遊ぶ
Leisure

ゴルフ徒然草

ヒデ・スギヤマが、ゴルフに関する古今東西の話題を徒然なるままに書きまとめた、時にシリアスに、時にお笑い満載の、無責任かつ無秩序なゴルフエッセイ。

ヒデ・スギヤマ/平日はハリウッド映画業界を駆け回るビジネスマン、
週末はゴルフと執筆活動に励むゴルフライター。

ヒデ・スギヤマ

vol.12 ライダーカップ

今年は2年に一度のライダーカップイヤー。
試合は9月22日から24日の3日間、ご承知のように決戦舞台は米国と欧州が交互に替わるのだが、
今回はヨーロッパの番でアイルランド(何と美しい国か!)のダブリンにある、
“The K Club”で開催された。
多くの米国籍プロゴルファーが、デビュー当時に聞かれる「将来の夢は?」という質問に対し、
最も多い答えは「ライダーカップのメンバーに選ばれる事」。
勝っても1ドルの賞金さえ貰えないこの米国・欧州ゴルフ対抗戦に、
米国人は何故かくも熱くなれるのか? 
それと冷静に見ると、実はヨーロッパ・チームは、
アメリカ・チームとは少し異なる次元で戦っているように映る。
さてライダーカップとは米国人プロゴルファーにとって、
また欧州連合チーム選手にとって、一体どのような位置付けにあるのか。
少し変わった視点から考察してみよう。

昔はイングランド対アメリカだった事を、ゴルフ歴史ファンの方はご存知だと思う。
ところが、アメリカが強すぎて(もしくはイングランドが弱すぎて?)、
かなり以前に全ヨーロッパ対アメリカに変更になった。
ここがまず、最初のポイント。変更はアメリカ側からの提案なのか、
もしくはヨーロッパ側の提案をアメリカが快く了承したのかは不明だが、
いかにも米国人気質を感じさせる話である。
つまり彼らは、常に公平な立場で戦う事を望み、そして勝つのが至上の喜びなのである。


話がそれるが、ハリウッド映画の傑作“ブレードランナー”で、
主演のハリソン・フォードが人造人間と戦うが全く相手にならず、もう殺される事を覚悟すると、
相手は遊び相手を失った子供のように淋しそうにする場面があり、
その演出は米国人魂を象徴していた。
そう、アメリカチームは常に激しく戦ったうえで勝利を得たいのだ。
ちょうど昔のアメリカチームは、その人造人間と同じ心境だったのだろう。
僅差で負けるかもしれない同程度のレベルで勝負し、そして勝たねばならない環境を自ら設定した。
もしくはそう仕向けた。何ともストイックな奴等だ。

また、過去のライダーカップで何度も目にしてきたが、
日ごろ冷静な米国選手が子供のようにはしゃぎ回っている光景が忘れられない。
数年前の米国での同大会で、あのクールなデビッド・デュバルが見せたガッツポーズ10連発とか、
ジャスティン・レナードがバーディーパットを決めた際に、
いつもの伊達男ぶりを忘れグリーン上を走り回ったり、等々…。
とにかく米国人選手は必ずいつもより大騒ぎする!これが2つめのポイント。
そして当時、そのジャスティン・レナードのはしゃぎぶりに、後から「グリーンが傷つく。
ゴルファーにあるまじき行為」と冷静に非難したヨーロッパチームの態度が、
実は最も面白そうな3つめのポイントである。


“国の威信”という、ハンバーガーよりもスーパーボールよりも大好きなキーワードを自ら眼前にぶら下げ、必死になって闘う米国チーム。
正直言って1人で盛り上がっている雰囲気が否めないが、決して悪い印象はない。
『いつも熱くて憎めないアメリカ君』という比喩が相応しい。
ただ早慶戦や巨神戦のようにバランスよく対峙していない。
欧州チームが結構クールなのだ。ヨーロッパも勿論、毎回必死になって戦う。
国籍こそ違えども、盛り上がりもチームワークも最高である。
しかし彼らが激しく戦う1番の理由は、まずプロスポーツマンとしての戦闘本能であり、
次にまるで“自分達が公正に盛り上がる為に作られた大会”と、勝手に位置付けているアメリカに、
「ひと泡ふかせてやろう」という、内に秘めた挑戦意欲だと思う。
彼らに共通の星条旗はないのだから。

国の名誉をかけて戦うアメリカと、その隙を狙い、
「我々が実はクールな世界最強ゴルファー軍団だ」と宣言したいヨーロッパチーム。
いずれにしても目が離せないゲームのひとつである。
日本もワールドカップゴルフでは何度か盛り上がったが(男女とも過去に優勝達成)、国別対抗戦などをもっと積極的に仕掛けていけば、新規ファンの開拓に繋がるのでは?
オリンピックやサッカー・ワールドカップを見ていて、おそらく
「国のために闘う」ことのストイックさは米国を上回るものがあるだろう。
定着するには時間がかかるだろうが、ファンや選手層の底上げを考えると、
是非腰を据えて取り組んで欲しいテーマである。

ゴルフ南加Aコース一覧はこちら