ロサンゼルス観光ガイド
Los Angeles Guide

ロサンゼルスのミュージアムガイド

ここ数年でなんと10館近くの美術館・博物館がオープンするなど、ロサンゼルスは現在、空前のミュージアムブーム。しかも既存の施設も続々拡大&改装中。ますます面白いロサンゼルスのミュージアムの中から、おすすめのミュージアムを、アート好きのライトハウス・ロサンゼルス版副編集長・三木が独断と偏見たっぷりに選んでみました。(2017年11月1日号ライトハウス・ロサンゼルス版掲載)


The Broad / ザ・ブロード

Robert Therrienの作品「Under the Table」
Robert Therrien「Under the Table」 ロサンゼルス在住アーティストによる巨大ダイニングテーブル。見慣れた物もサイズが変わると、アートだ。
Photo by Elizabeth Daniels, courtesy of The Broad and Diller Scofi dio + Renfro

むむ、あの作品もこの作品も。心ときめく現代アートが続々!
2015年9月開館。初年度の訪問者数は82万人、予約なしでは1時間待ちもざらにある大人気美術館。インスタ映えするカラフルな作品が「こむずかしい現代アート」のイメージを徹底的にくつがえしてくれる。並ぶのはとんでもなく有名(&高額な)現代アートばかりで、ポップアートのロイ・リキテンスタイン、フルクサスのヨーゼフ・ボイス、抽象表現のジャクソン・ポロック、さらには日本を代表する村上隆の作品と、戦後から現在に至る現代アート史を俯瞰できる。展示は3階と1階で、2階は収蔵庫。2000点に上る収蔵作品がちらっと覗ける。これが全部ブロード夫妻のプライベートコレクションだと言うのだからいやはや…。

Jean Michel Basquiatの作品「Horn Players」
Jean Michel Basquiat「Horn Players」 80年代、ニューヨークでで活躍し27歳で夭折したバスキア。最近オークションでアメリカ人画家の作品として最高値を更新。
Roy Lichtensteinの作品「I...I’ m Sorry!」
Roy Lichtenstein「I...I’ m Sorry!」 アメコミ風の作品は今でこそポップでおしゃれだけど、審美的な美術界に登場したの衝撃ったら。
Jeff Koonsの作品「Balloon Dog (Blue)」
Jeff Koons「Balloon Dog (Blue)」 普段なら使い捨てられる風船の犬が、ステンレス製の巨大な彫刻として半永久的な命を与えられている妙。
Takashi Murakamiの作品「In the Land of the Dead, Stepping on the Tail of a Rainbow」
Takashi Murakami「In the Land of the Dead, Stepping on the Tail of a Rainbow」 建物の3階(と時に1階)がコレクション展。展示作品は随時変わる。
Yayoi Kusamaの作品「Infinity Mirrored Room-The Souls of Millions of Light Years A way」
Yayoi Kusama「Infinity Mirrored Room-The Souls of Millions of Light Years A way」 草間彌生の無限に広がる光の洪水はただ今特別展でのみ鑑賞可。朝イチで当日券($30)を手に入れるべし。
Jeff Koonsの作品「Michael Jackson and Bubbles」
Jeff Koons「Michael Jackson and Bubbles」 陶器でできた金ピカのマイケル・ジャクソン。整形しまくりの頃に作られたので、この作品も何度も修正が必要だったとか。
Joseph Beuys「Schlitten」 20世紀最大の現代アーティスト、ヨーゼフ・ボイスの「橇」。彼を抜きに現代アートは語れない。
Cy Twomblyの作品「Nini's Painting [Rome]」
Cy Twombly「Nini's Painting [Rome]」 落書き? いやいや、描く時の腕の喜びがほとばしる、アートの本質を突き詰めた作品です。
Ed Ruschaの作品「Norm's, La Cienega, on Fire」
Ed Ruscha「Norm's, La Cienega, on Fire」 大衆文化のイメージを取り入れた現代アートは多いがエド・ルシェのこれもその一つ。一般ピープルに人気のダイナーがシュールに燃えている。
Barbara Krugerの作品「Untitled (Your body is a battleground)」
Barbara Kruger「Untitled (Your body is a battleground)」 女性の権利を訴える強いメッセージがまぶしい。これは1973年のウィメンズマーチのために作られたもの。
The Broadのレストラン
アートを楽しんだ後は、ランチもフォトジェニックなレストランで。ニューアメリカンのレストランOtiumは、The Broadのすぐ横。土鍋に載ったフレンチトーストとか、こだわり食材のユニークなメニューが並ぶ。ちょっと値は張るが、他では食べられない味を堪能したい。
現代アート・モチーフのグッズなどを扱うミュージアムショップ
バスキアの絵のスケボー買っちゃう? 現代アート・モチーフのグッズなどを扱うミュージアムショップ。
The Broadの外観
Photo by Benny Chan, courtesy of The Broad and DIller Scofidio + Renfro
◎The Broad
▶ 住所:221 S. Grand Ave., Los Angeles
☎ 電話:213-232-6200
▶ Web:www.thebroad.org
▶ 営業時間:火水11:00am-5:00pm、木金11:00am-8:00pm、土10:00am-8:00pm、日10:00am-6:00pm、月休
▶ 料金:無料(予約推奨)、特別展は別料金



