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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

215)個を伸ばす

マーケティング講座

こんにちは!阪本啓一です。
現場力こそ、利益を生みます!


DJポリス

サッカー日本代表が2014年ワールドカップ(W杯)ブラジル大会一番乗りを決めた6月4日夜、渋谷駅前交差点を埋めるファンを車上からナイスに誘導し、喝采を浴びた若い警察官がいます。私はFacebookで知りました。動画を見ると、非常にフレンドリーに職務を果たしています。いえ、「職務=群衆の誘導」を遥かに超え、「W杯出場のうれしい夜の余韻をより良いものに演出したい」という意図がうかがえ、まるで接客サービス業のように見えてきます。「お互い気持ち良く、今日という日をお祝いできるよう、ルールとマナーを守りましょう」このフレンドリーな彼の思いが皆の心を捉えて、「DJポリス」とネーミングされ、共感の輪が広がっているのだと思います。

通常、制服を来て、マイクを手にした人は威圧感たっぷりに、「人を操作」しようとします。オープンしたてのショッピングモールでメガホン片手にがなり立てる姿には「あなた、何様」と反感すら覚えます。たいていの人はそういう「制服方面の人」の記憶がありますから、余計にDJポリスが好ましく思えるのでしょう。彼は20代の機動隊員とのことです。彼を自分のレストランに雇いたいと思う経営者は少なくないと思います。または、タフな交渉力を求められる海外営業マンとして。その理由は、現場の最前線で臨機応変に職務を果たすだけではなく、場を高める価値をプラスできる力量があるからです。


個を伸ばせ

同じくW杯出場を決めた後の記者会見で本田圭祐選手がW杯優勝のために必要なことを質問され、「シンプルに言えば個(の成長)。最後は個が試合を決する」と述べたことが大変印象的でした。「どうやって自立する選手になって個(の力)を高められるか」と、1年後の本大会に向け、チームメイトに高い意識と成長を求めました。

DJポリスにしても、本田選手の意図にしても、本質は「個」に行き着きます。上司からの命令とか、同僚と相談とか、そういう「タテ・ヨコの報連相」を待たない。期待もしない。このあり方は、まさに現在のビジネス環境に適合しています。


チームではなく個人プレー

ネットのインフラが整備され、スマートフォンやタブレットなど、モバイルデバイスが普及した現在、組織の壁は透明になり、個と個がダイレクトにつながりあっています。組織の壁を越え、プロジェクト単位で商品(製品・サービス)開発することが当たり前。ビジネス環境の変化は激しく、「唯一変化しないのは、常に変化し続ける」という一点のみ。このようななか、個人が仕事に取り組む意識を変える必要があります。

指示通りにうまくきっちりやることが善ではありません。例えて言うなら、「線をはみ出さず、ぬり絵が上手にできる人」ではなく、「ぬり絵そのものを創り出す人」こそが成功できます。


どうすればいいか

「○○の社員」という「所属意識」を捨て、1人のアーティストになったつもりになります。ダリやピカソばかりがアーティストではありません。本来、仕事はすべて創造的なものです。「仕事する」=「創造(クリエイト)する」と捉えるのです。仕事ほど創造的な活動はありません。

ルーティン業務であっても違うやり方はないか探る。コピーの取り方1つでも工夫の余地は残されています。コピーした書類が何のために使われるのかによって、綴じるべきか、クリップで止めるべきなのか変わります。重要な箇所を事前に聞いて、その部分にポストイットを貼ることさえ、できるでしょう。

「それが常識だから」という社内(や、業界)の常識を「ホントか?」と疑問の目で再点検してみる。そして何より、最前線現場にいる自分をおいてほかに、この判断をするに最適な人物はいない、と自信を持つことです。現場力こそ、利益につながるのですから。

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(2013年7月1日号掲載)