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ビザに関する疑問に回答!アメリカ移民法Q&A

現地情報誌「ライトハウス」に連載中の米国移民法・ビザ申請の疑問に答える人気コラム。永住権・グリーンカードの申請から、就労(H1)ビザ申請、留学ビザ(Fビザ)、Jビザ申請、さらにはアメリカでの会社設立などについて、さまざまなケースを専門家が徹底解説。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

親会社からの資本比率が変わると ビザを失効する可能性がある?

吉原 今日子 弁護士

Q:私は、12 月まで有効なL-1 ビザ(企業派遣ビザ)で、日本の会社からアメリカの子会社に派遣されています。その子会社が今年の9月を目標に、アメリカ法人と合併する計画が進んでいます。現地企業との合併や吸収によって、日本の親会社からの資本の比率が変わった場合、私のようなL-1 ビザ保持者には、どのような影響が出るのでしょうか?


A:景気悪化の影響への対応策として、企業の合併や吸収、規模の縮小が頻繁に行われています。これらの移民法手続きに与える影響が、近頃大いに注目されています。

ビザの種類(主にL-1、E、H-1B)によっては、現在それらのビザを保持している人や、それらのビザを申請中の人は、申請書類の改正、一部申請手続きのやり直し、もしくは追加書類の提出が必要になります。場合によっては、ビザそのものが無効になることもあります。

あなたのケースのように、L-1 ビザのスポンサーとなっている在米の日本の子会社が株式を売却し、米国企業と合併した場合を見てみましょう。

会社がL-1 ビザのスポンサーとなり続けることができるかどうかは、日本にある親会社と売却後の米国の会社との関係が、合併後も移民局が定義するところの「親会社」と「子会社」の関係に当たるかどうかによります。もしこの条件を満たしていれば、あなたはL-1 ビザを保持できますし、そうでなければ、失効してしまう可能性があります。

移民局は、日本にある親会社が、子会社の株式売却後も米国にある会社を「所有」しているかどうか、また、その会社に「指示を与え、規制・監督する立場」にあるかどうかを審査の対象とします。

移民局では、「所有権」を「指示を与え、規制・監督する十分な権限の法的所有」を行っていることとしています。この「指示を与え、規制・監督する」ことについては、「事業体の経営および営業を、管理・監督する権利および権限」と定義しています。

親会社と子会社の関係において、株式売却後も親会社が、実質的に子会社を所有しており、指示を与え、規制・監督する立場にあれば、その所有関係や指示を与え、規制・監督する程度に変更(親会社の所有する株式の割合や監督体制が変わるなど)が加えられても構わないと、移民局では判断しています。

L-1 ビザの取得条件の1つが、日本の親会社が、50%以上のアメリカの子会社の株を保有していることです。アメリカの子会社の合併後、親会社が50%以上の株保有率を維持している場合、ビザ申請書類に記入した内容の変更を報告する書類を移民局に提出します(またE-1、E-2 ビザも同様に、アメリカの子会社の所有権の50% 以上は日本人、または日本の会社が所有していなければなりません)。

所有条件が変わる場合他のビザへ切り替える

もし親会社(または日本人による)の株式保有率が50%以下になった場合、L-1、E ビザの取得条件を満たさなくなり、すでに発行されたL-1、E ビザは無効になります。その結果、アメリカでの労働許可を失うことになります。あなたの保持するL-1 ビザの有効期間は、今年の12 月までということですが、予定通り9月に会社の合併があり、日本の親会社の株式保有率が50%未満に下がってしまうと、前述したように、あなたのL-1 ビザはその時点で失効してしまいます。

ですから合併が執行される前に、あなたが現在持つL-1 ビザ(E ビザでも同様)を、H-1B ビザなど、会社の国籍に関係ない労働ビザに切り替えるようおすすめします。 

H-1B ビザ取得のための主な条件は、以下の通りです。
/柔措圓学士号以上を取得、または同等の職務経験を保持している
⊃柔疎仂櫃龍伴錣任蓮学士号以上の学歴と専門知識が必要
取得した学士号あるいは職務経験が、この職務において活かされるものであること
以上の条件を満たせば、H-1B ビザへのステータスチェンジをすることが可能です。

なお、H-1B ビザの申請受付は4月1日より開始され、ビザ発給数が6万5000 件(修士号取得者枠は2万件)に達した時点で、受け付けは締め切られます。4月8日の発表によると、今年は1万3500 件(同5600 件)の申請がすでにありました。

このように、H-1B ビザには発給数に制限があります。発給数が申請枠の上限にいつ達するかは、予想することが非常に困難です。ですから、確実にH-1B ビザの枠を確保するためにも、できるだけ早めに申請手続きを始めることをおすすめします。

(2010年5月16日掲載)


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