California Science Center / カリフォルニア・サイエンス・センター

スペースシャトル・エンデバー
Space Shuttle Endeavour 宇宙ステーション建設や物資補給の役目を担ったエンデバー。ロゴ下の目のようなところが乗組員の乗降口。

何と言ってもスペースシャトル、エンデバー!
宇宙と大自然のロマンに満ちた体験型博物館

地球に宇宙、自動車や飛行機に生物、地震、人体の仕組みなど、科学にまつわるあれこれを体験しながら学べる科学博物館。鉄砲水や地震を再現するエリアがあったり、水族館ばりの巨大水槽のトンネル、海の生き物に触れるプールがあったりと広い館内のあちこちで好奇心をビシビシ刺激される展示が行われている。でもやっぱりハイライトはスペースシャトル、エンデバーだ。

1992年から2011年の引退まで25回もミッションをこなしたエンデバーの傷だらけの機体を見ていると、感動にうちふるえて思わず涙をこぼしそうになる。毛利さんも若田さんも土井さんも、目の前のこれに命を預けて宇宙に飛び出して行ったのだ。そのエンデバーのミッションを支えたコントロールセンターやNASAの取り組みなど関連展示も、ロマンたっぷりじゃないか!

懐かしいトヨタの車
このトヨタ車に見覚えがある? そう、ロサンゼルスの街中をエンデバーを引っ張ってきた愛いヤツ!
スペースシャトル打ち上げの際に使われる、外付け燃料タンク
スペースシャトル打ち上げの際に使われる、外付け燃料タンク。このタンクは使い捨てでミッションのたびに新しいものが作られる。
太平洋沿岸の海の生き物と海藻がゆらゆらする中、ダイバーが魚に餌やり中
地球のエコシステムを展示するエリア。これはケルプフォレストの展示で、太平洋沿岸の海の生き物と海藻がゆらゆらする中、ダイバーが魚に餌やり中。
記念碑的プロジェクト「アポロ・ソユーズテスト計画」で使われた司令船
米ソの宇宙船が初めて共同飛行した記念碑的プロジェクト「アポロ・ソユーズテスト計画」で使われた司令船。
アポロ16号の司令船操縦士、ケン・マッテングリーが着ていた宇宙服
アポロ16号の司令船操縦士、ケン・マッテングリーが着ていた宇宙服。
子どもたちがのびのび遊べる「Discovery Room」
館内には7歳以下の子どもたちがのびのび遊べる「Discovery Room」が3カ所ある。混雑時は時間交代制で、混雑し過ぎることなく安全に遊べる。
◎California Science Center
▶ 住所:700 Exposition Park Dr., Los Angeles
☎ 電話:323-724-3623
▶ Web:californiasciencecenter.org
▶ 営業時間:毎日10:00am-5:00pm
▶ 料金:無料、特別展は別料金。週末&祝日のエンデバー見学は要予約(予約手数料$2)



Japanese American National Museum / 全米日系人博物館

マンザナー収容所のジオラマ
ロサンゼルスから最も近い場所(車で約4時間)にあったマンザナー収容所のジオラマ。多い時には11万人が収容されていた。
「Diorama of Manzanar Concentration Camp」 Created by Robert Y. Hasuike, Lance Matsushita, Dennis Masai and Jerry Teshima

アメリカに住む日本人なら一度は行っておきたい。
日本からアメリカへ移民が正式に始まったのは1886年のこと。そこから130年間にアメリカに暮らす日本人・日系アメリカ人は少しずつアメリカ社会に溶け込み受け入れられて今や、元運輸長官のノーマン・ミネタさんや全米が恐れた激辛書評家ミチコ・カクタニ女史をはじめ数多くの有名人を輩出している。

