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ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

The Constant Gardener

亡くなった妻の人生を辿り
自分を発見する夫

ジャンル:ドラマ

オススメ度:☆☆☆☆

Rating:R
○出演:レイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ、ダニー・ヒューストン、他
○監督:フェルナンド・メイレレス

©2005 Focus Features

(2005年9月1日号掲載)

ジャンル: 結婚されている方、恋人がいる方、大切な誰かがいる方に質問です。自分に何か危険が及んでいるとして、大切な人にはすべてを話しますか、それとも心配をかけたくないから話さずにいますか?

 本作の主人公は、温厚で受け身なイギリス外交官のジャスティン(ファインズ)と情熱的で聡明な活動家のテサ(ワイズ)の夫妻。感傷的なラブストーリーに政治的な問題提起とサスペンスの要素が絡み合ったドラマです。

 舞台はアフリカ。ジャスティンとともにアフリカに渡ったテサが、北ケニアの僻地で惨殺されて発見される。犯人は誰なのか? なぜテサが惨殺されなければならないのか? 仲間であるはずのサンディ(ヒューストン)らは、一体テサの死にどのような関係があるのか? それまで仕事にも人間関係にも消極的であったジャスティンだが、真相を暴くために妻の足跡を辿るうち、驚くべき事実と巨大な犯罪組織の姿に行き当たり・・・。


命を救うはずの薬に殺されていく…

 まず、今まであまり映画で取り上げられることのなかった「医薬産業」という組織に焦点を当てている点は画期的。「少しでも長く生きたい」という発展途上国の人々が、やっとの思いで手に入れる薬が安全性をクリアしておらず、命を救うはずの薬に殺されていくというケースは多いそう。これは、あまりにも倫理に反した行為ではないか? というのが、ブラジル出身のメイレレス監督(『City of God』)が届けるメッセージのひとつなのです。

 そうした政治的問題に加え、心にビンビン来るのはジャスティンとテサという夫婦の関係性。消極的で温厚な男性に積極的で情熱的な女性という図式は、今や珍しいものではありません。アンバランスに見える2人でも、テサが自由に飛び回るためには綱の先を握っているジャスティンが必要で、疲れ切ったテサを癒せるのもジャスティンしかいない。そんな夫を大切に思うからこそ、自分の活動を一切秘密にして進めてきたテサ。常に何か隠し事をしている妻に不信感を募らせるジャスティン。妻の死の真相を夫が探し求める過程で、初めて夫婦の深い絆が明らかになる…のだけれど、そんなジャスティンの姿を見ている内に何とも辛い気持ちになります。

 どんな夫婦や恋人同士にも、2人にしかわからない絆はあります。でも相手がこの世を去ってから多くのことを知り、失って初めて相手を愛するなんて、美しいドラマのようでいて実はすごく残酷。大切な人だから絶対に傷つけたくない、心配をかけたくない、という深い思いやりには非なんてない。でも私的には「知らぬが仏」はもっと残酷。苦も楽も美も醜も分かち助け合うのが「人生のベストチーム」。私はそう思いますが、皆さんはいかがですか?