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ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

Joshua

幼い息子と両親の心理合戦
白旗を揚げるのは?

ジャンル:スリラー

オススメ度:★★★★★

Rating : R
◎主演 | サム・ロックウェル、ヴェラ・ファミーガ
    シリア・ウェストン他
◎監督 | ジョージ・ラトリフ

©2007 Fox Searchlight Pictures

(2007年7月16日号掲載)

ジャンル: マンハッタンの素敵なアパートで、幸せな家族生活を営んでいたブラッド(ロックウェル)とアビー(ファミーガ)、そして長男のジョシュア(ジェイコブ・コーガン)。ある日、長女のリリーが誕生し、両親や祖母(ウェストン)の関心が一気に彼女に向き始めてから、非凡なジョシュアの暗い一面が顔を出し始め、家庭崩壊への完全計画が遂行される。

 最初のターゲットは母。リリーの夜鳴きで寝不足のところへ、夜中にリリーをベッドから連れ去り、神経を逆なでし、過去の痛手を突っ付いてみては、育児ノイローゼに追い込む。次のターゲットは祖母。「自分には、おばあちゃんしかいない」と甘えてみては、ことごとく利用する。

 そして最後のターゲットは父。人のいい性格につけ込んで、あちらこちらへ振り回す。ただ、自分を恐れることなく、無邪気に愛してくれる父は、ちょっとばかり、手強いぞ。さあ、どうする?

 家族や親のあり方、子育てへのメッセージ、幼児虐待や病んだ社会へのアンチテーゼなどのドラマ性もさることながら、ジョシュアの不気味な言動と予想不可能な展開を駆使したスリラー性が光る本作。

 これはジョシュアの子供遊び? それとも、彼を追い込んでいるのはダメな両親? 練りに練られた脚本に、両親と息子のどちら側を信じていいのか、観客の私たちが翻弄され、家族とともに泥沼へと落ちていきます。

「やられた」のひと言に尽きる
身の毛もよだつ衝撃の結末

 キャストは地味ながら、誰もがハマリ役。特に注目したいのは、母親役のファミーガ。去年の賞レース時に、それほど際立っていなかった『The Departed』の演技でオスカー候補にまでリストアップされているのを見て、違和感を覚えたもの。が、その後、立て続けに彼女の出演作を観ることになり、その評価が「期待」を込めたものであったことに納得しました。『Never Forever』で、子供を授かるためだけに、他の男性と関係を持つ、なんとも複雑な妻の役にファミーガを抜擢したジーナ・キム監督曰く、「彼女の過去の出演作をすべて観たけれど、役によって変貌しすぎて、時にはどれが彼女かわからないくらい」。その恐ろしいほどの「変貌ぶり」が、本作でも、かなり効いています。

 ロックウェルは、仕事もがんばり、狂乱寸前の妻を支え、難しい息子を明るく世話する、好感度抜群の父親を好演。映画の中で1番「いい人」の彼に共感する人は多いはずだけれど、最後には身の毛もよだつ衝撃の結末が…。
 クライマックスで、本作がデビュー作となるジョシュア役のコーガンが見せる表情は、映画史上に残る子役の名演技と言えるでしょう。内容を本当に理解して演じているとしたら(しているでしょうが)、怖い…。「やられたっ!」のひと言に尽きます。