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ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

United 93

目的を達成した3機の後に
勇気が墜落させた1機

ジャンル:ドラマ

オススメ度:☆☆☆☆☆

Rating:R
○出演| オパール・アラジン、エリック・レッドマン、ベン・スリニー、他
○監督| ポール・グリーングラス

©2006 Universal Pictures

(2006年5月16日号掲載)

ジャンル: 今から5年前。2001 年9月11 日の同時多発テロでハイジャックされた4機のうち、唯一、目的地である連邦議事堂にたどり着けず、ペンシルベニア州に墜落したユナイテッド航空93 便の実話をもとにした作品。
 
 テロで打撃を受けたマンハッタン南部復興のために、俳優のロバート・デ・ニーロらが中心となり、02 年より開催されているトライベッカ映画祭で上映され、話題となった。
 
 いつもと変わらない9月11 日の朝のニューアーク空港。乗務員たちはサンフランシスコへのフライトに向けて、通常通りの準備を整える。搭乗待ちの乗客たちは、家族や友人、恋人にフライト前の業務連絡、アイラブユー・コールをかける。こうして離陸したユナイテッド航空93 便の通常飛行から、実行犯がハイジャックする瞬間、乗客が前代未聞のテロの一部に巻き込まれていることに気づき、「レッツ・ロール」と呼びかけて闘うまでを、90 分という実際の時間枠の中で追っていく。

機内に凝縮されているのは
私たちが持つすべてのジレンマ

 
 英国出身のグリーングラス監督(『The Bourne Supremacy』)は、完璧な記録が何ひとつ残されていない中、コックピットでの30 分間の音声記録と地上の管制官たちや軍事指令本部のやりとり、乗客が家族や恋人にかけた約24 本の通話から、機内の様子をなるべく忠実に再現したと言う。家族への慎重なインタビューにより割り出された各乗客のキャラクターを、無名の俳優たちが演じている。
 
 グリーングラス監督はこう語る。「予定より45 分遅れて離陸したユナイテッド93 便が空を飛んでいる頃、残りのハイジャック機は、ワールドトレードセンタービルとペンタゴンに突入し、目的を達成していた。その意味で、乗務員と乗客たちは、我々が今、生きている『ポスト911 の世界』の最初の犠牲者と言える。ただじっと座って、すべてが解決するのを待っているのか? やられる前にやるのか? もし行動を起こした場合、何が起きるのか? 今、我々が抱えているすべてのジレンマが、この機内に凝縮されているのだ」。
 
 正直な話。オープニングから震えが止まらず、ブランケットの中に包み込まれながら観ました。それは、テロへの怒りや米国への愛国心というものではなく、「私が乗客の1 人だったとしたら」「私の大切な人が乗客の1 人だったとしたら」「私だったら、どう行動する?」「あの状況で、私ができることは?」と心身ともにユナイテッド93 便に乗り込んでしまったから。闘うか、泣くか、ヒステリックになるか、気絶するか。自分が助かりたいのか、母国を助けたいのか、正義感が湧き上がってくるのか。それとも、大切な人にもう1度会いたいのか。その状況になってみるまでは誰にもわからないことで、でも、誰にでも明日にでも起こり得ることなのだなと思ったら、いろいろな電気が体中を駆け巡って…。思わず、大切な人に電話をしました。