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ゴルフ徒然草

ヒデ・スギヤマが、ゴルフに関する古今東西の話題を徒然なるままに書きまとめた、時にシリアスに、時にお笑い満載の、無責任かつ無秩序なゴルフエッセイ。

ヒデ・スギヤマ/平日はハリウッド映画業界を駆け回るビジネスマン、
週末はゴルフと執筆活動に励むゴルフライター。

ヒデ・スギヤマ

Vol. 40 ゴルフ史上最も美しいスコア

『パッティングの上手な人と食事をしなさい』
欧州のゴルファー達の間では、このような言葉が昔から言い伝えられているそうです。
どういう意味なのでしょう?

ゴルフの達人いわく、パッティングが上手くなるためには、
3つの能力が備わっていなければならないとのこと。
それは観察力と想像力と決断力。
まずグリーンの芝目や傾斜を正しく読み(観察力)、こんなラインで入るかな…と
ボールが転がっていく様子や速度をビジュアルでイメージし(想像力)、
1度決めたら迷わず真っすぐにヘッドを出す(決断力)。

そしてその3つは、相手を惹きつけるための会話力にも
必要不可欠なものである、と補足しています。
まずその場の空気と相手を『観察』し、どのような話をすれば興味を持つだろうと『想像』し、
そしてネタを切り出すタイミング『決断』も大事ですね。
それらが全て施された人の話は、とても満ち足りた時間を演出してくれます。
だからそういう人との食事は楽しいに違いないという、ゴルファーならではの分析です。
ちなみに私は、ご馳走してくれるならどなたとでも食事をしたいですが…

仮にその3つの能力を持っていたとしても、肝心のトークネタが無いと辛いですよね。
しかしゴルファー同士なら安心。
共通の話題が沢山ありますから。
そこで今日は、多くのゴルファーが最も興味を持つ話題、
『スコア』にまつわるネタを幾つかご紹介しましょう。
今度のゴルフ仲間との食事の際は、このネタで大いに盛り上がり、
会話もパッティングも更にお上手になって下さい。

まずゴルフ史上、最小のスコアを調べてみましょう。
ギネスブックに掲載されている、18ホール・6,000ヤード以上での
最小スコアは『58』で、4名が達成となっています。
そして我らが丸山茂樹選手も、2000年全米オープンの最終予選会で、
見事に58を出しています。
ブラボー!
でもツアー競技でなかったので、公認にならなかったと記録に残っています。
『全米オープンの予選会が公認でない』という意味が全く理解できず、
何でや! という気持ちですが…
それにしても、改めてマルちゃんって素晴らしいゴルファーだな、と再認識しました。

女子では、やはりあの人。
幾つになっても愛くるしい北欧の女神、アニカ・ソレンスタム選手が59を出しています。
ちなみにアンダー数でも、アニカは3日間競技で24アンダー、4日間競技で
27アンダーというとんでもない成績を出し、最小アンダー数の記録保持者であります。
ところで、アニカの声はいつまでも少女のように高くて可愛らしいですね。
ゴルフ史に残る選手って、声の少し変わっている人が多いンです。
帝王ジャック・二クラウスも腹話術の人形みたいに甲高い声で、
声だけ聞くと『帝王』というより、『近所のちょっと壊れたおじさん』みたいです。
でも中味は素晴らしい方です
(バックナンバーVol.8&9『プロゴルファーの業務と義務』参照)。
念の為にフォローまで。

さて貴方は、『ゴルフ史上で最も美しいスコア』の話を聞いたことがありますか?
それは1926年、全英オープン予選の初日に誕生しました。
多くのゴルフジャーナリストや評論家が口を揃えて、そのあまりに美しいスコアに、
まるで初めてハリウッド女優を見た田舎の少年のように、
羨望と尊敬のコメントを現在でも絶やしていません。
私も初めてそれを目にした時は、本当に驚きました。

そのスコアを出したプレイヤーは…やっぱりこの人。
ことゴルフに関して、『美しい』とか『記憶に残る』とかいう
フレーズになると必ず登場します。
そう、球聖ボビー・ジョーンズ。
弁護士になるほど頭が良くて、モデルのようにお洒落で、
ゴルフが信じられないほど上手くて、おまけに役者顔負けの美男子。
しかも同性からは嫉妬どころか、その厚い人望で全ての男性から好かれ、
女性からの絶大な人気は言うまでもありません。
全て揃いすぎですよ、ボビーちゃん!
これだけ揃うと、きっとどこかヒドイ欠点があったに違いない。
例えばすご〜く足が臭いとか…

さてそのボビー・ジョーンズが出した、『ゴルフ史上で最も美しいスコア』ですが、
何がどう美しかったのでしょうか?
歴史の1頁を紐解いて、その美しさを覗いてみましょう。
まずトータルスコアは66。
これは確かに素晴らしいスコアですが、トッププレイヤーならさほど珍しくないかも…
しかし、驚くなかれ。
その内容が凄かったのです。

トータル66の内訳は、何とアウト33、イン33、全ショット数33、
全パッティング数33、パー5は全ホール2オンで、当然全てバーディかイーグルの3か4。
パー4ホールも全てバーディかパーで3か4、逆にパー3ホールは
バーディが取れずに全てパーの3か、もしかしたらボギーの4があったかも
(ホールごとのスコアが不明の為に分らず)、
いずれにしても最終のスコアカード上には3と4しか数字がなかったのです。
当時のゴルフメディアは、「ゴルフ史上、最も均整美のとれた芸術的なスコアである」と
絶賛したのでした。
いやはや…凄いと思いません?
今から80年以上も前の出来事ですよ。

まずパー4はまだ理解できます。
一生懸命プレーして全てパーかバーディ。
これは上級者ならありえますね。
次にパー5。
これが凄い。
チタンフェースもユーティリティクラブも誕生していない時代に、
4ホールとも2オンして、イーグルかバーディしかないンですから。
さて問題は、一つもバーディが取れなかったパー3。
もしかしてスコアカード上を3と4だけで揃えるために、わざと外した?
まさかね。
そんなチープな小技はボビーには考えられません。
でも結果的に『ナイスミス』で、見事に美しいスコアが誕生したのです。

スコアだけにこだわり過ぎると嫌われますが、こんなきれいなスコア造りなら楽しめそうです。
一般アマでも可能性があるパターンは…全て4と5かな?
パー5は頑張って必ずパーかバーディ。
パー4はボギーまでオーケー、でもバーディはダメよ。
逆にパー3はボギーかダボでよろしく。
ハーフで4が五個、5が四個で計40。
トータル80。
ウ〜ン、ビューティフォ〜〜!
長いゴルフ人生、たまには絵画を描くように、
美しいスコア作成にトライしてみてはいかがですか?

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【この連載は、40回で休載となりました。ご愛読ありがとうございました】