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ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

All the King's Men

伝説のルイジアナ州知事に見る
人間の野望と堕落

ジャンル:ドラマ

オススメ度:★★★

Rating : PG-13
○出演 | ショーン・ペン、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレット、他
○監督 | スティーブン・ザイリアン

©2006 Columbia Pictures

(2006年10月16日号掲載)

ジャンル: 大恐慌にあえぐルイジアナ州。地元学校の教師であったウィリー・スターク(ペン)は、熱い野望を胸に政治家への道を歩み始める。貧しく、仕事に飢えた住人たちと同じ目線から、理想主義を唱え続けるウィリーは、牧場から農家、海辺から山奥まで、どれほど人が少ない場所にでも出かけていき、パワフルな演説を繰り広げる。政治に絶望していた住人たちは熱狂し、冷ややかな視線を注ぐレポーターのジャック(ロウ)やサディ(パトリシア・クラークソン)も、その熱意に揺るぎ始める。こうして政界の頂点に登り詰めつつあるウィリーだが、その裏で堕落する私生活の犠牲になったのは、ジャックの父(アンソニー・ホプキンス)や、親友・アダム(マーク・ラファロ)の妹・アン(ウィンスレット)であった。こうして急落を始めるウィリーを待っていたのは?

脚色の名手が自ら指揮を執る
カリスマ政治家の人生とは?


 原作は1946年にピューリッツァー賞を受賞したロバート・ペン・ウォーレンの小説。ウィリーのモデルとなったのは、1935年9月8日、ルイジアナ州議事堂で42歳という若さで暗殺された民主党上院議員&ルイジアナ州知事のヒューイ・P・ロング。カリスマ的な魅力を持ち、次期大統領選の最有力候補でもあったと言われています。そんな彼の人生を脚色するのは、スティーブン・スピルバーグ監督の『Schindler's List』、リドリー・スコット監督の『Hannibal』、マーティン・スコセッシ監督の『Gangs of New York』、シドニー・ポラック監督の『The Interpreter』を担当、数々の名監督が信頼を置く「脚色」の名手ザイリアン。本作では自ら監督も務め、「政治」という題材を通して、昔も今も変わることない人間の罪と堕落、理想と性を描いています。

 キャストは、誰が主役でも通用してしまうようなオールスター陣。まるで、きかん坊のようなハチャメチャで熱い演説を繰り広げる政治家がハマリ役のペンに、プレイボーイ役より客観的に物事を見る意味ありげなジャーナリスト役がぴったりのロウと、なんとも豪華な主役2人。が、『Just Like Heaven』でリース・ウィザースプーンの恋人役を張るなど注目株のマーク・ラファロや、言わずと知れたベテランのアンソニー・ホプキンス、『Good Night and Good Luck』のパトリシア・クラークソンが脇役になってしまうほどの豪華さが裏目に出たのか、焦点が定まらず、誰に感情移入をしていいかわからないのが残念。また、2時間の上映時間がペンの演説姿で充満していたのも、もったいない気がしました。表情で泣かせるショーン・ペンだからこそ、叫んでばかりのシーンを削って、内面を滲み出させてほしかったです。

 アカデミー賞戦が始まりつつある、この季節。『Hollywoodland』に『The Black Dahlia』、本作と、今年はダークな歴史的暗殺事件に大俳優を配して挑む流れが強いよう。1作品だと新鮮だけど、こうやって続くと息切れしそうな私的には、そろそろハッピーテイストがほしいところ?