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Study

アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

スペインからアメリカに転勤。学校は英語? 日本語? それとも・・・

スペインから赴任してきた小学生の息子を持つ親です。スペインには4年間滞在し、息子には主に日本語とスペイン語を中心に学ばせてきましたが、英語はまったく話せません。アメリカでの小学校は現地校にするか日本の学校にするか迷っています。日本の学校も周りにはないため、できたら現地校に通わせたいのですが、息子の言語形成に支障が出るようなら日本語校でもと迷っています。

松本輝彦(INFOE代表)

スペイン語のアドバンテージ活かし
3つの言語を伸ばしてみては

 現地校か日本人学校か、この選択は渡米直後の親にとって大変悩む、初めての海外子女教育の問題です。ご相談のご家庭の滞米予定は、何年くらいでしょうか?

現地校では英語習得に
スペイン語が役立つ


 ご相談のお子さんは、スペイン語と日本語で教育を受けてきて、英語での教育もスタートするという、興味深いケースです。
 お子さんの年齢や日本語とスペイン語の習得の程度がはっきりしませんが、南カリフォルニアの公立学校で学ぶならば、スペイン語が大きな武器となって、英語の習得が助けられることは間違いありません。理由は簡単。英語の十分にできない児童生徒のサポートをする先生のほとんどがスペイン語と英語のバイリンガルだからです。スペイン語のイマージョン教育をしている公立校さえあります。ラテンアメリカで使われているスペイン語とスペインで使われている言葉の違いは多少あるとしても、スペインで4年間生活した経験と習得した言葉は、勉強に友達作りにと、大いに役立ちます。日本から直接来た子供に比べて、大きなアドバンテージになります。

 現地校へ入れた場合は、週5日学校に通い、そこでの学習言語である英語を、読み書きのレベルまで上げるように努力することが第一です。スペイン語でのサポートを受けながら、そのレベルまでの英語習得に努力します。スペイン語が日本語よりも英語により近い言語であるので、日本語だけしかわからない日本から直接渡米した子供に比べて、英語習得はより早いと思われます。

言語形成に支障?
高学年なら考慮必要


 海外で生活する子供にもっとも大切なことは、読み書きが十分できる学習言語を、少なくとも1つ獲得することです。それが第1言語で、子供が抽象的に思考する道具になります。「言語形成に支障が出た」というのは、15歳くらいになった時に学習言語が身についていないことです。日本語と英語を学習言語のレベルまで獲得したケースを「バイリンガル」と、私は呼びます。

 お子さんが小学校の低学年ならば、学校では話し言葉中心の勉強をしていますので、どの言語も学習言語になる可能性があります。高学年、例えば5〜6年生ならば学校選択に当たり、十分な考慮が必要です。選んだ学校で学習に使う言葉が、その子供の学習言語になります。スペイン語での読み書きのトレーニングも相当なレベルまで達しているはずですが、日本語、英語での読み書きのキャッチアップには努力が必要です。子供の努力と親のサポートの覚悟を、少なくともご両親がしっかりと認識する必要があります。

スペイン語での学習を
続ける努力を


 ご家族の滞米の予定、ご両親の教育方針と希望などもお聞きしないと、これ以上の具体的なアドバイスはできません。しかし、あえて一言。

 まず、スペインでの経験・学習をポジティブにとらえて、英語の世界にチャレンジさせてください。これは、新しい土地・文化への適応の鍵です。たとえ日本人学校を選んだとしても、アメリカ社会での経験は非常に貴重です。そのためにスペイン語がいかに有効で、スペインで「宝」を手に入れたのだということを、お子さんに自覚させてください。
 次に、日本語・英語のどちらを選ばれても、スペイン語による学習も必ず続けてください。日本語・英語での学習能力が十分キャッチアップするまで、スペイン語での学習能力も伸ばしていく必要があります。
 最後に、スペイン語・英語の選択とは別に、家庭ではしっかりと日本語を使い、補習校などに通わせて日本語での勉強を続けさせてください。それが母語の形成であり、お父さん、お母さんの持つ文化の継承なのですから。大変ですが、3つの言語の習得にチャレンジしてもいいのではないでしょうか。