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ゴルフ徒然草

ヒデ・スギヤマが、ゴルフに関する古今東西の話題を徒然なるままに書きまとめた、時にシリアスに、時にお笑い満載の、無責任かつ無秩序なゴルフエッセイ。

ヒデ・スギヤマ/平日はハリウッド映画業界を駆け回るビジネスマン、
週末はゴルフと執筆活動に励むゴルフライター。

ヒデ・スギヤマ

vol.18 ゴルファー遠方より来る。また嬉しからずや。(後編)

前編のあらすじ: LAで初めての海外ゴルフに挑んだTさん。日本では上級者だが、どうもLAではいつもの調子が出ないのです。何故だろう?とその理由を考えていたら、Tさんが突然「あー!」と叫んで走り出しました。なるほど。原因はそこにあったのか…。


突然走り出したTさん。唖然と見ていると、前のホールのグリーンを目指して一目散に疾走しています。
しばらくして汗だくで帰ってきたTさんに事情を尋ねると、
「いやあ、サンドウエッジを前のグリーンで忘れちゃたんだよ!」とTさん。まだ肩で息をしています。
カートで行けば良かったのに… 本能的に走り出していたのでしょう
(上級者ほど初心者のようなミスに激しく照れます)。
そして「いやー、見つかってよかった。勿論、自分が悪いんだけどね。
それにしても、キャディなしのプレーはやる事が多くて大変だ」と言ったのです。
Tさんの調子が出ない理由を、私はその一言で確信したのです。

「確かに君の推測通りで、長年ゴルフをやってきたけど、プレーした場所は日本国内だけだったので、
キャディなしのプレーは全くの初心者以来20数年ぶりだったね」
プレー後、Tさんはビールを飲みながら語り始めました。
「私は日本では、ショットの度にキャディに距離を尋ね、パットの度に芝目を教えてもらい、
ボールもクラブもきれいに拭いてもらっていたんだ。
そして正直言うと、我ながらゴルフはそこそこのレベルまで来たと思っていた。
でも今日、キャディがいないと自分ひとりでは距離も芝目も分らず、自分のクラブの管理さえできない、
赤ん坊ゴルファーだという事を思い知らされたよ」
と苦笑いさえ浮かべながら、しみじみと話したのです。

確かにアメリカでは、一部の高級カントリークラブ以外はキャディがつく事はまずありません。
日本と違ってグリーンでピンを抜くのも自分なら、ボールの落下地点を見極めるのも自分の目です。
キャディの世話無しでは何もできない日本の温室育ちゴルファーが、いきなりティーショットの狙い所からボール拭き、
クラブの管理まで自分でやらされて(それが当然なのですが)、すっかり自分のペースを見失ってしまった、
というのがTさんの不調の原因だったのです。
そして同様に、多くの日本人ゴルファーが、米国では自分のリズムに乗り切れない理由だと思います。
確かに自分も日本にいた時を振り返ると、キャディさんは何でもしてくれたなーと、懐かしく思い出しました。
しかもわがままなオヤジ達を、一人で一度に4人も面倒みるのですから。そりゃあ大変です。
お母さん無しでは何も一人でできない大きな赤ん坊ゴルファーが、
日本にはまだまだたくさん生息しているようです。

Tさんは続けて「でも自分で全部決めるのは何故か新鮮だったね。
本当にトータルな意味で、自分の力でゴルフをしたという感じがしたよ。
今後は日本でもなるべくキャディに聞かず、自分で考えてみようと思う」と目を輝かせて語ってくれました。
スコアはあまり納得できなかったかもしれませんが、今回のLAゴルフでは、
技術以外の何かを再発見してくれたようです。
違った視点から見つけた新しいゴルフ感で、Tさんの華麗なプレーの奥深さを
更に広げてくれることでしょう。

ゴルファーそして友、遠方より来る。また嬉しからずや。

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