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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

218)ブランド・エッセンス

マーケティング講座

こんにちは!阪本啓一です。
印象がブランドを創る!


ガリガリ君倍増プラン

横浜市営地下鉄で吊り広告を何気なく眺めていたら、ガリガリ君キャラクターの顔が。その横に「ガリガリ君の売り上げが倍増しちゃうプロモーション案を見てみたい!タレント起用とか、フツーーーーーーーーのアイデアだとガッカリ君だよ」と書いてありました。この企画、産業能率大学とのコラボレーションで、「高校生のみなさん熱烈オファーだ」との由。

調べてみると、産業能率大学は2013年4月にマーケティング学科を新設したよう。おそらく、マーケティング学科のプロモーションも狙った企画でしょう。ガリガリ君で注目を集められるし、「売り上げ倍増プロモーション企画」というマーケティング企画を考えることで、高校生、つまり受験生の記憶に刺さる、ナイスなアイデアだと思います。「産業能率大学マーケティング学科は面白いことをやってる」と記憶に残って、受験生が増えればオッケーです。


ブランド・エッセンス

さて、この企画、ガリガリ君の遊び心のあるブランドが世の中に定着しているからこそ成立します。ガリガリ君とのコラボレーション商品は多く、子供歯磨き、入浴剤、消臭剤など数えきれません。と言うのも、ガリガリ君は自分のことを、「アイスキャンデー」という製品機能ではなく、「面白おかしい遊び心=こんなものまでガリガリしちゃいました!」と定義しているのです。このような、ブランドの提供価値をブランド・エッセンスと呼びます。だから、アイスキャンディーの味としては目新しいリッチコーンポタージュ味も売り切れるほど話題になったのです。

自社の製品・サービス、例えば、「うちはイタリアンレストランです」「うちはアロマテラピーのサロンです」ではなく、「たまにはちょっと贅沢に家族で楽しむ週末ごはん」とか「月に一度の自分へのご褒美」という風に、「顧客に提供する価値」で考えてみましょう。


タッチポイント

ブランド・エッセンスを定めたら、顧客と接触するすべてのポイントを洗い出します。メール、電話、店内の照明、音楽、意外に見過ごされがちな匂い、メニュー(内容、価格、紙質、フォント、色、古びてないか)、制服…。これらをタッチポイントと呼びます。

スタッフみんなで、付箋を使い、1枚に1項目のルールでタッチポイントを書き出してみます。そのすべてがブランド・エッセンスです。例えば、例に挙げたイタリアンレストランが「たまにはちょっと贅沢に家族で楽しむ週末ごはん」に沿っているかをチェックします。

ブランド・エッセンスは憲法のようなもので、現場のすべてに対してそれを基準に「マルかバツか」判定できます。例えば店内でかける音楽。「週末、家族で楽しむ」のに、にぎやかな音は合わないですよね?家族で来てもらいたいのなら、乳幼児連れでもオッケーな音楽にしたいところ。店の奥や入口近くに個室を用意するなどの配慮があるといいですね。レゴや積み木など、子供向けのおもちゃを用意するのも効果的です。

このようにブランド・エッセンスが定まると、「何をするべきか」「何をしてはいけないか」が明確になります。


顧客印象がブランドを創る

ブランドが本当に「ブランド」になるのは、顧客がタッチポイントで受ける印象の積み重ねの結果です。ブランドは製品・サービスの中ではなく、顧客の頭脳の中にしか存在しないのですから。ガリガリ君が「ガリガリ君」としてブランドになり得ているのは、その名前やキャラクター画を目にした時、人の頭脳の中に「面白おかしい遊び心」が自動的に浮かぶからです。

タッチポイントのすべてが顧客印象を形成し、ブランド創りに貢献します。Virgin Groupの創業者リチャード・ブランソンは自社ウェブサイトを訪問し、顧客サービス窓口まで何回クリックすると到達できるかチェックし、多ければ改善を求めるそうです。

タッチポイントの点検は、定期的に行いましょう。

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『「たった1人」を確実に振り向
かせると、100万人に届く。』

(日本実業出版社)
定価:1470円(税込)

(2013年8月16日号掲載)