でも130年の間にはいろいろな歴史があった。同館ではその歴史を紹介している。もしその歴史を何も知らないでここを訪れたら、第二次世界大戦中に日本人と日系アメリカ人が強制収容されていたバラックを見た時にすごくびっくりすると思う。アメリカに強制収容所があったなんて日本で習うことは本当に少ない。そういう歴史も受け止めて、展示は未来を向いているから、見終わる時には勇気とアメリカに住む日本人としての誇りをもらえると思う。

ワイオミング州ハートマウンテン収容所で使われていたバラック。
第二次世界大戦中、全米10カ所にあった強制収容所の一つ、ワイオミング州ハートマウンテン収容所で使われていたバラック。
Japanese American National Museumの外観
◎Japanese American National Museum
▶ 住所:100 N. Central Ave., Los Angeles
☎ 電話:213-625-0414
▶ Web:www.janm.org
▶ 営業時間:火水金〜日11:00am-5:00pm、木12:00pm-8:00pm、月休
▶ 料金:$12(一般)、$6(62歳以上、学生、6〜17歳)、無料(5歳以下)、木曜の午後5時以降および第3木曜は無料



Los Anegeles County Museum of Art(LACMA) / ロサンゼルス郡立美術館

Japanese American National Museumの外観
Photograph by Alex Vertikoff, ©2014 Museum Associates/LACMA

一日じゃ回り切れない。アメリカ西海岸最大のアートミュージアム
1965年にオープンしたロサンゼルス郡立美術館(通称LACMA)。紀元前から現在まで世界各国13万点以上の作品を所蔵しており、コレクション展を早足で見るだけでもたっぷり1日かかる。ここの見どころは貴重な作品もさることながら、しっかりとした見識と美意識を感じるアートに対する愛の溢れた展示方法だと思う(ともかく有名作品ばかりを並べたどこかのミュージアムとは違う)。なんの知識もなしに、自分の美的感覚に頼って見ても面白いアートもあるけれど、その作品が生まれた状況や同時代の作品、それが意図するものなど背景が分かると、いや本当にびっくりするくらいに別の面白さを感じられる。それを何気なくやってくれるのが、ここLACMAなのだ。

浮揚する340トンもの巨大な岩の下を歩ける屋外アート
Michael Heizer「Levitated Mass」 その名の通り、浮揚する340トンもの巨大な岩の下を歩ける屋外アート。大丈夫大丈夫、落ちては来ない…はず。少なくとも3500年は保つ計算です。© Michael Heizer
ピカソのユーモアを感じる半人半獣のケンタウロス
Pablo Picasso「Centaur」 ピカソのユーモアを感じる半人半獣のケンタウロス。ピカソのイーゼルが使われているの、分かる?
202本の街灯が並んだ、LACMAで最もインスタによく登場する作品
Chris Burden「Urban Light」 202本の街灯が並んだ、LACMAで最もインスタによく登場する作品。スマホやインスタの登場でアートの見方もずいぶん変わった。© Chris Burden Estate, photo © 2014 Museum Associates/LACMA
LACMAの日本館の展示品
LACMAには日本館もあって、中には円山応挙の屏風など国宝&重文級のお宝がザクザク。日本文化大使的な扱いを受けることもある外国暮らしでは、日本のこともよく知っておきたい。
Henri Matisseの作品「La Gerbe(The Sheaf)」
Henri Matisse「La Gerbe(The Sheaf)」 これ、絵画じゃなくて陶器。しかももともとはパティオの壁だったものをはがして持って来たのだ。
Käthe Kollwitzの作品「Self-Portrait」
Käthe Kollwitz「Self-Portrait」 ナチスが台頭した時代に、労働者や貧困層を描き続けた骨太アーティストの実に骨太な自刻像。
Amedeo Modiglianiの作品「Yo ng Woman of the People」
Amedeo Modigliani「Yo ng Woman of the People」 アフリカンアートが大流行していたパリで描かれたポートレート。目や小さい口に、アフリカ彫刻の影響が見える。
Georges de la Tourの作品「The Magdalen with the Smoking Flame」
Georges de la Tour「The Magdalen with the Smoking Flame」 光と闇を描くことにかけて、ラ・トゥールに並ぶ者はいないくらいだ。これはマグダラのマリアを描いたもの。
David Hockneyの作品「Mulholland Drive:The Road to the Studio」
David Hockney「Mulholland Drive:The Road to the Studio」 イギリスの20世紀美術を代表する画家、ホックニーの手にかかれば、ロサンゼルスの風景もこんなにカラフルに。
Diego Riveraの作品「Portrait of Portrait of Frida Kahlo」
Diego Rivera「Portrait of Portrait of Frida Kahlo」
LACMAのミュージアムショップ内観の様子
LACMAのミュージアムショップには、ポスターや図録、ポストカードに、コップや鞄などのオリジナルグッズに加えて、ロサンゼルスで活躍する作家によるアーティスティックな雑貨や服まで揃う。日本へのお土産にいい安価なバラまき系のアイテムも。
Japanese American National Museumの内観
◎Japanese American National Museum
▶ 住所:5905 Wilshire Blvd.,Los Angeles
☎ 電話:323-857-6000
▶ Web:www.lacma.org
▶ 営業時間:月火木11:00am-5:00pm、金11:00am-8:00pm、土日10:00am-7:00pm、水休
▶ 料金:$15(一般)、$10(65歳以上&学生)、無料(17歳以下)、ロサンゼルス郡在住者は平日午後3時以降無料、特別展は別料金



