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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

196)必要なことをする

マーケティング講座

こんにちは!阪本啓一です。

難しいからこそ!


ついつい

ウェディングハウスを経営している友人から相談を受けました。ここのところ売上が減少している。秋からの結婚式シーズンの受注が芳しくない。友人の相談はここからです。

「で、対策を練るために会議を開いたんだよ。営業担当のプランナーとか、接客する現場のメンバーも全員集めて。出てきたアイデアがね、問題で」。

「つまらないアイデアしか、出ないの?」と、私。

「そうじゃないんだ。アイデアの質は仕方ない。ぼくが問題視しているのは、アイデアを発想する姿勢なんだ」。

「姿勢?」。

話を聞けばこういうことです。社長(友人)の命令で、会議に先立ち、プランナーたちはほかのウェディングハウスを視察し研究してきた。そこで見聞してきたままを真似しようとするらしいのです。

「例えばさ、ある所では席についたらおしぼりが出てきた。うちもおしぼりを出すようにしましょう。また別の所ではお茶を選ぶことができた。コーヒーか紅茶か、ウーロン茶か。じゃあ、うちもそうしましょう。ある所では新郎新婦が来店された後、ご両親にアプローチしている。うちもそれをやってみたらどうか」。

「吸収しようという姿勢、いいじゃない。どこが問題なの?」。

「大いに問題だよ。みんな、『やるべき(必要な)こと』ではなく、『やりやすいこと、やってみたいこと』を言ってるにすぎないからさ。ぼくが問題視しているのは、その姿勢なんだ」。

なるほど、と思いました。ついつい、やりやすいことをやってしまうのが人の常です。でもこれって、どの現場でも日常でやってしまっていることではないでしょうか。


失注に着目する

では、「必要なこと」に気づくにはどうすればいいのでしょう?難しいけれど、取り組む必要があるのは「注文を失った理由の考察」です。B2B(企業間取引)の営業コンサルテーションで私が強調するのは、「受注できなかった時」「これまで発注してくれていた顧客が契約を破棄した時」の理由をしっかり研究すること。購買担当者に「今回はご注文いただけず、とても残念に思っています。社内に持ち帰りまして、努力課題にしたいので、なぜ、今回弊社に発注していただけなかったのか、理由を教えていただけませんでしょうか?」と、ズバリ質問するのです。「価格が合わなかったから」「短納期に対応してもらえなかったから」という、割にわかりやすい理由の場合は要注意。そこで終わってはいけません。「では、いくらなら、私共も土俵に乗ることができたんですか?」「短納期とは、あと何日縮めればよろしいのでしょう?」。

「価格」「納期」という、わかりやすい理由の場合、たいていその奥に、ほかの理由が隠れていることがあるものです。踏み込むことで、営業マンも鍛えられます。


定義を変える


ウェディングハウスの場合も失注を考察する?つまり、「話を聞きに来てくれたけれど、その後何の連絡もくれないお客さん」に、「どうしてですか?」と聞く?…できないことはありませんが、立場を変えれば困難です。「どうして答えなきゃならないんだ?」というのが正直な気持ちでしょう。この点、B2Bは、「主語が自分ではなく会社」なので、自分の意思決定というむき出しの思いを表に出さないでいいため、聞きやすいのです。

そこで想像力の出番。プランナーは、お客さんとのやりとりをしっかり記憶し、どこでどんな反応があったのか、後で検証できるようにする。プランナーの仕事は、受注もさることながら、現状提案できるプランが最適かどうか常に検証することです。そして、企画会議にフィードバックする。「プランが売れた、売れない」ではなく、「プランがなぜ売れたのか、なぜ売れなかったのか」を事実をもとに検証することこそがプランナーの仕事、と再定義するのです。

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(2012年9月16日号掲載)