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ゴルフ徒然草

ヒデ・スギヤマが、ゴルフに関する古今東西の話題を徒然なるままに書きまとめた、時にシリアスに、時にお笑い満載の、無責任かつ無秩序なゴルフエッセイ。

ヒデ・スギヤマ/平日はハリウッド映画業界を駆け回るビジネスマン、
週末はゴルフと執筆活動に励むゴルフライター。

ヒデ・スギヤマ

Vol. 27 世界最大級の市場にゴルフブーム到来?

世界中から常に熱い注目を浴び、著しい成長を持続している中国市場。
当然ながら、ゴルフ産業にも多大な影響を与え始めたようである。
当初は、その強大な生産力の供給が可能な“工場地”扱いだったが、
ここ数年の新たな中国富裕層の登場により、飛躍的にゴルフプレイヤーの人口が伸びている。
総人口が13億とも14億とも言われるチャイナ。
この圧倒される数字の迫力、そして欧米や日本、韓国の過去の実例をひも解くまでもなく、
富裕者層がゴルフを溺愛することは疑いようがない。
あっという間に中国にもゴルフブームが、それも半端でない数字を伴って訪れ、
世界のゴルフ産業に大きなインパクトを与える日も近いことだろう。

現在の中国ゴルファー人口はおよそ100万人と言われており、
まだ総人口の0.1%にも満たないが(逆に言うと0.1%にも満たないのに100万人もいることがすごい…)、
受け入れ側のゴルフコースは200を超え、加速度的に毎年多くのコースが産声を上げている。
すぐに500や1,000を超えるかもしれない。日本ゴルフコース設計家協会が発表している、世界各国の人口10万人あたりのホール数を算出した資料がある。

人口10万人あたりのホール数
日本:30
スコットランド:133
イングランド:44
カナダ:215
米国南東地域:138
米国西海岸:50(意外と少ない!)


この数値に中国を当てはめてみると3.61、円周率よりは大きく失業率よりは小さいといった、
まだまだ可愛らしい数字である。
ただ中国で最初にゴルフコースができたのは1984年。
人間で言うならば、最近やっと歩けるようになった幼児のようなもの。
これからどれだけ伸びるか、楽しみというか末恐ろしい印象のほうが強いかもしれない。

そして単にプレイを楽しむだけでなく、ゴルフ場経営、
必要なギア商品を取り扱うマーチャンダイジングや連動するマーケティング、
メディアと連動したトーナメント運営などで活動する、ビジネスマン達も登場し始めている。
またルールから不適合ボールやクラブまで、ゴルフにまつわる全ての決定権を持ち、
歴史と威厳に満ちたR&Aも、中国でゴルフの基本を伝授する組織を開設した。
そして香港近郊にできたゴルフコース、
ミッションヒルズリゾート(何と180ホールもあるそうです!)にて、
世界ゴルフ選手権の開催を今後12年連続で開催するというニュースも、発表されたばかりである。

現在の米国女子プロゴルフ界では、韓国人ゴルファーが圧倒的な存在感を見せて、
我々日本人に少し寂しい想いをさせているが、
数年後には中国人ゴルファー達が業界を席巻しているかもしれない。
想像していただきたい。
上海雑技団の驚くべきバランスと体のしなり。
あの身体能力を持つ選手に、
「この棒でこの球を、同じリズムで何百回と打ちなさい。
別に力は要らないから。真っすぐに飛べばそれで良い」と言ったとすると、
彼らは何無く鼻歌混じりでこなしそうである。


では、“仮想”20年後の中国ゴルフ事情。ある日曜日、テレビをつけると…

「ニイハオ~。ここパンダ・カントリークラブでは、中国オープンの最終日を迎えています。
何と20万人のギャラリーが押し寄せており、人との接触や混雑を気にしない国民性からか、
中国ではフェアウエイの中にまでファンが入り、選手は思いっきり触られまくっています。
おっと15番ホールでは、プロデビューしたてのタイガー・ウッズ二世が、またウエッジを盗まれました。
今週2本目です。えー…現在の首位は、上海雑技団出身で、
逆立ちしてショットする杏仁・ドーフ選手ですね。
もう普通には打てないそうですよ。
なおキャディは横でパターを使って皿を廻し、ギャラリーからお金を取っているようです。」

…冗談はさておき、中国色満載のゴルフコースがあれば本当に楽しそう!
スナックバーにはワンタンスープにチャーハン。
餃子もあるでよ!ウーン…毎日でも行きたい。
竹がふんだんに使われたコースでは、週末の早朝は地元の住民に解放され、
“タケノコ狩り”で子供たちやお母さんも大喜びだ。
プレイ後は、チャイナドレスのお姉さんが運んでくれる飲茶と、チンタオビールで一服。
おや?奥の個室では“中国式19番ホール”として、そのままゴルフウエアでの麻雀が始まっているぞ。
4人が緑のじゅうたんを囲み、白く硬いもの(麻雀パイ)を転がす。
大のオトナ達が真剣になって時間を忘れている… ゴルフと麻雀の意外な共通点の再発見。

そんな楽しい“チャイニーズゴルフ”の登場を、
今日も私は本気で待っているのだ。それではまた。再見(ザイチェ~ン)!

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