The Getty Center / ゲティセンター

古今東西の美も絶景も楽しめる。
丘の上のアートの神殿はなんと入館無料

世界で最も裕福な美術館の一つと言われるゲティ美術館(このゲティセンターとマリブのゲティ・ヴィラの2カ所がある)。ゲティセンターには潤沢な資金を投入して収集した1600年代以降の名画&名品が年代別にずらりと並んでいる。

中でも近年、個人的に注目しているのは写真部門の企画展。これまでの写真史ではメインストリームでなかったユニークな写真家や、写真の領域を超えるような作家を取り上げることも多く、非常に新鮮。最近出掛けてないなら写真を目当てに行っても満足するくらいだと思う。

ほかに見逃せないのは(撮影禁止で絵そのものを紹介できないのが残念…)、ベルギーの異端画家、ジェームズ・アンソールの「Christ's Entry Into Brussels in 1889」。目を離せない違和感に醜悪さ、個性も大爆発で、絵にしか描けない悪夢を見せてくれる。

The Getty Centerの館内
The Getty Centerの館内。
オリジナルデザインのカメラポーチとクッション
カメラデザインのポーチは、ゲティオリジナル。ロサンゼルスの名所をモチーフにしたクッションやグラスなども販売。
Paul Cézanneの作品「Still Life with Apples」
Paul Cézanne「Still Life with Apples」 印象派に参加したもののなじめず、独自の様式を探求したセザンヌ晩年の作。「りんごの作家」との異名も。
Éduard Manetの作品「The Rue Mosnier with Flags」
Éduard Manet「The Rue Mosnier with Flags」 平和を祝い国旗がはためく明るい通りと傷痍軍人のホームレスの対照的な取り合わせ。マネの目はいつも鋭い。
Vincent van Goghの作品「Irises」
Vincent van Gogh「Irises」 ゴッホと言うとひまわりが有名だけど、アヤメを描いたこんな絵も。落札価格は1987年当時最高値の5390万ドル。
Rembrandt Harmensz van Rijnの作品「Rembrandt Laughing」
Rembrandt Harmensz van Rijn「Rembrandt Laughing」 最も手近なモデルとして自画像をよく描いたレンブラント。これは弱冠21歳または22歳の時に描かれた。
ゲティセンターの広い屋外庭園
ロサンゼルスを見渡す高台にあるゲティセンター。アートを見過ぎて頭が飽和状態になったら屋外庭園で休憩。
◎The Getty Center
▶ 住所:N. Sepulveda Blvd. & Getty Center Dr., Los Angeles
☎ 電話:310-440-7300
▶ Web:www.getty.edu
▶ 営業時間:火〜金日10:00am-5:30pm、土10:00am-9:00pm、月休
▶ 料金:無料



さらにどっぷりアートにつかりたい人におすすめの美術館

Norton Simon Museum / ノートン・サイモン美術館

Sam Francis 「Basel Mural III, Fragment 2」 豊かな色彩と透明感にあふれたサム・フランシスの作品の前に立つとなぜかのびやかな気持ちになる。
©Norton Simon Museum

初めて訪れた時、自然光が差し込む展示室に、ルネッサンスとか20世紀ヨーロッパの大家たちの作品の数々が惜しげもなく展示されているのに驚いた。作品のラインナップや質、美術を見る環境などはある意味ですごく美術館らしいのに、「ゲージュツ鑑賞」みたいなしかつめらしさがなくて気軽な気持ちで行って、アートを楽しめる。モネの「睡蓮」が具現化したような庭ではビールだって飲めるし、気分上々!

