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ゴルフ徒然草

ヒデ・スギヤマが、ゴルフに関する古今東西の話題を徒然なるままに書きまとめた、時にシリアスに、時にお笑い満載の、無責任かつ無秩序なゴルフエッセイ。

ヒデ・スギヤマ/平日はハリウッド映画業界を駆け回るビジネスマン、
週末はゴルフと執筆活動に励むゴルフライター。

ヒデ・スギヤマ

vol.14 レーキはどこに?

世界各国で楽しまれているゴルフ。
基本的なルールやエチケットはどこに行っても不変ですが、
細かい習慣になると国々によって微妙に異なります。
比較的近い文化を持つ日米の間でも、これまで過去の記事で何度もご紹介してきましたように、
意外な違いが幾つか有ります(例:“スプーンって何?”、“ショート・ミドル・ロング
その他バックナンバーをご参照下さい)。
さて今日はバンカーのお話です。

「バンカーショットを終えたら、レーキを使ってきれいに自分でショットの跡を直していくように」と、
ゴルフを始めた当初は誰もが教えられます。
今日のテーマはその後。
私が日本でゴルフを始めた頃、諸先輩から教えられたのは
「レーキを使った後は、バンカーの外側の縁に置いておくように。バンカーの中に置くと、ボールが入ってきた時にそれに引っ掛かって止まり、本来のライが変ってしまうだろう」と言われました。
『なるほど』と思って、いつも日本では教わったとおりにしていました。
実際に北海道から九州まで各地でプレーしましたが、
ほとんどの日本のゴルフ場ではその教えと同じようになっていましたし、
疑問さえ思ったこともありませんでした。
また初心者から同様の質問を尋ねられた時も、胸を張って同じように伝授しました。


さて、その後アメリカに渡って多くのゴルフ場を訪れ、そこでバンカーを見るたびに驚きました。
『あれ、レーキがバンカーの中に置いてある。もう、しょうがないな。これじゃあバンカーショットの状況が
変っちゃうじゃないか』と思い、丁寧に何度もバンカーの外に出していたのです。
しかしある日、ゴルフ博士の友人ロバートがそれを見て、
「違うよ。レーキはバンカーの中に置くんだよ」と指摘したのです。
「でも、それじゃバンカーショットの邪魔になったり、また本来あるべき状況やライが変っちゃうじゃないか」
と反論すると、彼は自信満々に、「NO。レーキが外にあると、本来はバンカーに入るはずだったボールがレーキに当たって
中に入らなかったり、またレーキに当たって本来進む方向だったボールの行き先が変ってしまう。
それはおかしいだろう」と言われました。
「なるほど、それも正しいな…」と納得し、
いったい正しいのはどちらなんだ!と頭が混乱してきました。
それ以来、LAの様々なゴルフ場で意識して見てきましたが、
確かにほとんどのゴルフ場でレーキはバンカーの中に置いてあったのです。


ゴルフルールの総本山であるイングランドのR&A情報に詳しい、
ゴルフメーカーに勤務する友人に尋ねてみました。
その男いわく「昔からのルールによると、レーキは外に置くのが正しい。但し、ヨーロッパやアメリカでは
90%以上の確率で、みんな中に置いているね。そして最新のR&Aのルールでは、“各クラブの方針に従う”
となっているよ」と教えてくれました。
そして「イングランドのゴルファーは、コースの美観を何よりも気にする。ティーマークも可能な限り控えめにするし、だからレーキのようなゴルフの“付属品”が目に入ることを嫌がるので、バンカーの中に置く。そしてアメリカのゴルフはイングランドから入って来たから、“右にならえ”になっているんだ」と言いました。
またまた、なるほど。

そしてこう付け加えました。
「まあ中でも外でもいいんだけど、大事なことはすぐにレーキが見つかること。たまに見つからないことがあるだろう?だから僕は、まずレーキは中に置いて、そして取っ手の部分をバンカーのふちにかけておくんだ。
するとボールが当たる確立も低いし、すぐに見つかる。美観も損ねない…。」
再びなるほど。
それが一番上品な置き方かもしれません。
まあいずれにしても、一番大事なことはきれいに跡を直していくこと。
もしくはスーパーショットの連発でバンカーに絶対に入れないこと、かな?…。

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