働く
JOB

アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

201)毎日が記念日

マーケティング講座

こんにちは!阪本啓一です。
ハートをつかむのにお金は不要!


何の記念日ですか?

先日、結婚記念日に夫婦だけで1泊2日のミニ旅行としゃれこみました。場所はよくデートしていた神戸。ディナーはネットで評判の良かったイタリアン・レストランに予約の電話をしてみました。電話の対応もよかったので、迷わずそこに決めました。

「お電話ありがとうございます。お席ご用意できます。ところで阪本様、その日は記念日か何かでしょうか?」。

そういえば、この店のサイトに「毎日が記念日というコンセプト」という文章があったことを思い出しました。こう問いかけられると、こちらも照れがなく話せます。

「結婚記念日なんです」。

「おめでとうございます!何回目ですか?」。

「ええと…何回目だったかな…そう、29回目です」。

「それは素晴らしい!ぜひ、何かお手伝いさせてください」。

「えっと、28回目でした。スミマセン。何かサプライズの仕込みができないでしょうか」。

「では、食事の最後、デザートのお皿に感謝の文字を入れる、というのはいかがでしょう?」

ということで、妻への感謝の言葉をデザート皿に描いてもらうことになりました。


甘いものはいらない

当日は、女性スタッフSさんがずっとつきっきりでサーブしてくれました(そういうシステムのお店ではないにもかかわらず)。最高のおもてなしで、食事もおいしく、食器もセンスがよくて、気持ち良く時間は過ぎていきます。

さて、ディナーも終わり、おいしいイタリアワインのボトルも空になりました。Sさんが「デザートなどいかがでしょう?」とさりげなく問いかけてくれました。しかし、そこで事件が起きたのです。

「わたし、甘いもの、いらない。この次、もう一軒行ってまだ飲むから」。

「でも、コーヒーくらい、もらわない?」。

「まだ(お酒を)飲むから、いらない」。

アチャ〜…妻が辛党で、甘いものは食べないのを、予約電話の時も含め、その時まで、失念していたんです(苦笑)。


解決策を持ってくる

妻が、次の場所にいく用意をしに、トイレに立ちました。厨房にいたSさんが飛んできます。ここからがすごい。普通の人なら、「どうしましょう?」です。Sさんは違った。

「今、厨房と相談しました。甘くないゴルゴンゾーラチーズと、いちじくのデザートをご用意しています。それでいかがでしょう?」。

さすがです。客に「どうしましょう?」と投げるのではなく、解決策を持ってきてくれたのです。Sさん、そしてこの店の、「技あり!」です。

妻が戻ってきました。途端、照明が落とされ、BGMと共に、ロウソクの立ったデザートが運ばれてきました。こうなるとさすがの妻も感激してくれました(笑)。

「コーヒーくらい、もらおうよ」。

「もちろん(笑)」。

BGMがまた素晴らしい。さっきまで今どきの若者向け音楽だったのが、サザンオールスターズ『愛しのエリー』に。私たちの年代にとっては「青春の一曲」です。選曲にまで心配りをしてくれている!もうこれで、私たちは完全にノックアウトされました。

「ここ、全部で何人入りますか?お休みはいつですか?」。

次のビジネスパーティーの時はこのお店を貸し切りにしよう、とまで決めてしまっていました。Sさんのおもてなし、デザートの機転。予約電話での男性スタッフのフレンドリーな対応などすべて、彼らにお金は1円もかかっていません。

余談ですが、このお店では手を洗う所が厨房と隣り合わせ。他店でもそういう時、「客には見せない従業員の素顔の会話」が漏れ聞こえてきて、残念な思いをすることがありませんか?でも、この店では、「A君、夕飯食べる時間なかったでしょ?今のうちに食べたら?」と、相手を気遣うやりとりが聞こえてきました。

良い店は、内も外も関係なく一本スジが通っていることにまた、感動しました。


阪本さんの新著書が発売中!
『「たった1人」を確実に振り向
かせると、100万人に届く。』

(日本実業出版社)
定価:1470円(税込)


(2012年12月1日号掲載)