Sandro Botticelliの作品
Sandro(Alessandro Filipepi) Botticelli「Madonna and Child with Adoring Angel」 「ヴィーナスの誕生」や「プリマヴェーラ」で知られるルネサンスの画家、ボッティチェッリの作。
Norton Simon Art Foundation
Claude Monetの作品「The Artist's Garden at Vétheuil」
Claude Monet「The Artist's Garden at Vétheuil」 ナショナル・ギャラリーに展示されている同名作品のスケッチ。モネの人生で最も苦難の時代に描かれたというが、未来を暗示するように色遣いは明るい。
©The Norton Simon Foundation
Norton Simon Art Foundationの内観
Norton Simon Art Foundation
◎Norton Simon Art Foundation
▶ 住所:411 W. Colorado Blvd., Pasadena
☎ 電話:626-449-6840
▶ Web:www.nortonsimon.org
▶ 営業時間:月水木12:00pm-5:00pm、金土11:00pm-8:00pm、日11:00am-5:00pm、火休
▶ 料金:$12(一般)、$9(62歳以上)、無料(18歳以下&学生)、第1金曜の午後5時以降無料



The Museum of Contemporary Art, Los Angeles (MOCA) / ロサンゼルス現代美術館

The Museum of Contemporary Art, Los Angeles (MOCA)の外観

1979年から、ジャクソン・ポロックやロバート・ラウシェンバーグら戦後のアメリカ美術を代表する作品を展示してきた現代美術館。資金難や権力争いに端を発した解雇問題などソープオペラ裸足の泥沼状態から脱し、この2、3年、格段に面白くなった(上から目線ですみません)。Grand Avenue館では常設のコレクション展と企画展を、リトルトーキョーのGef fen館では最前線の現代美術に焦点を当てた企画展を開催。

◎The Museum of Contemporary Art, Los Angeles (MOCA)
▶ 住所:MOCA Grand Avenue:250 S. Grand Ave., Los Angeles
☎ 電話:213-626-6222
▶ Web:www.moca.org
▶ 営業時間:月水金11:00am-6:00pm、木11:00am-8:00pm、土日11:00am-5:00pm、火休
▶ 料金:$15(一般)、$10(65歳以上)、$8(学生)、無料(12歳未満)、木曜の午後5時以降無料|料金はThe Geffen Contemporary at MOCAと共通



Hammer Museum / ハマー美術館

ロサンゼルスで最もキュレーションの面白い美術館。アーノルド・ハマー所蔵作品の常設展に加え、年間40本もの現代美術の企画展、さらにレクチャーやコンサートなど300本以上の関連イベントを行うなどいつ行っても新発見満載。2014年には入館料が無料となった上、中庭に面したおいしいカフェ、センスのいいミュージアムショップもありと完璧な魅力の前に太刀打ちできない…。

◎Hammer Museum
▶ 住所:10899 Wilshire Blvd., Los Angeles
☎ 電話:310-443-7000
▶ Web:hammer.ucla.edu
▶ 営業時間:火〜金11:00am-8:00pm、土日11:00am-5:00pm、月休
▶ 料金:無料



数寄者にはたまらない、おすすめのユニーク博物館

The International Printing Museum / インターナショナル印刷博物館

The International Printing Museumの内観

本や活字にフェティッシュな愛着を持つ人なら大興奮間違いなしだ。200年以上前に作られた、アメリカ製として3番目に古い印刷機をはじめ、数十台の印刷機や活字などが展示されている。しかもどれも現役で動いているのがなおうれしい。

The International Printing Museumの内観
◎The International Printing Museum
▶ 住所:315 W. Torrance Blvd., Carson
☎ 電話:310-515-7166
▶ Web:www.sottorestaurant.com
▶ 営業時間:土10:00am-4:00pm、火〜金は予約制、日月休
▶ 料金:$10(一般)、$8(シニア&学生)



