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ゴルフ徒然草

ヒデ・スギヤマが、ゴルフに関する古今東西の話題を徒然なるままに書きまとめた、時にシリアスに、時にお笑い満載の、無責任かつ無秩序なゴルフエッセイ。

ヒデ・スギヤマ/平日はハリウッド映画業界を駆け回るビジネスマン、
週末はゴルフと執筆活動に励むゴルフライター。

ヒデ・スギヤマ

vol. 20 2057年。ロサンゼルスにて。

ハリウッドに“フーチャリスト”という、文字通り“未来”のことを推測して、
映画制作に役立てる職業があります。
とてつもない未来、例えば西暦4000年とかになると、
もう『何でもあり』なので物語の設定に矛盾も何もなくなってくるのですが、
例えば40〜50年先といった近未来となると、
辻褄が合っていないと観客は一気に白けてしまうのです。

そんな時がフーチャリストの出番。
例えばSF映画の“マイノリティーレポート”や“I, ROBOT”は、
今から数十年後のアメリカの大都市という設定だったので非常に難しい題材でしたが、
加速度的に進化すると思われる通信機器や自動車、
逆に今とあまり変らないであろう衣服や食品など、見事な近未来都市を創作していました。
そこで今回は未来のゴルフコースがどうなっているか、
素人フーチャリストの私が推測して映像化してみましょう。
では… “未来のゴルフコースを訪れるツアー”の出発です!


… 2057年、ロサンゼルス。
ライトハウス・カントリークラブを目指してトムとジェリーはそれぞれ愛車を走らせていた。
相変わらず405は渋滞で、サンタモニカからオレンジカウンティまで10分もかかってしまうが、
昔はこの距離に1時間以上かかったらしいことを二人はどうしても実感できない。
最新型オートモービルは、半径100マイル以内ならほぼ音速と同じスピードで運んでくれる。
しかし朝の『音速フリーウエイ405』は乗り場に皆が集中するので、
その待ち時間に10分も取られるのだった。
二人は互いに、自分の車の運転席画面に映る相手の顔を見ながら、
イヤリング式で耳に付けられた超小型電話で今日の勝負について語っていた。

「今日はプレー後のビールをかけようぜ」とトムが言った。
懐古デザインが大流行のLAだけあり、二人とも80年ほど前に流行ったと言われる、
胸に刺繍が入り、わざと昔風に縫われたポロシャツを着ている(ご参考:プロのフーチャリスト達も、
ファッションは未来になっても意外と今と変わらない、または繰り返されると言っています。
例えばジーンズなど、今のデザインも50年前とあまり変っていません)。
「いいよ、たっぷり飲ませてもらうよ」とジェリーは笑って答える。
ゴルフコースに着くと、ロボットがカートにクラブを積んでくれた。
二人は携帯式の腕時計型パソコンで、
車の中からチェックインを済ませていたのでそのままカートに乗り込み1番ホールへと向かった。


「このコースは久し振りだなァ。
さあて1番ホールは…」ジェリーがカートに備え付けられたボタンを押すと、
美しい3D画像が前面の空間に飛び出し、ホール紹介、攻略のヒント、
コースデザイナーからのコメントなどが流された。それを横目に見ながら、
流行りものに目がないジェリーが新型の八角形ドライバーをバッグから抜き出すと、
「あー、それ買ったんだ!」とトムが目ざとく近寄ってきた。

「うん。ショップのオヤジが円すい型ドライバーはもう古いってさ。
これからは八角形の時代だって。しかもこのクラブは、打ったその場で飛距離、
スイングプレーンの角度、筋肉とシャフトのしなりバランス… 
全てソールに数値が出るから、問題点がすぐに分かるんだ」と説明するジェリーに、
「へー、すごいな… 僕はまだ今でも三角形タイプだよ」
と10年も前のクラブを恥ずかしそうに取り出した。
しかし最新クラブで打ったジェリーのボールを、
50ヤード以上もオーバードライブした旧式クラブのトムは、
その飛距離に唖然とするジェリーにニヤリと笑いかけ「やっぱり道具じゃないね」と言った。
「確かに」とジェリーも笑っている。

「やっぱり道具じゃないね」… 今も昔も多くの人が言ってきたそのセリフ。
芝と砂と池の匂い。
木々を揺らして自然のたくましさを誇示する山風と、かすかに塩の香を運んでくれる海風。
野生のリスとウサギ達。それらは50年前も、おそらく100年前からも変っておらず、
100年後も変っていないことでしょう。
そして人間関係を豊かにしてくれる、友人や家族と一緒にプレーする時間。
これも永遠に変ることのない、かけがえのないひと時であり続けることでしょう。
ゴルフって、いつの時代も本当に楽しいですね!

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