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映画の穴

明るく強いママ女優

Reese Witherspoon

「15年間俳優をやっているけど
今回のように死ぬほど怖い思いをする役はあまりないわ」

 IQの高そうな、一見小悪魔的なスマイルを持ちながら、率直で信頼できる人柄を覗かせる、という矛盾したイメージが、同性の私から見てもとても魅力的に見えるリース。10年前に結婚した時はまだ19歳で、「とっても幸せ! だって夫がライアン・フィリピなのよ」と、屈託なくペコちゃんのように舌を出して笑っていた彼女だが、今では2児の母親とあって、すっかり語り口も落ち着いた。

 「(ハリウッドでは結婚が長続きしないことが多いけれど)なぜ私たちのところが続いているのかはわからない。ただ、私たちはとてもいい友達同士だし、彼はとても素晴らしい夫」。マスコミからはよくカカア天下のように書かれているが、南部の女性らしく、夫を立てることを忘れない謙虚さがある。

 「今回の役柄だったジューン・カーターも南部の女性で、家族や社会を大切にするところや、物の見方、思いやりといったところに共感できるわ」。そう、いつも難しい役に挑戦し続けている彼女だが、新作の『Walk the Line』では、カントリーシンガー、ジューン・カーターを演じている。

 「15年間俳優をやっているけれど、今回のように死ぬほど怖い思いをする役はあまりないわ。毎回本番前にはとても緊張したの。でもそういう役に挑戦することで前進できるし、生き甲斐を得られる」。すでにアカデミー賞に絡んでくると呼び声の高いこの作品では、共演のホアキン・フェニックス共、本当に歌を歌い、楽器を弾いている。

 「撮影が始まる前、6カ月間、歌と楽器演奏の特訓をしたの。1時間のレッスンにつき3時間分の自主練習をするように先生に言われて、いつも練習していたわ。そうでないとこの役はできないと思って」。

 実在のカーターは惜しくも撮影の直前に亡くなり、リースは本人とは会えなかったそうだが、カーターの子供たちとはたくさん話をしたという。「ジューンの形見を分けてくれたの。聖書とか、下着とかね(笑)」。

 ハリウッドで長続きするために必要な演技力と人気を兼ね備えているリースだが、デビュー当時は叩かれたこともあったという。

 「周囲は、やれ、お前のやってることは正しくないだとか、背が足りない、可愛さが足りない、頭の良さが足りない、とかって言っていたわ。私はそういう周囲の声に耳を貸さず、重要だと思うことにだけ集中してきたの。自分がやっていることはうまくできていると思うし、楽しんでやっているわ。頑固なところが良かったのね」。女優として成功しても、決して奢ることはなく、それでいて必要以上に謙虚になることもない。

 「金持ちであることに罪悪感は感じていないわ。私も夫も決して裕福な家庭に育ったわけではないから、今、親たちの世話をしてあげられることがうれしいの。ただ、アメリカの人々の大半が少ない収入しかなく、ぎりぎりの生活をしているという現実もわかっている。だから少しでも社会の役に立ちたいわ」。彼女と夫は、子供の人権保護団体や難民のための施設建設、そして健康保険のためのロビー活動などに参加するなど、チャリティー活動にも積極的だ。

 家庭と仕事を大切にし、言うべきことをはっきり主張し、自分の信念に基づいて行動する。リースはまさに新旧アメリカ女性の良い部分を凝縮したような大きな女性だ。

【主なフィルモグラフィー】
『Walk the Line』(2005)
『Vanity Fair』(2004)
『Legally Blonde 2: Red, White & Blonde』(2003)
『Sweet Home Alabama』(2002)
『Legally Blonde』(2001)
『Election』(1999)

©2005 20th Century Fox

[ 文:いしばし ともこ ]