The Museum of Jurassic Technology / ジュラシック・テクノロジー博物館

The Museum of Jurassic Technologの展示品

15〜18世紀にかけて欧州各地で作られたという珍品の博物陳列室「驚異の部屋」(博物館の前身である)。その伝統に則り、驚異と不条理に満ちた不思議な物が並ぶ、心底ヘンなミュージアム。覚悟して出掛けないと、想像力を刺激され過ぎて眠れなくなる。

The Museum of Jurassic Technologの外観
Credit Jennifer Bastian
◎The Museum of Jurassic Technology
▶ 住所:9341 Venice Blvd., Culver City
☎ 電話:310-836-6131
▶ Web:www.mjt.org
▶ 営業時間:木2:00pm-8:00pm、金〜日12:00pm-6:00pm、月〜水休
▶ 料金:$8(一般)、$5(13〜21歳、学生、60歳以上、無職)、無料(12歳以下)



近年開館&リニューアルした美術館&博物館

最近、オープンまたはリニューアルオープンしたばかりのミュージアムから、気になるものをピックアップ。この先も面白そうなミュージアムの開館が続きます。

The Marciano Art Foundation / マルシアーノ・アート・ファンデーション(2017年5月開館)

The Marciano Art Foundationの外観
Yoshiro Makino, Courtesy of wHY and Marciano Art Foundation

2017年5月にオープンしたばかりのThe Marcianoには、美術館に収まるには早過ぎるような1990年以降の現代アート最前線が大集合。それもそのはずで、この場所は美術館というより個人コレクションの無料一般公開(入館料も駐車場も無料と太っ腹!)という方が正しい。個人コレクションだからこその美術史の常識もタブーも度外視した刺激的な作品の数々が、見る者の感性に挑戦する。

The International Printing Museumの内観
館内にはカタログ、美術関連書籍の充実したラインナップのショップと、クリーンなインテリアのカフェを併設。
◎The Marciano Art Foundation
▶ 住所:4357 Wilshire Blvd., Los Angeles
☎ 電話:424-204-7555
▶ Web:marcianoartfoundation.org
▶ 営業時間:木金11:00am-5:00pm、土10:00am-6:00pm、日〜水休
▶ 料金:無料(予約制)



Museum of Neon Art / ミュージアム・オブ・ネオンアート(2016年移転オープン)

Museum of Neon Artの外観
Photo Credit: Fotoworks 2016

5年の休館期間を経て、ようやく2016年にグレンデールに再オープン。ネオンアートとキネティック・アート(動くアート)に特化した世界で唯一のミュージアム。華やかかりし過去を浮かび上がらせる、今はなきレストランやショップの幻想的なネオンサインが並ぶ館内は、まるで昔の映画で観た奇妙な未来の風景みたいだ。

◎Museum of Neon Art
▶ 住所:216 S. Brand Blvd., Glendale
☎ 電話:818-696-2149
▶ Web:www.neonmona.org
▶ 営業時間:木〜土12:00pm-7:00pm、日12:00pm-5:00pm、月〜水休
▶ 料金:$10(一般)、$8(65歳以上)、$5(グレンデール在住者)、無料(12歳以下)



The Institute of Contemporary Art, Los Angeles / インスティテュート・オブ・コンテンポラリーアート・ロサンゼルス(2017年9月拡大移転)

The Institute of Contemporary Art, Los Angelesの内観と外観

2017年9月にアーツディストリクトにオープン。所蔵作品を持たず、その時々にライブ感溢れる現代アートの企画展を開催する。以前はサンタモニカのギャラリー街にあり、その時から周囲のギャラリー以上に野心的な展示を行っていた。移転後初の展覧会はメキシコ移民、マルティン・ラミレスの貴重なアウトサイダーアート展(2017年12月31日まで)。必見。

The Institute of Contemporary Art, Los Angeles内のショップ
美術館内のショップでは展示テーマに合わせたグッズや図録、子ども向けの絵本などを販売。現在はメキシコのクラフト&アーツも扱っている。
◎The Institute of Contemporary Art, Los Angeles
▶ 住所:1717 E. 7th St., Los Angeles
☎ 電話:310-284-8100
▶ Web:www.theicala.org
▶ 営業時間:水〜金11:00am-7:00pm、土日11:00am-6:00pm、月火休
▶ 料金:無料



Beta Main (The Main Museum) / ベータ・メイン(メイン美術館)(2016年β版オープン)

