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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

【第5回】アメリカで従業員の1年間の評価を上手に行うための秘策とは?

アメリカ人と共に働く技術

増田義彦◎2004 年渡米。某日系IT企業社長を歴任。Children Discovery Museum of San Jose 元理事。Japan Business Association of Southern California元会長。オーロラ日本語奨学金基金会長。

アメリカで10年間、数百人のアメリカ人の指揮を執ってきた日本人社長が、アメリカ人と働く極意を伝授します。


アメリカで従業員の1年間の評価を上手に行うための秘策とは?

前回までは、経営品質管理の最初の3つのフェーズ、〔槁言瀋蝓↓¬槁犬鮟抄醗に伝達、実行する、までお話ししました。第5回の今回は、最後のフェーズ、「従業員へのフィードバック」についてお話しします。

米国ではこのプロセスのことを「Performance Appraisal」と言います。日本でいう成果評価です。私は、このプロセスが非常に苦手です。日本人は全般的に苦手なのでは?あまりものをはっきり言わない日本人にとって、部下の前で彼らのことをどう思っているか伝えるのは、あまり心地の良いものではありません。私の会社では、4月下旬から5月くらいに、各従業員の前年度の評価と今年度の目標の設定を行います。

Performance Appraisalの際に使用するフォーマットは、長さを変えたり、定性、定量的な評価項目のバランスを変えたり、何回も改良を加えましたが、基本的な部分はあまり変わっていません。要は、その部門が目標を達成できたのか否かを振り返り、その人が目標達成に貢献した点(良かった点)と、改善すべき点(悪かった点)を具体的に記述し、悪かった点についてどう改善すれば良いかアドバイスを記載し、次年度の目標に反映させればいいのです。

日本でも、米国のマネをして目標管理制度が導入されてから20年以上になると思いますが、正直、幹部も一般従業員もこの制度を重要視しているようには見えません。いまだに日本では、終身雇用、年功序列が一般的で、目標の評価が良くても悪くても、自分のキャリアパスや給与に大きな影響がないからでしょう。日本では、目標評価のシートに空欄があってもあまり問題視されませんし、面接の時間が短くても、極端な話、面接をしなくても、部下から文句を言われたことはありません。


アメリカ人の従業員に自己評価をさせてみる

しかし、終身雇用や年功序列のないアメリカでは事情が大きく異なります。会社を移動するごとにキャリアアップしていくアメリカ人にとって、Performance Appraisalの記載内容は非常に重要。ここに良いことが記載されていれば次の会社に自分を高く売り込めますし、逆に悪いことが記載されていると、自分の市場での価値が下がるからです。極端な話、アメリカ人はPerformance Appraisalのために1年間働いており、上司の最も重要な仕事は、Performance Appraisalの記入だと思っている節すらあります。

こうしたアメリカ人と日本人の間のギャップを埋める方法として一つお勧めしたいのは、自己評価。アメリカ人に自己評価をするように指示すると、自分の良かった点、悪かった点を、非常に詳細に記載してきます。例えば、マイクという部下に自己評価を頼むと、「マイクは顧客を常に大切にしている。彼の献身的な仕事振りが、会社の業績向上に大きく貢献した」などと、日本人ではありえないほど自分を持ち上げた文章を書いてきます。これを少し修正してやれば、目標評価の完成です。

ちなみに、自分の評価でこれだけ大胆なことが書けるアメリカ人だから、フィードバックで上司と話し合うときに日本人のような居心地の悪さを感じないのかというと、そうでもありません。評価フィードバックの面接では、アメリカ人の部下も緊張しているのが分かります。

とにかく、アメリカではフィードバックは避けられないプロセスですし、アメリカ人にとって重要なプロセスです。一方、日本人は他人を評価することを嫌がりますし、そもそもフィードバックに時間を使うのは無駄だと思っています。従って、自己評価で遠慮しないアメリカ人の性癖を利用して、まず自己評価をさせ、効率的にフィードバックするのが、うまいやり方だと思います。


(2014年10月1日号)