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ゴルフ徒然草

ヒデ・スギヤマが、ゴルフに関する古今東西の話題を徒然なるままに書きまとめた、時にシリアスに、時にお笑い満載の、無責任かつ無秩序なゴルフエッセイ。

ヒデ・スギヤマ/平日はハリウッド映画業界を駆け回るビジネスマン、
週末はゴルフと執筆活動に励むゴルフライター。

ヒデ・スギヤマ

Vol. 36 プロゴルファーの広報戦略

これまでに何度か当コラムで、
日本の若手女子プロゴルファーにエールを送るコメントを書きましたが、
最近の日本でその女子選手達のプレー以外に関することで、
幾つかのバッシングが起こりました。
少し珍しい内容だったので、
もしかしたらまだご存じないLAの皆さんに詳細をお伝えしながら、
ここでその出来事を再考してみましょう。

最初は今年の日本女子オープンで見事に優勝、
初のメジャータイトルを手にした諸見里しのぶさんです。
以前は米国ツアーにも挑戦していたので、LAのゴルファーにも馴染みがある彼女。
アマチュア時代から有名だったこともあり、随分とキャリアが長いような印象がありますが、
まだ弱冠21歳のうら若き女性です。
さてその日本オープンで問題となったのは、諸見里選手自身ではなく、
彼女のコーチであり、アメリカ仕込みのスイング理論で著名な江連忠氏でした。
今回は愛弟子のバッグを自ら担ぎ、キャディーとして四日間一緒に戦ったのです。
そして最終日は江連氏の誕生日でもあり、師匠への最高のバースデイプレゼントとして、
女王・不動裕理選手を一打差で振り切る見事な優勝、
二人にとって生涯忘れられない一日となりました。

さて問題の出来事とは、その江連キャディーの試合中の態度に関するものでした。
44日間のラウンド中、江連氏が諸見里選手に大声で鼓舞し続けたのですが、
ラウンドレポーターやLPGA関係者は、
その態度が他の選手に迷惑をかけたマナー違反だと発言したのです。
偶然に私はその試合の最終日をテレビで見ていたのですが、
確かに諸見里選手に発する江連氏の声がマイクで盛んに拾われ、
オンエアーでもリアルに流されていました。
もっともテレビではそれがどれほど大きい声なのか、
実際に同伴プレイヤーに迷惑だったのか、
マイクを通した声なので判断はできません。ラ
ウンドレポーターだった森口裕子さんが、
優勝が決った後に迷惑行為があった旨をテレビで発言し、
私は思わず「え?何のこと?」と、
最初はそれが江連氏のことを意味しているとは全く分かりませんでした。


江連氏はゴルフダイジェスト誌の優勝インタビューでその件に触れ、
「同伴プレイヤーに迷惑をかけたというのであれば、
素直に謝らなければなりません。ただ様々な国でキャディーをしましたが、
いつも同じスタイルでやっており、
例えばマスターズで片山晋呉選手のキャディーを務めた時も同じでしたが、
誰からもそのような批判は受けませんでした。
だからとても驚いているという印象です」とコメントしています。
一部の報道では不動裕理選手をかく乱するためにわざと大声を出したとも言われましたが、
さすがにそのような下賎な行為は有り得ないでしょうし、
一方でLPGAの関係者もわざと江連氏や諸見里選手をおとしめるために、
根も葉もない批判をしたとも考えられません。
その現場にいなかったので判断できませんが、
個人的には少し周りも過剰反応だったのでは?と推測します。
または日本では珍しいスタイルだったので、驚いて拒絶反応を示したのでは?と考えます。

さて次は上田桃子選手。
今年は見事に獲得賞金1億円を突破して、
宮里藍選手なき日本の若手ゴルフ界をリードしているように映ります。
もっとも彼女も諸見里選手と同じくまだ21歳。
ジュニア時代から二人は何かと比較されましたが、
今年のワールドカップは日本代表として二人で出場するなど、
おそらく日頃からいい意味でのライバル関係なのでしょう。
師匠も同じく江連氏です。
上田選手が最初に叩かれたのは、今年六月の「プロミス・レディース」で、
プレーオフの末に敗れた相手の藤田幸希選手と握手する際の表情が、
あまりに不機嫌だったとの理由でした。
確かにアメリカのスポーツ選手に代表されるように、
負けても笑顔で勝者を祝福する姿は清々しいものがあります。
でも確かに負けたら悔しいし、何よりも自分に腹立たしかったのでは?と思います。
ゴルフは自虐的になるスポーツですから。
でも不機嫌な表情はカメラが回っていない時に出すべきだったかしれません。


そして十月に入った先週のこと。
TBSテレビの人気番組「情熱大陸」で上田選手に密着した放送があり、
その中で彼女は「学生時代、バレーとかバスケとかしている子が不思議で仕方なかった。
先がない((プロがない))スポーツで何故頑張れるのだろうと思っていた」とコメントし、
一般視聴者からクレームが殺到したというものです。
「他のスポーツを解りもしないのに語るな」
「ゴルフだって稼げるのは一部だけだ」
「思ったことを何でも言うな」といった内容だったそうです。
上田選手はすぐに公式ブログで「沢山の方に失礼なことを言って心からお詫び申し上げます。
実は学生時代からバレーやバスケも大好きで、
今でも一番よく観るスポーツはバレーです」と、
冷や汗の弁明で平謝りの様相でした。
これもちょっと可哀想な印象を受けました。
彼女が他のスポーツ選手を非難するような意図を持っていたとは思えませんし、
自分のゴルフに対する思い入れが少女時代からあったことを伝えたい、
その伝える方法をちょっとミスしちゃったかな?という印象です。

さて、諸見里選手と上田選手という今後の日本の女子プロを支えていくであろう、
そして早かれ遅かれアメリカを中心とする世界へ挑戦(諸見里選手は再度)するであろう、
同級生の女性二人。
そしてその二人を指導する、最先端スイング理論と国際性を持つ江連氏。
私の胸中はこの三人への大きな期待と応援の気持ちで満載です。
強くなったからこそ、有名プロになったからこそ、
世間の批判(嫉妬)やあら探し(ねたみ)は更に増えてくることでしょう。
でも「そんなこと気にするな」というのは正論ですがそれは昔の理論。
個人的な意見ですが、陰ではどんなに意地汚くても構わないけど、
メディアの前や試合会場では正統派の爽やかスポーツマンで通すことが、
最先端のプロスポーツ選手の広報戦略だと考えます。
米国生活が長い江連氏はそのあたりは誰よりもよく理解しているでしょうが、
なかなかコーチングに忙しくて気も回らないのでは?選手はなおさらとの事、
練習や試合に集中しないといけないので、そんなことを考えているヒマもないことでしょう。
ここはひとつ、広報戦略を立てるプロに一括して任せたらいかがでしょう。
因みに私は長年広告会社で、企業の広報戦略を担当していました。
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