エンターテイメント

映画の穴

オーラを透明にする本格派俳優

Jamie Foxx

たとえ作品がビデオストレートになっても構わない。それも自分が通ってきた道だから

 ジュリアード音楽院出身のミュージシャンで、ビルボードチャート・ナンバー1を獲得、アカデミー賞主演男優賞受賞、ゴールデン・グローブ賞主演男優賞受賞などなど、経歴が輝かしい割に、ジェイミー・フォックスにこんなにオーラがないのは何故だろう?

 「(A-listの役者と言われても)それは、周りが勝手に分類してるだけだよ。本当のA-listというのは、クリント・イーストウッドとかウォーレン・ビーティー、トム・クルーズ、ハリソン・フォードみたいに、良い映画に何年も出演し続けている人たちのことだ。周囲の人は早く業績を認めすぎる。まだA-listらしいことは何もやっちゃいない」。

 なるほど、謙虚さ故、オーラを消しているのか。奢りのようなものは一切感じられない。元々はコメディアン出身で、そのことにも誇りを持っているようだ。「コメディアンたちが僕のところへ来て『自分たちにもチャンスができた! アカデミーの目に触れればいいんだ』って言うんだ。面白いよね。僕はそんな話はひと言もしないんだ。たとえ作品が(劇場公開されずに)ビデオストレートになったとしても、それも1つの方法だと思ってる。だって僕もそこから始まったんだから」。

 ジェイミー・フォックスを囲む人々は、皆、彼がパーティー好きの賑やかな人だと口を揃える。新作『Miami Vice』の撮影の合間にも、夜な夜なパーティーを開いていたようだ。「撮影前の時には特にね。コリン(ファレル)の誕生日だったからヴェルサーチ・マンションでパーティーをしたんだ。あれはクレイジーだったね」。

 エディ・マーフィーやシャキール・オニールもパーティーの常連のようだが、彼にはパーティーに招待する客の特殊な名簿があるらしい。「18年前、いろいろなクラブに行ってはDJのマイクを横取りして、飛び込みでスタンダップをやってたんだ。するとお客さんたちが名前や電話番号を書いたカードをくれて、次の自分のステージを知らせてほしいと言ってくれるようになった。そういうのが800人分あるんだ。だからコメディー・クラブデーやパーティーを開いて、その人たちを招待する。顔と名前は一致しないけど、顔を見ればわかる人もいるよ」。

 支えてくれた人たちへの恩を忘れない、地道な人柄らしい。今回共演のコリン・ファレルともずいぶん気が合ったようだ。「コリンとはまた共演したいね。今度はもっとお互い自分を出せる役でね。この映画で見られる以上のケミストリーを僕たちは持っていると思うんだ。台詞や脚本やライティングなども気にせずやってみたいよ」。

 監督のマイケル・マンとは『Ali』『Collateral』に続いて3度目の仕事となる。毎回かなりのトレーニングをさせられるようだ。「銃の撃ち方から(高速)モーターボートの操縦までいろいろ訓練したよ。マイケル・マンの映画では訓練、訓練、また訓練がつきもの。僕は彼の生徒だからあらゆることをやった。でもあまりやり過ぎると臨機応変さがなくなるから、必要最低限をやることにしたよ」。「明日、銃撃シーンの撮影、と聞いたら前日にその訓練をする。必要な分だけ。間に合わなかったら写さないでもらう。38、39歳でジムで鍛えるなんて大変だよ。おしり? 上半身だけ写してって」。
 そうは言っても自分に厳しい彼は、影で人並み以上の努力をしているのかもしれない。

©2006 Universal Pictures All Right Reserved

【主なフィルモグラフィー】
Dreamgirls (2006)
Ray (2004)
Collateral (2004)
Ali (2001)
Toys (1992)

[ 文:いしばし ともこ ]
『Miami Vice』
監督:マイケル・マン
出演:コリン・ファレルジェイミー・フォックスコン・リー
Rating・ R、134分
©2006 Universal Pictures