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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

帰国子女の受け入れ校って、もうないのでしょうか?

 そろそろ帰国が近づいています。2人の小学生の子供は、幼稚園の頃から現地校に通っていますので、帰国後の適応が心配です。
 去年日本へ帰国した友人から、「海外から帰ってきた子供をサポートしてくれる学校は、もうないわよ」という話を聞きました。「帰国子女の受け入れ校」の実態を教えてください。

松本輝彦(INFOE代表)

公立校はサポートを得るのが難しい
私立校の受け入れ体制は千差万別

 最初に、ある公立中学校の校長先生からのメールを、お読みください。

「本校は、以前は政府より帰国生徒受け入れ校として指定されていましたが、現在は政府の方針で受け入れ校制度がなくなり、人的・財政的措置を受けられなくなりました。今でも100名近い帰国生徒が在籍しており、彼らには学校としてできる限りの支援はしています。しかし、特別な教育はできていないのが現状です」

公立校の受け入れ

 3年ほど前、文部省を文部科学省に組織変更するに当たって、「海外子女教育課」がなくなり「国際教育課」に吸収されました。「海外から帰国した児童生徒の帰国適応へのサポートは、今後どうなるのか」の声に、「帰国子女の教育は、日本国内の外国人の教育や国際理解教育と統合して考える、何も変わらない」との答えでした。

 しかし、このメールで、教育行政の方向転換の影響を最も受けた、公立の学校における帰国児童生徒受け入れの実態が浮き彫りにされています。制度が変わり、「100名以上の帰国生徒が在籍」していても「人的・財政的措置」がないとのことです。
 帰国生徒数が100名を超える学校で、この状況であれば、他の公立学校での帰国児童生徒へのサポートも、容易に予測できます。

 極論すると、公立の「帰国子女受け入れ校」は、名実共に存在しないのです。上のご相談にある「友人」は、お子さんを公立の学校へ通わせているのではないでしょうか。
 
私立校の受け入れ

 しかし、このような公立の学校の動きとは逆に、私立の「帰国子女受け入れ」の動きが最近活発になってきています。

 教育行政の帰国子女教育が後退し、「帰国子女受け入れ校」を公的に認定・指定する制度すらなくなった今、「帰国子女受け入れ校」とは、どんな学校なのでしょうか。
 この質問に、「どんな学校でも、『うちの学校は、帰国子女受け入れ校』と手を挙げれば、受け入れ校になるんですよ」と、東京での「教育フェア」に参加された私立校の先生が答えてくれました。帰国子女の数、サポートするプログラムの有無、担当教員の有無などにはまったく関係なく、自由に「帰国子女受け入れ校」を名乗れるようになったのです。

 もし、これが本当ならば、帰国を控えた保護者の皆さんは十分注意が必要です。と言うのは、同じ「帰国子女受け入れ校」でも、帰国した子供への対応が千差万別だからです。個別授業などでの学習適応や常駐カウンセラーによる生活適応などで手厚く帰国子女をケアしてくれる学校から、国内児童生徒の募集不足分を帰国生徒で埋めるだけの学校まで、「帰国指導」と称しても大きな開きがあります。

 2002年の「ゆとり教育」の導入以降の、サバイバルをかけた私立学校の教育プログラムの多様化に加えて、帰国子女受入れプログラムの大きな違いが、その学校の受け入れ体制の特徴になります。

最新の動き

 受け入れに積極的な学校は、子供たちに「海外の教育で身に付けてきた望ましい特性」を期待しています。海外経験のない子供たちに良い影響を与える役割を、帰国子女に担って欲しいのです。
 さらに、新しい動きとしては、「帰国生の持つ望ましい特性をさらに高度なものに伸ばす」ことです。例えば、英語力を伸ばすだけではなく、アメリカの大学進学を視野に入れた、主要科目の英語での授業があります。これらのクラスを他の学校との差別化に使おうとしています。



 公立・私立を問わず、現在の日本の学校教育の変化は、お父さんとお母さんの経験では計れません。ご自分たちのイメージだけで子供の学校を選ぶことがないように、学校の情報を収集することが、帰国に当たっての親の仕事の第一歩です。