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ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

Thank You for Smoking

信じ込んだら、話術で説得!
それがロビイストのお仕事です

ジャンル:コメディー

オススメ度:☆☆☆☆

Rating:R
○出演 | アーロン・エッカート、ロバート・デュバル、マリア・ベロ、他
○監督 | ジェイソン・ライトマン

©2006 Fox Searchlight Pictures

(2006年5月1日号掲載)

ジャンル: 誰にも、その才能を生かして稼げる職業というものはある。タバコ産業のロビイストを務めるニック・ナイラー(エッカート)のそれは「話すこと」。好感度ある笑顔と早口の話術を武器に、日々急速に高まる国民の反タバコ感情を抑えている。喫煙による肺ガンで死を余儀なくされている少年と共にテレビのトーク番組に出演する苦しい立場でも、少年と心を通わせ、視聴者の心をつかむ。すべてのタバコパッケージにドクロマークをつけるキャンペーン案を通そうと必死な上院議員フィニスター(ウィリアム・H・メイシー)の権力の前でも、チョコレートやチーズが体に及ぼす影響など(本当はまったく関係ない)を引き合いに出しては、なぜか皆を納得させる。

 そんなニックが唯一、言いくるめることができないのが、多感な時期を迎える息子のジョーイ(キャメロン・ブライト)。学校の教室にまで来て弁論を始める父を尊敬するべきなのか、疎ましがるべきなのか混乱する息子の前では、さすがのニックも迷いやストレスが素直に出てしまう。「大量殺人者」と呼ばれ、逆風を受けるカリスマスポークスマンは、果たして愛煙家の権利を勝ち取れるのか、それとも失脚するのか? 国中が注目する中、ニックのトークは止まらない…。

ずるいのになぜか憎めない愛すべき個性派キャラたち。

 原作はクリストファー・バックリーの風刺小説『Thank You for Smoking』。登場人物たちの個性が強いだけに、ライトマン監督は思い描いたキャストにピンポイントで出演依頼をかけていったそう。結果、多くの俳優が小説やキャラクターに惚れ込み、即出演をOK。こうして決まったニックを取り巻く面々は、例えば、こんな具合です。
 
 ニックと同じ「大量殺人者」の称号を与えられるアルコール業界のロビイスト、ポリー(ベロ)と銃業界のボビー(デヴィッド・コークナー)は、レストランで食事をしながら、自分たちの業界がもたらす死者の数について普通に会話してしまうような自信家たち。ニックを誘惑してスクープ記事をあげるジャーナリストのへザー(ケイティ・ホームズ)や俳優たちのイメージアップばかりを考えているハリウッドのエージェントのジェフ(ロブ・ロウ)とジャック(アダム・ブロディ)は、ニックを盾に甘い汁を吸う搾取者たち。自分は表舞台に出ずに、ニックばかりを苦しい立場に置く、タバコ業界の重鎮、ザ・キャプテン(デュバル)は、まさにずる〜い上司。
 
 一般的には憎むべきキャラなのに、なぜだか皆、愛すべきキャラに見えてしまうのは、彼らが自由社会の中で、自分の意見を通しているからなのでしょう。情報が多くを左右するこの時代、誰かが「体に悪い」「止めるべき」と言ったとして、「本当なの? どうして?」と自分で真実を確かめることって必要なのかもしれませんね。「オーガニック」と言われると美味しく感じるセンス、そろそろ疑い始めるべきかな?