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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

【第9回】社内規則の緩さはアメリカ社会の活力の源!?

アメリカ人と共に働く技術

増田義彦◎2004 年渡米。某日系IT企業社長を歴任。Children Discovery Museum of San Jose 元理事。Japan Business Association of Southern California元会長。オーロラ日本語奨学金基金会長。

アメリカで10年間、数百人のアメリカ人の指揮を執ってきた日本人社長が、アメリカ人と働く極意を伝授します。


社内規則の緩さはアメリカ社会の活力の源!?

日本の会社は社内規則でがんじがらめです。一方、個人を尊重するアメリカでは、規則はあるものの、個人の裁量を大きく認めています。これは日本人にとっては慣れるまで、ちょっと居心地が悪いものです。

私の会社には始業時間や終業時間といった概念がありません。1日8時間働けばよく、出社、帰社の時間は個人の裁量に委ねられています。朝6時に出社して午後3時まで働き、夕方の子どものピックアップに間に合わせる従業員もいれば、逆に朝、子どもを学校に送り届けてから10時に出社し、午後7時まで働く従業員など、働き方はさまざまです。また、上司の了解さえあれば事務所に来ないで自宅で働いても良いので、通勤時間の長い従業員には、週に3日だけオフィスに来て、2日は自宅勤務なんて人も。

日本にいたときには、全従業員が8時半に出社し、朝礼をしてから仕事を始めていたので、こういった環境は規律が緩んでいる感じがします。また、自分の部下が遅く出社したり、早く帰ったり、自宅で勤務したりすることがよくあります。話したいときに部下がいないと、日本的な感覚が抜けきらないうちは、イライラすることもありました。

また、アメリカの祝日は、ほとんどの場合が月曜日で3連休になるのですが、私の会社では、3連休の前日の金曜日は、半ドンというのが、暗黙の了解になっています。日本では、3連休の前は、翌日から休んでも業務に支障がないように、遅くまで残業して、やっとの思いで3連休に入るのが当たり前でした。今でも3連休の前の金曜日の午後は、気が付くと、事務所にいるのは日本人駐在員だけということもあります。


個人の裁量に委ねることで得られるメリットは多い

出張手続きも随分と簡単です。日本にいた頃は、国内出張でも詳細を指定のフォーマットに漏れなく記入し、上司に説明に行って決済をもらっていました。海外出張に至っては、役員会に諮る必要がありました。アメリカの私の会社では、一応、出張申請用のフォーマットがありますが、ほとんどの人が使っておらず、たまに使っている場合でも空欄が目立ちます。最初のうちは、何時の飛行機に乗るのかとか、どこのホテルに泊まるのかとか、誰と会うのかとか、色々と質問していましたが、部下からは「マイクロマネジメントだ」と疎まれ、次第にそういった質問もしなくなりました。今では、いつからいつまでどこに行くのかくらいが分かれば、部下を信頼して"Approved"という返事を出しています。

勤務時間がフレキシブルなことにより、女性が育児をしながら働くことができたり、男性が育児や家事に参加できたりと、ワークライフバランスが維持できます。生涯教育やボランティアにも参加できます。勤務時間への柔軟な対応が、アメリカ社会の活力を生み出していると言ってもいいでしょう。

出張申請が簡略化されると、必要なときにすぐに出張できるし、申請書を書く時間や持ち回る時間も節約できて、極めて合理的かつ効率的です。若干申請手続きが緩くても、各部門長は予算には非常にシビアで、出張に使う金額が予算を超えることはありません。各部門長は予算の範囲内であれば、自分の裁量で出張するのは当たり前と思っており、そこを任せられず、あれこれと細かい質問をする上司は「マイクロマネジメント」のレッテルを貼られてしまいます。

私も序盤で述べたように、最初は個人の裁量が大き過ぎてイライラすることもありましたが、今ではアメリカ式の方が居心地が良いです。日本の会社に元気がないのは、何もかも規則で縛られ、息苦しくなっているからではと思うほどです。


(2014年12月1日号)