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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

【第2回】アメリカの会社において経営幹部の合宿を成功させるには

アメリカ人と共に働く技術

増田義彦◎2004 年渡米。某日系IT企業社長を歴任。Children Discovery Museum of San Jose 元理事。Japan Business Association of Southern California元会長。オーロラ日本語奨学金基金会長。

アメリカで10年間、数百人のアメリカ人の指揮を執ってきた日本人社長が、アメリカ人と働く極意を伝授します。


アメリカの会社において経営幹部の合宿を成功させるには

経営方針、戦略、目標等、会社にとって重要な事項を決定する際は、経営幹部が集まって議論をします。そんな時、打ち合せを社外で行う場合もあります。忙しい経営幹部が、長時間、他の業務に邪魔されずに集中して議論できるようにという目論みです。時には、宿泊する場合も。日本で言う「合宿」のイメージですね。こうした打ち合せを、私の会社では「Offsite Meeting」と呼び、社外取締役を引き受けていた他の団体では、「Retreat」と呼んでいました。

日本にいたとき、私の会社の本部では、四半期に一回、週末を利用して合宿をしていました。幹部30名程度が会社の研修施設に宿泊し、土曜、日曜の2日間にわたり、本部の方針や戦略等を集中討議したのです。そこでは討議そのものも重要でしたが、チームとしての一体感を作ることにも同程度に重きを置いていました。幹部が2日間、同じ屋根の下で時間を共有する。幹部同士が一緒に風呂に入り、食事をする。長時間一緒にいて、同じ体験をすることそのものに意味を見出していたのです。

また、チームとしての一体感を作るため、わざと困難なスケジュールを作り、それを全員で達成することで、士気を上げることも重要でした。夕食後も、浴衣姿で深夜遅くまで議論する。その後、一緒に酒を飲みながら熱く語り合う。翌朝は眠い目をこすりながら、さらに頑張って議論を続ける。まさに根性ドラマです。


時間を効率よく使うこと。社長のリーダーシップも重要

アメリカに来てすぐの頃は、この日本の合宿モデルをほぼそのまま持ち込みました。さすがに土曜、日曜の2日間は、ローカル従業員の反対が強く、金曜と土曜の午前中、四半期に1回の開催としました。事務所から1時間半程離れたリゾートホテルで、金曜日は朝から晩まで、土曜は午前中のみ、議論をしました。私の案では、金曜の夕食後も会議室で討議を続けて根性を鍛えることになっていたのですが、ローカル従業員がさりげなく予定を変更しており…。夕食後は、夜の海岸でみんなで焚き火を囲んでスモアを楽しみながら議論するという、日本から来たばかりの私にとっては、何とも軟弱なプログラムになったのです。

その後、ローカル従業員がどんどん変更を加え、私の意図は骨抜きに。まず、場所が事務所から30分くらいの普通のホテルに変更。半分ほどの出席者が、夜は自宅に帰り、翌朝また来るようになってしまいました。そして次は、ホテルにて金曜のみの日帰り開催に変更。さらには、ホテルは止め、事務所の大会議室で、金曜一日限りの開催。最近は、事務所で、金曜の午前10時〜午後3時と、簡易化が進んできています。

アメリカ人は、重要な議論のためには長時間拘束されるのもいといませんが、「チームの一体感を高める」という漠然とした目的のために長時間拘束されるのを極端に嫌います。特に、金曜の午後や週末にそういうイベントが入るのを嫌がります。確かに、四半期の目標なら、きちんと事前準備をして、集中して議論すれば、5時間もあれば十分ですね。

もう一つ重要なのは、こうした打ち合せでは必ず結論を出すこと。日本の合宿では、情報共有や親睦の意味合いもあり、ダラダラと議論した挙句、結論が出ないことも多いですが、米国でそんなことをすると、誰からもサポートされなくなります。

結論を出すためには、社長のリーダシップが特に重要です。ある程度議論したら、そこからうまく結論を導き出し、会社の方針、戦略、目標等をテキパキとまとめていかねばなりません。会社の方針、戦略、目標は社長以外決められないのですから。部下は、こうした場での社長のリーダーシップを見て、その人についていくべきかを決めているのです。


(2014年8月16日号)