エンターテイメント

映画の穴

才色兼備のフェミニスト

Jodie Foster

強い女性ばかりを演じることが
私の女優としてのアキレス腱かも

2人目の子供の出産を機に長い休暇に入っていたジョディ・フォスター。昨年、3年振りの主演作『Flightplan』が堂々のヒットとなり、人気が健在であることを証明した。
 
「『Flightplan』は完璧とは言えない作品だけど、キャラクターの描き方が素晴らしく、真実味を持って描かれていたから、俳優としてあの作品を誇りに思っているわ」。

昨年は女優が主演する映画がヒットに悩んだ年であったが、その中で彼女のカムバックはひと際目立っていた。
 
「私が出演する作品が常に完璧な脚本でないとだめとか、素晴らしい作品だと言うわけではないんだけれど、私は年間に3本も出演するわけではないし、3年に1本の時もある位、ピッキーなの。何かを強く表現していたり、自分に訴えかけてくる作品でないとダメ。『Flightplan』は、子供を見失った親ならどんな人もああいう行動に出るだろう、という絶対的な真実味があった。世界共通の感覚よ。こういう作品に出会えるなら、3年に1本でも十分なの」。

ガツガツしない、ゆっくりとしたペースでの仕事選びは、長いキャリアから来るところもあるのだろう。3歳の時からCMやTVに出演する子役として仕事をしてきて、14歳の時『Taxi Driver』で売春婦の役を演じ、アカデミー賞にノミネート。その後、30歳までに2度受賞するという快挙を成し遂げている。
 
「私は完全なフェミニスト。フェミニズムとヒューマニズムはまったく同じものよ。女性なので女の役を演じるしか仕方がないんだけど(笑)、映画の中に必ずヒューマニズムを盛り込むようにしているの」。
 
彼女の演じる女性像は、確かに複雑で、記憶に残るキャラクターが多い。 「『The Accused(邦題:告発の行方)』で演じたようなキャラクターは大好きよ。あの女性は自分自身が強い女性だということを知らずにいるけれど、映画が進むにつれ、本人が自分の持つ力を発見するの。ああいうキャラクターをまた演じてみたいとは思っても、あの頃は私も若かったけれ、43歳の女性が、自分が強かったことにこれまで気がつかなかった、というわけにはいかないわね」。
 
そんな43歳の彼女が最新作『Inside Man』で演じる役柄は、前作『Flightplan』とは正反対の意味での「強い」女性だ。社会的権力を持ち、声を張ることなく周囲を動かすことができる女性。他を圧倒させる不気味な威厳を備える役どころだ。
 
「私は常に強い女性を演じる傾向にあるの。いろんな意味での強い女性なんだけど。正直なところ、時々それが私の女優としてのアキレス腱だと感じるわ。どうやって、か弱い女性を演じたらいいかわからないし、たとえそういう役を演じたとしても、観客は私らしくないと思うでしょうね」。
 
先日会ったユニバーサルのマーケティング担当の女性は、「ジョディ・フォスターは、ポスターに俳優の顔を載せて効果が上がる数少ない女優の1人」と、話していた。なるほど、『Flightplan』のポスターにも『Inside Man』のポスターにも、彼女の顔はしっかり載っている。
 
キリリと結ばれた薄い唇が聡明さを強調するかのような彼女の趣が、強い女性の象徴として老若男女に幅広くアピールすることは不思議ではない。

【主なフィルモグラフィー】
『Flightplan』(2005)
『Panic Room』(2002)
『Nell』(1994)
『The Silence of the Lambs』(1991)
『The Accused』(1988)
『Taxi Driver』(1976)

[ 文:いしばし ともこ ]
Inside Man
監督:スパイク・リー
出演: デンゼル・ワシントン
   クライブ・オーウェン
   ジョディ・フォスター
R・129 分
公開日:公開中
©2006 Universal Pictures Distribution