会

Facebook やTwitter などのソーシャルメディアが普及したため、Share Society(お裾分け社会)とでも言うべき社会が、バーチャルなネット上に形成されつつあります。そこで暮らす生活者が何をシェアするかというと、「この商品(製品・サービス)やお店がいいよ!」という「おすすめする意見」です。

Share Society においては、人の素直な気持ちが優先します。つまり、「友人のおすすめの方を、店の宣伝より信じる」。

いまだに弊社オフィスの入っているマンションのポストには、山ほどのチラシが放り込まれます。見る度、思います。「この店や企業は圧倒的に勉強不足だなあ」と。中に大手新聞社もあるので驚くばかり。新聞紙上では新しい経済について報道しているにもかかわらず。

Share Society でマーケティングも変化せざるを得ません。かつての伝統的マーケティングでは、「ターゲット顧客を定め」「そこに向けて(AT)」「大量にメッセージ(広告)を流す」ことが定石でした。しかし、もはや生活者は「ターゲット」にされたくなんてありません。メールソフトを開くといまだに毎日何通か届くネットショップからの「お得なお知らせ」も、不要です。必要な時には「こちらから」サイトへ行きます。お構いなく。コンビニで買い物するとレジで私は「男性、50代」と「属性」が記録されているのでしょうが、「だから何?」と思わざるを得ません。顧客の属性分析(年代別、世代別、地域別、職業別…)をして、「So what?」です。


前置詞を変える

では、企業としては打つ手はないかというと、もちろんあります。前置詞を変えるのです。
顧客「を」狙う「AT」ではなく
顧客「に」拡散してもらうよう仕掛ける「BY」へ
コツは一つ、拡散されやすくする。

日本でも気のきいたラーメン屋さんのカウンターで「Facebook(Twitter)始めました」といったステッカーを見かけるようになりました。しかし、これはムダです。なぜなら、「店からの情報発信メディア」としか、考えていないからです。その代わり、「写真撮影どんどんしてください」というメッセージにする方が効果的です。なぜか。

お客さんがラーメンを食べます。味やお店を気に入りました。彼女は写真を撮って、ブログに載せます。ブログを書いたら「更新しました」とFacebook やTwitter で広めたくなるのが人情です。「おいしいお店を発見した!」というディスカバリーの喜びは、誰かにシェアしたくなる。そう、お客さんが勝手に拡散してくれるのです。

店としては、次の行動を。写真を撮っているお客さんがいたら、「ブログかFacebookに載せていただけるんですか?」と声をかける。「イエス」なら(ほぼ100%イエスです)、チャーシューを一枚乗っけてあげるなど「ちょっとした感謝の気持ち」を示す(ほんの気持ち、という軽いノリをおすすめします。重いものはNG)。「せっかくですから一緒に写真撮って戴けませんか?」と肩を組む(笑)。ブログ掲載率が上がります。「ブログに載ったらお手数ですが、ご連絡戴けますか?」と店のカードを渡す。カードにはFacebook かTwitter アカウントを。メールアドレスでも構いませんが、お客さんサイドからすれば、アクセスの手軽なのはソーシャルメディアです。

つまり、「写真を撮りたくなるような仕掛け」をしておくのです。ラーメンそのものの「味や顔」が良くなくてはいけませんが、どんぶりに特徴があるとか、水を入れるコップ一つにしても何か店独特のこだわりのデザインを選ぶとか。ベタですが、店の玄関に、日本の観光地でよく見かけるような顔出し立て看板を置くのもいいでしょう。某書店では、天井に鉄腕アトムが飛んでいます(吊り下がっているだけですが…笑)。

「spread(拡散してもらう)」を合言葉に!


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(2012年5月16日号掲載)