エンターテイメント

映画の穴

若きベテラン・エンターテイナー

Justin Timberlake

名声とは僕にとっては実世界じゃない。
餌を与えられる機械の一部だ

 日本人にはあまり馴染みがないが、『ミッキー・マウス・クラブ』といえば、多くのアイドルたちを輩出した人気TV番組だ。
  
 1989年からの、たった6年間で、ブリトニー・スピアーズ、クリスティーナ・アギレラ、ケリー・ラッセル、ライアン・ゴズリングなど、そうそうたる顔ぶれが並ぶ。そのなかでも、番組の終盤に出演していたジャスティン・ティンバーレイクは、出世頭の1人。そんな彼も最近は歌手としてだけではなく、多方面で活動し、多忙なようだ。

 「滅茶苦茶忙しいよ。でもみんな同じじゃないかな。ジョージ・クルーニーもきっと忙しいよ(笑)」。

 ミッキー・マウス・クラブを卒業した後、14歳でNSYNCを結成し、ティーンアイドルとなった。苦労を知らない子供時代だったのかと思うが、そうでもないらしい。

 「13歳の時、テネシー州のメンフィスに住んでいたんだけど、クラスメートにひどく殴られてね。頭に大きなこぶと、目の周りに黒いアザができた。あばらも数本折れたみたいだった」。

 いわゆる、イジメに遭ったということらしい。
 「そんな時、大変なのは、なんでそうなったのか理解することだ。しばらくすると、もう考えないようになる。理解しようとしてもわからないからね。自分はそんな風に生きたくない。こういうことがあると、人間は強くなるよ」。

 子供ながらにふっ切れた時、別の人生を踏み出した、ということだろう。
 数年前から、脱アイドルを主張するかのように、クルクル巻き毛のトレードマークを止めて坊主頭にしている。そのせいもあってか、これまでは兵士の役や不良少年の役のイメージが強かったが、今回は『Shrek the Third』で、声だけとはいえ、なんと王子役だ。

 「今までのキャリアのなかで、文句なしの仕事だったね。役の話をもらった時、即答でイエスと答えたよ」。

 初めての体験にワクワクしたようだ。
 「1年半くらいの間に4、5時間のセッションを6、7回やったら、突然僕の声がキャラクターになっているから本当に驚きだ。(セッションの時は)たった1人で演技をするから、周りのキャラクターとうまくフィットしていると信じるしかないんだ 」。

 学校嫌いだった彼は、皮肉屋で学校嫌いのアーティ役に共感を持ったという。光の中にいて、実は疎外感を感じているのだろうか?

 「時々自分が動物園の猿のように感じる時もあるし、またある時は、自分が世界で1番普通の男だと感じる時もある」。

 エンターテインメントの世界にいるために、動物園の猿のように扱われるのはフェアじゃないと訴える。

 「そんな風に人生を生きていないし、怖がってもいない。地球温暖化の方がよっぽど恐いね」。

 子供の頃、いじめっ子たちの暴力を無視して人生を進んだように、スターである彼の「普通」の人生を蝕む物見よがりの人々を、自分とは無関係だと切り離しているのだろう。

 「名声は、僕にとっては実世界じゃない。餌を与えられる機械の一部だ。僕の仮面によって餌を与えられているんだ。僕の両親はいつも名声は現実じゃないと教えてくれた。家族や友達こそが現実だ。先日ニュージャージーでじっと音楽を聞いてくれた2万人の観客も、僕が有名だからではなく、楽しみたいから来てくれたんだと信じたいよ」。

©2007 www.music-artists.org

【主なフィルモグラフィー】
Black Snake Moan(2006)
Southland Tales(2006)
Alpha Dog(2006 )
Edison(2005 )

[ 文:いしばし ともこ ]
Shrek the Third
監督:クリス・ミラー、レイマン・フイ
出演:マイク・マイヤース
   エディ・マーフィー
   キャメロン・ディアス
   アントニオ・バンデラス
   ジュリー・アンドリュース
   ジャスティン・ティンバーレイク
Rated:PG 上映時間:92分 公開中
©2007 Paramount Pictures