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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

210)エリアとつながる

マーケティング講座

こんにちは!阪本啓一です。
商売の基本はエリア!


これまで・これから

ソーシャル時代以前のビジネスは、自社の組織をしっかり整備し、愛社精神を養い、「ウチの会社」を育て上げることが最優先でした。同じ業界の同業他社は「敵」。ひとつひとつの会社はパソコンで言うなればスタンドアローン。つながらず、独立していたのです。漢字1字で表現すると「閉」。でもこれは「過去の時代」の成功法則。時代は変わりました。ソーシャルネットワーク(Facebook、Twitterなど)で個人と個人が組織の壁を越え、国境や地理の距離をも簡単に越えて24時間つながりっぱなしです。

このソーシャルな時代で繁盛しようと思うなら、「開」のマインドを持つことが必要です。最も重要なスキルは「つながる力」です。


1日2時間だけ営業

広島の繁華街、流川に、風変わりなビールスタンド重富があります(http://sake.jp)。営業時間は夕方5時から7時までの2時間のみ。メニューは生ビールだけ、おつまみなし(持ち込み不可)。おかわりは1杯まで。だから最大でも1人2杯しか飲めない。店の外の看板に書いてあるこれらの「但し書き」を眺めて並びながら、「これはガンコでおっかないおやじさんがやっているのかな?」と思っていました。何しろ店内は狭く、10人も入れないので、入るには店の外で待たなければいけない。しかし、店内に一歩入った途端、わたしの心配は杞憂に過ぎなかったことがわかりました。

昭和初期の生ビールサーバーを復活させ、磨いた腕で注いでくれる生ビールは、ふだん飲んでいるビールとはまったく別の飲み物でした。わたしはビールが大好きで、お酒といえばビールしか口にしないくらい好きなのですが、参りました。おいしいのです。「泡がつまみになる」とは、この店を紹介してくれた友人の表現ですが、まさに言い得て妙。


けんかしない

「ミスター生ビール」とでも呼びたくなる重富さんと親しくなるにつれ、彼のビジョンが見えてきました。彼によれば、「仕事を終えて、最初に口にする生ビールがおいしければ、まず十人中十人が笑顔になる。笑顔は伝染する。元気になる。このおいしい一杯目の生ビールで点火し、近所のレストランへ繰り出し、おいしい料理を食べ、しっかり会話して眠れば、翌朝すっきり気持ち良く起きることができる。大人が元気になれば、子供もうれしく、元気になる!」

重富さんは「子供を元気にするには、まず、大人が元気になって、しっかりした背中を見せてあげなければならない」と考えています。そして、広島が生ビールのおいしい街だという評判になれば、社員旅行の行き先が広島になる。経済が活性化する。どうして「おつまみなし、おかわりが一杯だけ」なのかというと、「よそのお店とけんかしたくない」からと言います。むしろ、ほかのお店も生ビールがおいしくなるようにセミナーを積極的に開催しています。そう、「業界他社も繁盛するように」自分のノウハウを積極的に教えているのです。このあり方はまさにソーシャルな時代の手本です。1社だけ繁盛するのではなく、エリアのみんなで繁盛する。


7つの力を結集

チタンクリエイター福井(http://tic-fukui.jp)は、チタン加工に必要な7つの力「叩き伸ばす」「ろう付けする」などを1つにまとめ、福井の中小企業7社が共同受注しようというものです。法人化するわけではなく、共同企業体として、見積もりをし、受注します。1社1社は小さくても、かけ算すれば大きな力になれる!また、展示会などへの出展費用は最低でも200〜300万円かかります。1社で負担するのは正直キツいが、7分の1なら助かるという現実的な効果もあります。ブランドロゴもしっかり作り、テレビなどメディアへの露出も意図的に行っています。

皆さんも、エリアで手をつなぎ、かけ算で大きなパワーになりましょう!1社だけで何かする、という時代はとうに終わっています。

阪本さんの新著書が発売中!
『「たった1人」を確実に振り向
かせると、100万人に届く。』

(日本実業出版社)
定価:1470円(税込)


(2013年4月16日号掲載)