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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

アメリカの大学は難しいですか?

アメリカの大学が、日本に比べて「難しい」と言われるのはなぜ?

松本輝彦(INFOE代表)

日米の大学の歴史を見ると、そのイメージの根拠がわかります。

日本の大学の歴史

日本の大学・大学制度は、明治時代に学問・産業の先進国ドイツの大学をモデルとして作られました。

その当時の大学へは、極めて少数の若者が進学し、学業と社会的な資質も養成する超エリート教育が行われました。総人口に比べて学生の数が極めて少ないので、その教育費のほとんどを、税金・社会全体で負担することができました。

教育は、教授が専門知識を講義形式で学生に伝える方法で行われました。先生が研究する姿・方法を見せて、学生が見習う方法で研究者を育てました。まさに、「親方の技術を弟子が盗む」という、ドイツの職人養成のための徒弟制で大学教育も行われていました。学生は、強制ではなく、自主性を重んじられて、自由な環境・雰囲気の中で学問・研究を進めていきました。

しかし、大学進学率が50%に迫るようになって、日本の大学も急速に改革を進め、アメリカ的なカリキュラムの導入や授業の充実を図っています。しかし、その改革を進めている教授陣のほとんどが伝統的な日本(ドイツ)の大学教育の中で育てられてきたので、授業や研究の指導などで「徒弟制」に近い姿勢・方法がまだ多く残っているのが現状です。

アメリカの大学の歴史

アメリカの大学はイギリスの大学を直接のモデルとして作られましたが、その基本的な教育はドイツの大学とほぼ同じ考え方・方法を採用していました。

しかし、第2次世界大戦後、アメリカの大学は大きな変化を遂げます。アメリカにおける大学教育の大衆化で、能力に幅のある多くの若者が大学で学び始めたのです。

それまでの徒弟制的な教育方法では、急激に増加する大学生の教育に対応できなくなりました。多くの大学生に専門分野の知識を与え、研究の能力を高めるような、システマティックな教育内容と方法が必要になってきたのです。

まず、教育の内容と方法がしっかりしたカリキュラムに従った授業が展開されました。大人数の講義で基本的・専門的な知識を与え、少人数のディスカッション・クラスでその知識の理解を深める、というアメリカの大学の典型的な授業の形がここで作られました。大学が、アカデミックな知識や能力を効率よく教え込む、「厳しい」トレーニングの場となってきたのです。

そこでは、学生の自主性に任せた学習ではなく、プログラム化された教育内容・科目を、宿題・課題も多く評価も厳しい授業で、学生は学んでいきます。研究者教育も、専門知識の伝達だけではなく、研究能力・スキルの養成に中心をおいたトレーニングとしてプログラム化されました。

改革を経たアメリカの大学教育は、世界中から留学生を集めていることからも明らかなように、世界の国々の現代的な高等教育のモデルになっています。

最近の動向

1、大学進学率の増加
先進国で、大学で学ぶ人の数が急激に増加しています。

大学進学率で見ると北欧の国々では80%、韓国83%、台湾では何と93%に達しています。世界の国々の大学教育への期待に比べると、日本の4年制大学進学率5割は決して高いわけではありません。 

各国では、その大量の大学生のための教育費の負担が深刻な問題になっています。日本やアメリカの公立大学では、授業料を税金でどこまでサポートできるのか?税金の補助のないアメリカの私立大学の授業料はどこまで上がるのか?

2、グローバル化
大学教育のグローバル化が、質・量の両面で急速に進んでいます。

世界中の大学で留学生の数が増えています。日本政府の「留学生30万人計画」では、大学・大学院生約300万人の1割を留学生にするのが目標です。

また、先進国の大学の教育の内容や質を評価した「世界の大学ランキング」が現れ、大学に影響を与え始めました。米英の大学が上位を独占しており、日本の有名大学といえども200位以内に入るのがやっとです。日本の大学は、世界中からの留学生の減少、日本の高校卒業生の欧米大学への大量流出などを懸念しています。


(2009年10月1日号掲載)