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ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

Waitress

人生は、パイのようには甘くない
でも、思い通りに焼けばいい

ジャンル:コメディー

オススメ度:★★★★

Rating : PG-13
◎主演 | ケリー・ラッセル、ジェレミー・シスト、シェリル・ハインズ、他
◎監督 | エイドリアン・シェリー

©2007 Fox Searchlight Pictures

(2007年5月16日号掲載)

ジャンル: 小さな街のダイナー「Joe's Diner」の人気ウェイトレスであるジェナ(ラッセル)は、自分の感情を反映させたユニークなパイを作る名手。イライラしたら「ぶっとばせ! パイ」、甘〜い恋の気分なら、まろやかなカスタードクリームに大胆にバナナを埋めた「浮気はしちゃダメ! パイ」、ストレス発散したい時には、真っ黒なチョコレートソースの上で、クランベリーをことごとくクラッシュした「うちのダンナが憎らしい! パイ」、といった具合。

 そんなジェナの人生は、ある日、大人になりきれない幼稚なアール(シスト)の子供を妊娠した瞬間に急展開(急没落?)。卵とチーズでスモークハムをくるむキッシュ「アールの子供なんて欲しくない! パイ」を焼いてみたって、止まることなく膨らみ続けるお腹に、焦りを覚えるジェナ。果たしてキュートな産婦人科医のポマッター(ネイサン・フィロン)は救世主になり得るのか? 行き詰まった人生をハッピーに変えていくのは、友情とチャンスを掴む勇気、そして、まだ見ぬ赤ちゃんへ綴る日記が教えてくれた素直な自分だった。

サンダンスの観客が愛した
とっておきレシピをご賞味あれ

 登場人物も配役も、アイデアも音楽も、トータルで愛らしい本作は、ワインが綴る友情物語『Sideways』のパイ版とも言えそう。「苦かったり甘かったり」の人生をパイになぞらえて、映画のレシピに仕立て上げたのは、女優、脚本家、監督として、女性の心を映し出してきたシェリー監督。本作がインディペンデント映画の最高峰であるサンダンス映画祭で上映される日を夢見ていながら、上映決定通知を受け取る直前の昨年11月に殺害され、40歳の若さで他界するという悲劇に見舞われました。

 クルーやキャストが彼女の遺志を継いで、今年1月のサンダンスに赴くなか、観客のフェイバリットとして賞賛された本作は、数々のインディーズヒット作を生み出すフォックス・サーチライトが配給権を購入。すべての女性たち、そしてチャーミングな女性たちを応援する男性たちのもとへ、届けられることとなったのです。

 ジェナを演ずるTV女優出身のラッセルは、艶やかながら、親近感の持てる演技を披露。日常のストレスを内に込め、パイ作りで発散する様子に、「あー、わかるなぁ」と共感する女性も多いはず。気分が乗っている時に、自分オリジナルのディッシュに名前を付けることはあるけれど、気分が落ちている時に、思いっきりネガティブな名前を付けてみたら、何だか笑えてきて、嫌な気持ちも吹き飛びそう。さぁ、実践してみましょう!

 キャストやクルー、サンダンスの観客たちが、こよなく愛したシェリー監督の「レシピ」。チャーミングな女性たちの幸せ探しコメディーを、美味しくいただいてくださいね。