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ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

The Counterfeiters

史上最大の贋札事件の裏で
「人間」であり続けた技術者たち

ジャンル:ドラマ

オススメ度:★★★★

Rating : PG-13
◎主演 | カール・マルコヴィクス、アウグスト・ディール、
    デーヴィト・シュトリーゾフ、他
◎監督 | ステファン・ルツォヴィツキー

©2008 Sony Pictures Classic

(2008年2月16日号掲載)

ジャンル: 舞台は第2次世界大戦中のドイツ。類まれに見る手腕で、パスポートやカードを偽装しながら快楽的な暮らしをしていたユダヤ系の贋作師サリー(マルコヴィクス)は、ある日、家宅捜査に訪れたフリードリヒ長官(シュトリーゾフ)によって、ザクセンハウゼン強制収容所に送り込まれる。同じく各地から集められた印刷技師ブルガー(ディール)を始めとするチームに与えられたのは、大量の贋ポンド札を作るミッションであった。

 他の強制収容所では、重労働に疫病、まともなベッドもないまま、毒ガス室送りに怯える日々を過ごしてきた彼ら。少しは優遇された環境の中、選択の余地なく贋札造りに励むサリーと技術者たちだが、最愛の妻を強制収容所に残してきたブルガーは、贋ポンド札がナチスに資金を与え、戦争を長引かせることにより、収容所にいる仲間を苦しめ続けることになると反逆。自分の決断に仲間たちの命がかかるジレンマの中、サリーが取った行動とは?

 本作の題材となるのは、第2次世界大戦中にナチス・ドイツが英国の経済破壊を狙って仕組んだ史上最大の贋札事件とも言うべき「ベルンハルト作戦」。1959年にオーストリアの湖から大量の贋ポンド札が引き上げられ、一緒に発見された資料から、強制収容所で紙幣贋造が行われていたことが発覚したのだとか。戦争の悲劇を真正面から捉えるのではなく、思いもよらない立場で戦争を経験した人々の目から描く手法は、いつでも新鮮で心を揺さぶる。

「感じ方」の部分で
共通する日欧

 邦題は『ヒトラーの贋札』と名付けられ、日本では米国よりも1カ月早い1月中旬に公開となっている。この種のヨーロッパ映画(特にドイツ映画)は、米国公開よりも先に日本で公開されることが多い。そして、邦題のセンスやキャッチコピーの付け方、ウェブサイトのデザインまで、日本でのプロモーションはとっても魅力的だ。

 去年、壁崩壊直前の東ベルリンを舞台に、「盗聴する側」と「される側」が織りなす感動の物語でアカデミー外国語作品賞を受賞した『The Lives of Others』。本作を『善き人のためのソナタ』と邦題化したセンスにも感動したが、今回もしかり。歴史的な背景への興味や知識欲もあるのかもしれないが、やっぱり「感じ方」の部分でヨーロッパと日本は似ているのかなとも思う。

 アメリカではよほどのことがない限り、外国語映画が脚光を浴びることはない。今回、お隣のコラムで紹介しているスパルタン・パロディーが興行収入のトップを走るのもいいけれど、こういう宝物のような大切な映画をかけるスクリーンの数が少しでも増えていけばいいな、と願う。