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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

213)時間を提供する

マーケティング講座

こんにちは!阪本啓一です。
売れる企画術とは?


時間短縮こそ価値

「私はラーメンを売っているのではない。お客様に時間を提供しているのである」。48歳でチキンラーメン、61歳でカップヌードルを発明し、亡くなった時には『New York Times』社説で「Mr.Noodleに感謝」と讃えられた安藤百福さんの言葉です。真意は、「インスタント」という価値によって、「顧客の料理時間の短縮=それによって生まれる時間を提供している」ということ。これはビジネスやサービスの本質を表現しています。

医療サービスを受けることで元気になり、本来の勉強や仕事に励むことができる。放置しておけば、ずるずると時間ばかりが経ってしまっていた時間を短縮できています。

ネットショップは「店に行ってみたら目当ての商品がなかった」「手元にあるこのCD、本当に私の好みの音なんだろうか?店舗スタッフに聞いてもわからないし、視聴もできない」という「不」を在庫量明示(残り○個)やカスタマーレビューによって解消。それによって、顧客は悩む時間を短縮できています。

そうです。時間短縮は、立派な提供価値です。これはB2B(企業間取引)ビジネスにも言えます。


営業マンの意義

B2B営業マンは商品(製品・サービス)を売るのではなく、クライアント担当者の問題解決に寄り添い、新しい視点でアドバイスすることが本来の仕事です。結果として、問題解決するための商品が売れる。「販売(セリング)」は、現代のネットがインフラとして普及したビジネス環境では最も簡単な営みです。と言いますのも、販売は点(POS=Point of Sales)でしかありません。グローバルスタンダードの時代により多く売るためには、極論を言えば、地球上最も安い価格にして、検索でお客さんに見つけてもらい、ネットで販売すれば済む話です(笑)。しかしそれでは将来性あるビジネスとは言えません。だからこそ営業という「人」の介在する意味がある。ちなみに、営業と販売の違いは、「販売(POS)前後のコンサルティング」が営業と捉えましょう。つまり、クライアントの問題解決時間を短縮することが、営業マンの役割なのです。


強いブランドも時短に

強いブランドも「迷わず安心して選択できる」「ブランド名が喚起する『期待』が確実に叶えられる」という2点で顧客に時短を提供します。

「お世話になった方にお礼のギフトをしたい」という時、「間違いのない」お菓子ブランドがあれば、それを贈れば済みます。あれこれ悩む必要がありません。受け取った方もブランド名を見ただけで、贈り主(つまりあなた)の自分への思いの確かさを感じ、受け止めてくれるでしょう。

逆に言うなら、「ほかのブランドと何が違うの?」「何の期待をしていいの?」とよくわからないブランド名はまだ「とんがり」が足りない証拠です。強いブランドになるためには、前記2点を意識して、焦点を絞りましょう。

「はずれなし」こそが、強いブランドが提供すべき価値です。時間を提供しているのと同じですから。


リゾートホテル

リゾートホテルも時間の提供が価値。ただしこの場合は時短ではなく、「時間の質の転換」です。同じ1時間でも自宅で過ごす1時間とは質が違う時間が流れること。それは「ゆったり流れる」というスロー化かもしれません。「静けさ」という「聴覚に訴える体験」かもしれません。ビーチ遊び、プールサイドのドリンクなどがすべてinclusiveで財布を出さなくて済む非日常かもしれません。いずれにしても、「異質な時間」の提供こそがリゾートホテルの価値で、ここに焦点を絞ってサービス設計をする必要があります。


時間という観点でチェック

このように、時間は重要な提供価値。みなさんのビジネスを、「時間」の観点で見直してみましょう。難しく考える必要はありません。例えばレストランなら、「メニューはわかりやすいか?」だけでも、顧客の時短につながります。

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(2013年6月1日号掲載)