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ビザに関する疑問に回答!アメリカ移民法Q&A

現地情報誌「ライトハウス」に連載中の米国移民法・ビザ申請の疑問に答える人気コラム。永住権・グリーンカードの申請から、就労(H1)ビザ申請、留学ビザ(Fビザ)、Jビザ申請、さらにはアメリカでの会社設立などについて、さまざまなケースを専門家が徹底解説。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

H-1BとL-1Bによる就労 そのメリットとデメリット

吉原 今日子 弁護士

Q:日本の短大を卒業後、コンピューター技術者として働き、現在7年目です。今、アメリカにある子会社への派遣の話が出ており、H-1B、もしくはL-1B ビザの申請が必要だと聞きました。私は、どちらのビザの取得が可能でしょうか?


A:まず、L-1B ビザは、日本の会社からアメリカ国内の子会社に人員を派遣するためのビザです。

L-1 ビザ取得の条件:
‘本の親会社が、50% 以上アメリカの子会社の株を保有していること。または、日本の会社の株主が、直接、あるいは間接的にアメリカの会社を保有している
⊃柔疏阿硫甬遑廓間のうち1年以上、日本の会社で管理職、あるいは特殊技能者として働いている
F本の会社の年商が1億円以上で、従業員が10 人以上いる(通例)
 
あなたの場合、コンピューター技術者として7年間日本の会社に勤務しているので、日本の会社の規模とアメリカの子会社との関係が,鉢の条件を満たせば、L-1B ビザ取得が可能です。
 
L-1B ビザ取得では、主に日本の会社の規模を問われるのに対し、H-1B ビザ取得では、申請者と会社業務との関連性が問われます。

H-1B ビザ 取得のための主な条件:
ヽ愡旅羂幣紂△△襪い呂修譴防づ┐垢訖μ碍亳海鯤飮している(3年間の職務経験が、1年間の学歴に相当)
⊃柔繕伴錣蓮通常、学士号以上の学歴を必要とし、その職務は最低でも学士号保持者でないと遂行できない専門知識が要求され、特殊かつ複雑である
申請者の学士号あるいは職務経験が、職務において活かされるものであること
 
あなたの場合、短大卒業後の6年間の職歴が、2年間の学歴に相当しますので、学士号に匹敵する職務経験保持者と見なされるでしょう。そして、子会社での職務がその経験を活かせるものであり、通常学士号以上の学歴(コンピューター・サイエンス等)を必要とする特殊なものであれば、H-1 ビザ取得も可能です。


L-1B ビザとH-1B ビザ、どちらを取得しても同じ?
L-1B とH-1B ビザでは、業務開始日、有効期間、延長に関する制限、取得後の方向性などに違いがあります。
 
H-1B ビザの申請受付は、4月1日から。学士号取得者向けの発行数が6万5000 に達した時点で、受け付けは締め切られます。アメリカの大学の修士号取得者には、これとは別に2万件の枠が設定されています。
 
ビザ取得後、最短で仕事を開始できるのは10 月1日以降です。他のビザやOPT で労働許可を得ていない限り、それ以前に仕事は開始できません。
 
延長を含めたビザの最長有効期間は6年です。ただし、期限が切れる1年前から永住権申請のための労働局申請書を提出していれば、永住権申請中にH-1B ビザの有効期限を迎えても、永住権取得まで働き続けられます。
 
一方、L-1B ビザの申請は通年受け付けており、締め切りはありません。また、発給数に制限はなく、仕事もビザ取得後すぐに開始できます。延長期間は5年までです。
 
両ビザの共通点は、申請手続きを早める「Premium Processing」が認められている点です。費用は1件1000 ドルで、申請の可否決定にかかる日数は15 日間です。
 
L-1B とH-1B ビザの大きな違いを見てみましょう。例えば、H-1B ビザ申請を4月1日に始め、認可されても、実際に仕事を開始できるのは半年後です。L-1B ビザですと、取得後すぐに仕事を始められ、Premium Processing で申請すれば、さらに待ち時間を縮めることが可能なのがメリットです。
 
ただしL-1B ビザは、永住権を申請する際、申請者が学士号保持者の場合、永住権取得まで約5年、修士号取得者で約2年かかり、申請中にビザが失効すると、いったん職務を中断し、アメリカ国外に出なければなりません。
 
一方、H-1B ビザの場合、前述のように永住権申請中の延長が認められています。H-1B ビザを保持することにより、その後の選択肢が増えますし、会社にとっても重要な人材を一時的に失うことなく業務を継続できるメリットがあります。 
 
あなたの場合、アメリカの子会社への派遣が決定した時点でH-1B ビザ発給枠に空きがあり、申請条件を満たし、なおかつアメリカでの仕事開始日が10月1日以降でしたら、H-1B ビザ申請をまずされることをおすすめします。 
 
しかし、あなたの状況やH-1B ビザの申請結果によっては、L-1B ビザ申請が的確な場合もあります。現在お勤めの会社とアメリカの子会社の担当の方々と、それぞれのビザのメリットとデメリットを検討され、移民法専門の弁護士によく相談することをおすすめします。


(2010年3月16日号掲載)


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