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ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

191)企画を通す秘訣

マーケティング講座

こんにちは!阪本啓一です。

企画を通すコツは…

ビジネスは、日々、企画書や見積書を提出する営みともいえます。今日は、その企画書や見積書を「通す」秘訣についてお話ししましょう。


後ろにいる人へ

あなたが見積書を提出し、内容を説明します。目の前の人が最終決済をする場合はまれで、たいていは「よく検討し、できるだけ早いうちにご連絡差し上げます」で商談は終わるでしょう。ここがポイントです。見積書を受け取った担当者は席に戻ると、上司に見積書を見せながら、今度はあなたの代わりに説明します。あなたはこういうこともあろうかと、面談中、丁寧に見積書の内容、たとえば単価の意味や施工項目について説明しました。では、担当者はあなたが説明したのと一語も違えず、文脈も正しく上司に話してくれるでしょうか?まずあり得ない話です。

人間は人の話を聞いて、10のうち1か、せいぜい2を再現できれば良い方で、一番印象に残った部分だけを上司に話します。それが「単価、高いなあ!」という印象だとしたら、そのことだけを話すでしょう。でもその単価は、あなたが頭脳をフル回転させて、「単なる横並び、値段だけの競争から脱したい」思いで練りに練った施工計画のもと叩き出した単価、いうなれば「見積書のツボ」、とんがりです。にもかかわらず、とんがればとんがるほど、相手は「印象=なぜか高い」しか上司に伝えません。

企画書や見積書を通すためには、目の前の担当者の後ろにいる人(上司)に向かって情報が過不足なく伝わるように工夫する必要があるのです。これが秘訣です。


添付書類がコツ

担当者の仕事=報告を楽にしてあげる。そのためには、企画書や見積書で「上司が質問しそうな箇所」について、あらかじめQ&A想定問答集や資料を別添で用意しておきましょう。建材営業の時には、必ず施工計画書と、「私たちに発注するとこれこれのメリットがある!」という、「メリット集」を添付していました。メリットは、私たち(販売施工店と旭化成)ならではのこの工事でやろうとしている創意工夫、工期厳守、豊富な実績による品質の担保、旭化成のネットワークによる情報が得られる…、などです。工事現場は指紋と同じで、一つとして同じものがありません。近隣事情、資材運搬に使える道路事情、あるいは施工困難な箇所(図面からここを見抜き、どう解決するのかが腕の見せどころです)などの個別事情にいかに対処するのか。

あなたがもし不動産エージェントなら、物件の価格だけではなく、近隣の生活圏情報を盛り込んだ手作りの書類を用意しましょう。お客様は、「生活の変化」を買うわけですから、どのような生活の変化が得られるのか、具体的に写真付きで見ることができれば、これに増す説得材料はありません。どんな人が住んでいるエリアなのか、学校は何が特長か、買い物は、ガスステーションは、夜はだいたい何時ごろ周囲が寝静まるのか、朝は何時頃から活動が始まるのか。

私は本の企画書でも、担当編集者が上司や編集会議で問われるであろう質問とその答えを添えておきます。「以前評判になったワン・トゥ・ワンマーケティングとどう違うのか?」「このテーマでほかには類書はないのか?」「あるとしたらそれらの本との違いは?」。


品質を上げる効果

お気づきのように、想定Q&Aを考えていくうちに、色々な気づきが得られます。企画や見積もり内容を見直し、改良を加えることができるのです。つまり、品質を上げるためにも、事前の準備が役に立つのです。

企画も見積もりも、ある「解決」を売ろうというものです。その解決品質を高めるために、色んな角度から内容を見直し、自分たちでケチを付け、問いを立て、答えを見つけましょう。競合社ならここを突いてくるんじゃないか、この価格を自分が受け取ったらどう考えるだろう、など、競合社、顧客の目線でも見直しましょう。

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