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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

200)インナー・ブランディング

マーケティング講座

こんにちは!阪本啓一です。

まずは内から


社内をおろそかにしない

ブランドの提供する価値を考える際に重要なことは「誰の、何の満足を提供するのか」というコア・アイデアです。この時、みんなの気持ちは社外に向かっています。そして、同じくらい重要なのに、ついおろそかになってしまうのが「社内」への浸透です。事例でご紹介しましょう。


社内通貨を作る

ネットで出産祝い品を販売しているココレカ(鹿児島県霧島市/www.rakuten.co.jp/cocoleca/
)は「人の喜びの気持ちをつなぐ」ことをブランド価値としています。ヒット商品はバスタオル「Hajimari」。赤ちゃんが生まれた時の身長と名前を刺繍してくれるので、贈られた両親は、赤ちゃんのお風呂上がりなど、バスタオルを使うたびに、「もうこんなに大きくなったんだ…」と喜びを噛み締められます。ギフトを贈る人は、バスタオルというモノを贈るのではなく、「赤ちゃんの成長を喜ぶうれしい時間」を贈るのです。

さて、そんなココレカでは、「喜びの気持ちをつなぐビジネスをやっているのだから、社内も気持ち良くなくっちゃ!」ということで、「仕事を助け合おう」という風土作りがなされています。具体的には、社内通貨「ココレカ」を発行し、人に仕事を頼んだら、そのギャラをココレカで支払うというシステムを運用しています。ココレカをもらった人は、次に自分が誰かに仕事を頼んだ時に、それを使います。例えば、AさんがBさんに助けてもらい、Bさんにココレカを支払ったとします。この時、Aさんはココレカ札の上に自分の印鑑を押し、Bさんにも印鑑を押してもらい、矢印を引きます。これでAさんからBさんに通貨が支払われた記録が残ります。次にBさんがCさんに助けてもらったら、また同じことをします。すると、「A→B→C」というリレーがココレカ紙幣の上に記録されるのです。

実は先日、ココレカを訪問した際、簡単な作業を手伝わせていただきました。「ヘタですね〜」とか言われながら(笑)。その時、スタッフのNさんから、お礼に100ココレカをいただき、うれしかった!

ちなみに、もらったココレカ札は、社内の壁に用意した各自のポケットにしまわれます。だから、誰が一番稼いでいるか、一目でわかります。この透明性も、いいと思います。1ココレカは1日本円と換金できますが、これまで換金されたことはないそうです。社内のなごやかでフラットな空気感、女性ばかり11人の職場なのに派閥もない良い風土は、こんな工夫からも生まれていると思います。


映像を作る

株式会社ハヤシ(鹿児島県鹿屋市)は、創立40周年記念式典の演目として、ビデオを2本制作することにしました。1本はいわゆる社史・会社案内的な内容のもの。もう1本は「40周年記念として、芝生に文字を作る」という社長の無茶ブリ(笑)を題材に、かつての人気番組『プロジェクトX 』風の映像を制作。こういう映像は得てして内輪受けの退屈な内容になりがちですが、違いました。画質の美しさ、音楽のセンスの良さ、編集の鋭さから、てっきりプロの外部業者に依頼したものだと思ったくらいの出来でした。それが何と、社員の手作りと言うから、びっくり。同時に、「楽しんで仕事してるんだなあ」と、組織の温かい素顔を見ました。やらされているだけの人間に、こんなハイレベルな映像は作れません。

林社長は「社員が幸せにならなければ経営する意味がない」とおっしゃっています。インナーブランディングを重視されているから、その成果が出ているのだと思います。ちなみに、映像内で空を飛んで空撮しているのが林社長です。何事にも真剣に取り組む社長の背中を見ました。

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かせると、100万人に届く。』

(日本実業出版社)
定価:1470円(税込)


(2012年11月16日号掲載)