学ぶ・育てる
Study

アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

日本の公立中高一貫校への進学を考えています

日本の公立中高一貫校への進学を考えています。最近の状況は?

松本輝彦(INFOE代表)

受験者が増加し、入学が難関化進学実績が向上した学校も出現

公立校の中高一貫教育は1999年に3校(宮城・岡山・三重県)で始まりました。そして、2010年には国公立中高一貫校は192校まで増えます。そのうちの中等教育学校32校、併設型77校では、中学入学時に選抜検査が課されます。 
この1年間の公立中高一貫校の報道を紹介し、現状を考えてみましょう。


国立大学の現役合格者増加
中高一貫教育を始めた公立高校が、国立大学への現役合格者数を増やしている。滋賀県立守山高校は、過去5年間で浪人2人だけだった京都大学合格者が、09年は現役3人に増加した。また、岡山県立岡山操山高校は、5年間で1人だったが、この08年から続いて4人ずつと東京大学の合格者を出している。(4/13)

 
「中高一貫教育の利点を活かして、6年間を通じた特色ある教育課程」(文部科学省)のすばらしい結果としての、大学進学実績の飛躍的な向上! と、好意的に評価できます。特に、ここで紹介されている地方の公立高校の生徒たちに、そのような結果を生み出せる勉強の新しい機会を与えられることは、すばらしいと思います。ただ、公立中高一貫校新設が、私立進学校対抗のためだけではないことを願います。


新しい受験層が誕生 
進学塾の推計によると、09年春に首都圏1都3県で私立・国立中学を受験した小学校6年生は5万人程度だった。また、公立中高一貫校の中学受験者は約1万6千人で、その約2割が私立・国立の併願をしているとのことだ。中高一貫の公立中学だけを受験する小学校6年生が1万人以上出現し、新しい受験者層が生まれてきたようだ。(4/13)

 
競争が激しく授業料も高い私立をあきらめて公立だけ受験した6年生(保護者)もいるでしょうが、ほとんどが「公立だから受けてみよう」という、私立中学受験者の2割にも達するほど多くの新しい受験者層の出現です。 
昨年の入試は経済危機の直後でした。そのため、国公立大学の受験者数増加ともあわせて、新受験者層の出現は「経済的理由」が大きいと考えられます。日本経済の飛躍的な向上が見られなかった1年後、今年春の受験者数はどうなるでしょうか?


難関化する公立中高一貫校 
公立の中高一貫校は、考察力や表現力を求める「適性検査」で入学者の選考を行っている。09年度の選考では、千葉県立千葉中学の17倍を始めとして、大学進学実績の高い高校に併設した中学などの競争率が10倍を超えた。(5/10)

 
進学校へ続く中学の競争率が高いのは、保護者の大学進学への夢と希望を反映しているのに間違いありません。それも中学は無料、高校は格安の授業料で可能になるのなら!
その一方、子供にとっては、「適性検査」を受ける準備が大変です。小学6年生に10倍の競争率! 私立中学のような「学力検査」向けの塾ではなく、「考察力や表現力」を鍛えてくれる塾に通うことになります。もし、私立も併願するならば、両方の塾?


中高一貫校から転校?
千代田区立九段中等教育学校では、中学段階を終えた生徒の1割強の生徒が、「学習態度に問題がある」などの理由で学校に勧められて、ほかの高校に進学していたことがわかった。(9/5)

 
前半の3年の勉強に問題があるとして、多くの生徒が他の学校への転校をすすめられたとの報道です。「6年間でゆとりを持って教育」する中高一貫校の責任は? また、学力を理由に退学(?)に等しい処分は、公立の学校の教育として許されるのか? などの疑問が、次々と出てきます。
「やはり、私立中高に対抗して進学実績を上げるための公立中高一貫校でしかなかったのか」と、ネガティブな印象を抱いた保護者もいると思われます。中高一貫教育の陰(?)が見えた出来事でした。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

公立の中高一貫校は、文部科学省の強い後押しもあるので、今後もその数を増やしていくことになります。
お子さんの学校のチョイスが増えることは、教育の多様化が進んでいる現象のひとつでもあります。そんな時代の子供の教育に大切なのは、保護者の「教育観」と「教育での決断」です。頑張ってください。
(出典: www.asahi.comの09年の報道より)


(2010年2月1日号掲載)