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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

204)好きなことでとんがる

マーケティング講座

こんにちは!阪本啓一です。

「好き」のオーラを全開に!


狭く深く

私たちがビジネスしているマーケットの特徴をひと言で言うなら、「万人向けの商品を作っていてはダメ」ということです。誰か1人でいい、アタマにガツンときて目の覚めるような商品。それは誰か1人の濃くて狭いインタレスト(興味・関心)を満たすものです。ソーシャルな時代では、商品そのものがマーケティングの働きをして、自ら伝わっていきます。このことを実行して強いブランドを構築しているのが、フィギュアメーカーの老舗、海洋堂の宮脇修一社長です。宮脇氏自身、「狭く、深く」やることについて著書で触れておられます。

「好きなことや興味のあることを、狭く深くやっていけば、道は勝手にできていくものです。そしてその道を一歩ずつ進んでいけば、いつの間にか、踏みしめた実績みたいなものもできてくる」(著書『「好きなこと」だけで生き抜く力』WAVE出版)


期待と知覚

強いブランドの特徴は、ブランド名を耳にすると「期待」を生むことです。例えば、私のようにAppleの大ファンは「Appleが新製品を出すらしい」と聞けば「おっ、きっとこれまでにない新しさや使い勝手の良さを体験できるんだろうなあ!」と「期待」をします。そして実際に新製品、例えば「MacBook Air」を手にすると、使い勝手やデザインの良さに感動するという「知覚」を感じます。

フィギュア好きファンが海洋堂の名前を耳にすると、「ホンモノのフィギュアを作ってくれているはず」という「期待」を生み、そしてフィギュアを手にすると、そのフォルムや着色の精巧さにホレボレする「知覚」をもたらしてくれます。これが海洋堂が強いブランドである証左です。


「好き」のオーラ

では、どうして、海洋堂がフィギュアファンの心をつかめるのかというと、要するに「好きのオーラ」が会社のあり方(being)の底から放射されまくっているからだと思います。ブランドにとって重要なのは「いかなる土壌の上に生えたブランドなのか」。土壌とは、ブランドのあり方です。拠って立つ価値観、世界観。そしてその価値観を支持してくれる顧客もまた、土壌を形成しています。それはAppleなら、「かっこいいデザイン、これまでにないまったく新しい体験」などでしょう。

海洋堂は、「フィギュアが大好き!」という「好きのオーラ」で形成された土壌と言えます。宮脇氏自身がおっしゃるように、海洋堂は「フィギュアオタク集団」です。フィギュアが好きで好きでたまらない人たちが集まっているわけですから、フィギュアについては誰よりも詳しいし、フィギュアファンの心理にも造詣が深い…というか、自分のことだからとてもよくわかる。



「好き」を重要テーマに

自分が売る商品の知識がない店舗スタッフ、接客技術のないホテルマン、仕事にプライドを持っていないメーカー研究員…。「強い組織にするには、というテーマでコンサルティングする時、必ず出てくる課題が「モチベーションアップ」ですが、これは要するに、「好きになること」だと私は考えています。自分の仕事が好きで好きでたまらないからこそ、商品だけではなく、周辺の環境や顧客の置かれた状況などを深く理解しようと研究する気になるのです。

では、社内(店内)で最重要なものさしを、「好き」にしてみるというのはどうでしょう?ただ、人間、「嫌いなもの」あるいは「好きじゃないもの」を「好きになる」のにはエネルギーが必要。ひょっとすると徒労に終わるかもしれません。でも、「好きなこと」を「もっと好きになる」のは易しい。だからまずは、「私は社内のここが好きだ!」という「好きなところ」の発見ミーティングをお勧めします。

宮脇さんの言葉を引用します(前掲著書より)。

「好きなことなら、本気になれる。好きなことなら、集中できる。好きなことなら、工夫ができる。好きなことのためなら、行動を起こせる」。

「好き」のオーラを全開に、仕事を楽しみましょう!



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かせると、100万人に届く。』

(日本実業出版社)
定価:1470円(税込)


(2013年1月16日号掲載)