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アメリカ生活大事典

現地情報誌「ライトハウス」が提供するアメリカ生活大事典。アメリカへの移住や、現地生活に必要な自動車の購入・運転、出産・育児・子育て、教育・就職、住まい・住居、引っ越し、安全・安心な暮らし方などを徹底解説。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

55 年後の卒業式

 先日ミズーリ州で、アフリカ系の青年が白人警官に射殺される事件が発生し、背景に人種差別があると抗議デモが相次ぎました。そんな中、かつて差別を受けて辛い思いをした、あるアフリカ系アメリカ人男性の55 年後のエピソードが『The Huffington Post』(2014年8 月13 日付)など複数のメディアで取り上げられました。
 その男性は、現在73 歳のアルバ・アーレイさん。1959 年、イリノイ州で高校生だった彼は、ある日、友人数人と連れ立って湖畔へピクニックに行きました。そこは、当時暗黙の了解としてあった「白人限定エリア」でしたが、「同じ人間同士、同じように楽しむ権利がある」と、アーレイさんは自らの信じるところを貫いたのです。
 ところが、その後、その事実を知った学校は、アーレイさんに「卒業証書は授与しない、卒業もさせない」と通告。同級生と共に卒業式に出られなかったことは、彼にとって辛い思い出となり、以後、めったなことではこの話を人にすることはなかったと言います。

正しいと思ったことを貫いただけ

 今年高校の同窓会が開かれ、アーレイさんが実は高校卒業証明書を発行してもらえていなかったという事実を知った同級生たちは、母校に抗議。そうして、今年の8 月、ついにアーレイさんの卒業証書授与式が開かれました。
 55 年越しで卒業証書を手にしたアーレイさんは、高校性のときに卒業式に出ることができなかった悲しさを振り返りながら、しかし「55 年かかったけれど、自分は正しいと信じることをしただけ」と語りました。
 高校を卒業できなかったために大学進学にも苦労したアーレイさんですが、周囲の協力と自らの努力で、最終的には弁護士になることができたそうです。


(2014年9月16日号)