Beta Main (The Main Museum)の内観

2016年10月末、ダウンタウンロサンゼルスの築150年の歴史的建造物内にオープンした現代美術館。といっても、これは絶賛建設中のメイン美術館の一部で、来たるべき美術館のテストスペースとして現代アートを紹介する企画展を開催している。2021年に全ての工事が完了すると、3つのビルの10万平方ft近くに広がる巨大現代美術館が誕生する予定。

◎Beta Main (The Main Museum)
▶ 住所:114 W. 4th St., Los Angeles
☎ 電話:213-986-8500
▶ Web:www.themainmuseum.org
▶ 現在工事中で2017年11月29日に再オープン予定



Hauser & Wirth Los Angeles / ハウザー&ワース・ロサンゼルス(2016年3月オープン)

Hauser & Wirth Los Angelesに展示されている天井の展示品
Courtesy Hauser & Wirth, Photo: Joshua Targownik / targophoto.com

スイスを拠点に世界各国に展開するアートギャラリー、ハウザー&ワースが2016年3月にロサンゼルスにも進出した。アーツディストリクトの10万平方ft以上もある工場跡を改装したスペースでは、屋外屋内両方のあちこちで展示が行われていて、ちょっとした探検気分でアートを楽しめる。地域社会との関わりを大事にしたいと、ガーデニングワークショップや映画上映などイベントも多い。

Hauser & Wirth Los Angelesの内観
ミュージアム併設のレストランはどこも割とレベルが高いけど、ここのレストラン、Manuelaは図抜けている。アートが飾られた店の雰囲気も味も抜群で、アート鑑賞のついででなくても行きたい。Photo: Joshua Targownik / targophoto.com
◎Hauser & Wirth Los Angeles
▶ 住所:901 E. 3rd St., Los Angeles
☎ 電話:213-943-1620
▶ Web:www.hauserwirthlosangeles.com
▶ 営業時間:水〜日11:00am-6:00pm、月火休
▶ 料金:無料



The Huntington Library, Art Collections, and Botanical Gardens / ハンティントン・ライブラリー・アートコレクション・アンド・ボタニカルガーデンズ(2016年増築)

The Huntington Libraryの壁に展示されている作品
© The Huntington Library, Art Collections, and Botanical Gardens

120エーカーもの広大な土地に、名前通り図書館(稀覯書が満載)に美術館、植物園が広がっている。美術館の主なコレクションは15世紀〜20世紀初期のヨーロッパ美術と、17世紀後期〜20世紀中期のアメリカ美術で、2016年には18&19世紀のアメリカ美術に特化した新ウイングを増築した。絵画のみならず、当時の家具や陶器、テキスタイルなども並んでいて、当時の人がどんなふうに絵を見ていたかも想像させてくれる。

◎The Huntington Library, Art Collections, and Botanical Gardens
▶ 住所:1151 Oxford Rd., San Marino
☎ 電話:626-405-2100
▶ Web:www.huntington.org
▶ 営業時間:水〜月10:00am-5:00pm、火休
▶ 料金:週末/平日:$29/$25(一般)、$24/$21(65歳以上、学生、12〜18歳)、$13(4〜11歳)、無料(4歳未満)



Petersen Automotive Museum/ ピーターソン自動車博物館(2015年改装)

Petersen Automotive Museumに展示されている車

2015年、1億2500万ドルをかけた改装で外観も展示スペースも一新。世界に1台しかないビンテージカーをはじめ、映画やドラマに登場した車、レーシングカーなど名車100台超が展示されている。マセラティの製造工程紹介や次世代燃料やテクノロジーの展示、レース体験ができるコーナーも。車好きなら狂喜乱舞、そうでなくともつい見入ってしまう仕掛けたっぷりだ。

Petersen Automotive Museumの外観
ビビッドな赤と流線形のシルバーの印象的な外観の博物館。
◎Petersen Automotive Museum
▶ 住所:6060 Wilshire Blvd., Los Angeles
☎ 電話:323-930-2277
▶ Web:petersen.org
▶ 営業時間:毎日10:00am-6:00pm
▶ 料金:$16(一般)、$13(シニア&学生)、$8(子ども)、無料(3歳未満)



Wende Museum / ヴェンデ博物館(2017年11月移転オープン)

Wende Museumに展示されているレーニン像
かつて東側の各所に飾られていたレーニン像。ベルリンの壁崩壊につながった1989年の「月曜デモ」の最中にペンキをぶっかけられた。Courtesy of The Wende Museum

