エンターテイメント

映画の穴

精悍さをプラスした現代の貴公子

Orlando Bloom

「大きな映画に出演できて、とてもラッキーな人生。
でも、まだまだ学ぶことはたくさんある」

 アクティングスクール時代にピーター・ジャクソン監督に見出され、『The Lord of the Rings』に出演し、注目を浴びたのが23歳の時。アンサンブルキャストの映画なのに、オルランド・ブルームは飛び出す絵本みたいに、ポッと浮かび上がっていた。目に見えないはずのオーラというものが、全世界の人々の目に見えたかのように、彼はまさに彗星のごとくスターダムを昇り始めた。

 それから5年。パピーのようなあどけない可愛らしさが、柔らかな微笑みをたたえる精悍な大人の姿に変わって、ますますセクシー。超大作で主演を張る活躍から来る自信のせいもあるだろう。

 「有名であることにも徐々に慣れてきたよ。でも、みんな映画の役を通して僕を見るから、楽ではないね。例えば、ここにこうして座っていれば『あ〜、割と普通のヤツだな』って思うはずなのに、記事になると『彼は犬とともに登場し…』って、とてもドラマチックに書かれてしまうからね」。

 犬、というのは彼が映画の撮影中に拾って養子(?)にした、「シディ」のこと。どこへ行くのにも一緒なので、マスコミは「新しい恋人」とばかりに犬のことを取り上げている。本当は、長く付き合っている女優のケイト・ボズワースとの別離の噂など、恋の話も聞きたいところだが、質問がそういうところへいくと、「『Kingdom of Heaven』の撮影の頃になって、初めて一般の人の興味の目にさらされるのがどういうことかがわかったんだ。でも、一生懸命、仕事に集中するようにしたよ」なんて、さらりと流す余裕も見せている。

 新作の『Elizabethtown』で彼が演じるのは、人生を見失い、原点へ戻って自分を見つめ直す青年の役。

 「僕自身、背骨を折った時に、人生をまったく違った観点から見つめ直さなければならなかったんだよ。人間関係でも、なんとかボールを落とさないようにと、いつも頑張るけど、でも失敗は起こってしまうもの。失敗した時こそ自分が成長できるのだがら、それを恐れてはいけないよね」。

 俳優として尊敬しているのはジョニー・デップ。スターとして大作にばかり出演する生き方よりも、俳優として地道に作品を選んでいる彼に共感しているようだ。

 「自分の意志とは違うところで、超大作に出演する役者として生きている自分がいる。それは、とてもラッキーだと思うし、感謝しているけど、今、やっているようなものに、もう少し小さな作品や舞台なども混ぜて、やっていきたいんだ」。

 有名になればなるほど、普通の人間としての質を磨く努力を心がけ、地に足を着けて実力のある俳優になりたいと願っている、真摯な人柄のオルランド。

 ハリウッドでは現在、ポスト・ジェームス・ボンド探しが盛り上がっている。イギリス人なのに彼の名前が候補に挙がらないのは、年が若いせいではなく、プレイボーイのボンド役にしては性格が真面目すぎるからなのかな?

【主なフィルモグラフィー】
『Pirates of the Caribbean: Dead Man's Chest』(2006)
『Elizabethtown』(2005)
『Kingdom of Heaven』(2005)
『Troy』(2004)
『The Pirates of the Caribbean: The Curse of Black Pearl』(2003)
『The Lord of the Rings: The Return of the King』(2003)
『The Lord of the Rings: The Two Towers』(2002)
『The Lord of the Rings : The Fellowship of the Ring』(2001)

©2005 Paramount Pictures



[ 文:いしばし ともこ ]