1945〜1991年の旧ソ連と東欧のアートや工芸品、記録を収集展示する冷戦博物館。2017年11月に待望の拡大移転オープン。東西ベルリンの境界にあった国境検問所のレプリカや、そこをすり抜けた人々の記録が生々しく歴史を伝えてくる。一方で当時作られたテキスタイルや家具なんかは明るい色調で抜群にセンスが良くて、冷戦下の東側と言うとつい持ってしまいがちな灰色のイメージの先入観を、気持ち良く裏切ってくれるのもいい。

Wende Museumの外観
Courtesy of The Wende Museum
◎Wende Museum
▶ 住所:10808 Culver Blvd., Culver City
☎ 電話:310-216-1600
▶ Web:www.wendemuseum.org
▶ 2017年11月19日にオープン
▶ 料金:無料



The Lucas Museum of Narrative Art / ルーカス・ミュージアム・オブ・ナラティブ・アート(2021年開館予定)

The Lucas Museum of Narrative Artの外観写真(予定)
Courtesy of Lucas Museum of Narrative Art

2016年、ロサンゼルスでの建設が発表されたジョージル・ルーカス監督の名を冠したナラティブアート(物語芸術)に関するミュージアム。夫妻がどーんと絵画や映画小道具など1万点以上を寄贈&10億ドル近くを出資して2018年に工事を開始、2021年に開館予定。展示物にはダースベイダーのオリジナルのマスクや、ルーク・スカイウォーカーが使ったライトセーバーも含まれるという。開館が待ち切れない。

◎The Lucas Museum of Narrative Art
▶ 住所:Exposition Park, Los Angeles
▶ Web:lucasmuseum.org



The Academy Museum of Motion Pictures / アカデミー・ミュージアム・オブ・モーション・ピクチャーズ(2019年開館予定)

The Academy Museum of Motion Picturesの外観
© Renzo Piano Building Workshop/© A.M.P.A.S.

アートと科学の両側面から「映画」を紹介するアカデミー・ミュージアム。2019年の開館を目指し、LACMAの隣で建設工事が進行中。贅沢にも実際のセットや衣装、小道具、映像を使って、映画の誕生から現在に至る映画の歴史をインタラクティブに展示する。来館者がアカデミー賞受賞を体験できる、1フロアをまるまる使った授賞会場の再現など遊び心溢れる体験型の展示も。屋上の展望台からはハリウッドサインも望める。

◎The Academy Museum of Motion Pictures
▶ 住所:6068 Wilshire Blvd. and Fairfax Ave.,Los Angeles
▶ Web:www.oscars.org/museum



ここまで紹介してきたように、これまでなら東海岸に集まっていたような私立美術館や巨大ギャラリーが近年ロサンゼルスに続々誕生し、さらにこの先に開館を控えるものもある。またLACMAでは6億ドルをかけた増築(2023年完了予定)が来年始まるし、ハマー美術館も2020年完成を目指して4万平方ftの拡大を予定している。

新オープン&増築の最大の理由は、収蔵・寄託作品数が膨らみ、収集・展示スペースが不足していること。それで各美術館はファンドレイズをして寄付金を募り、増築を行っている(こうした建設費用は公的資金でなく主に資産家の寄付でまかなわれている)。

しかも、だ。かつてなら資産家たちは既存の公的美術館&博物館に収集した作品を寄託または寄贈して、建設費用も寄付していた。ところが21世紀に入ってからは資産家が自分の名前を付けた私的美術館&博物館を建てることが増えた。というのも下世話な話をすれば、美術館&博物館に寄贈・寄付しても税法上のメリット(と名誉)しかないけど、所蔵作品の管理と美術館&博物館運営をするNPOを立ち上げ、自分の美術館&博物館を作った場合は、所蔵作品についてのコントロール権を手放すことなく、NPOとして税法上のメリットを得られ、しかも展示することで所蔵作品の価値(つまり資産の価値)も上がっていく。二兎どころか三兎を追えるわけ。

で、どうしてロサンゼルスかって? 東海岸の大都市に比べればの不動産価格の低さに、既存の権威的機関の少なさ。それに比較的若い客層のロサンゼルスでは、失敗を恐れずいろんな実験的なことができるから。というわけで、ロサンゼルスは今、ミュージアム・ゴールドラッシュ。今度ロサンゼルスの魅力を聞かれたら、天気に加えてミュージアムと言ってもいいくらいだ。

※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版 2017年11月1日号」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。