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Study

アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

中学生の娘に、より優れた教育を受けさせたい

現地校に通うもうすぐ中学生の娘を持っております。中学校に通うにあたり、ただ学校区の定められた中学校だけでなく、より優れた教育を受けられる選択肢が多くあると聞きました。こういった情報はどうやって得られるのでしょうか?

松本輝彦(INFOE代表)

「一人ひとりの力を伸ばす」を
モットーに公立学校にも様々な選択

 現地校は校区制を採用しています。まず、あらかじめ決められた学校の通学区域に居住する児童生徒が、その学校に通学できます。次に通学区域内に住んでいなくても、保護者の勤務先がその校区内にあれば通学できます。
 「児童生徒一人ひとりの力を伸ばす」がモットーのアメリカでは、様々な個人の能力に応じた教育が見られます。ご質問の「優れた教育」は様々な意味に取れますが、ここでは公立の学校でも提供されている「該当学年のレベル(grade level)を越えた教育」を中心に紹介します。

小学校の英才教育
GATEプログラム


 小学校段階の子供たちを対象とした、公立の学校の英才教育の1つがGATE(Gifted and Talented Education)プログラムです。学校の日々の教科活動の中で、「この子は特別な才能がある」と担当の先生が認められた子供が、教育心理の専門家の評価を受けて、学校区によりGATEの子供として認められます。
 GATEクラスは、1つの学校の中にそのようなクラスを作ったり、決められた曜日・時間にいくつかの学校から子供たちを1つの学校へバスで集めてクラスを開いたりします。夏休みの間に特別クラスが組まれることもあります。しかし、クラスの内容や方法は、その学校区の財政状態により大きく変わります。

教科ごとに設けられた
習熟度別クラス


 習熟度が進んでいる子供の指導は日常的に行われます。小学校の場合、例えば、3年の算数のクラスの中に4年生以上の内容をすでに学んでいた子供がいると、同じ算数の時間に教室内で別のグループを作り、進んだ内容の教科書を使わせたりして、別途に指導をします。
 中学、高校になると、同じ教科のクラスでも習熟度別クラスがあり、子供の実力に応じた、よりレベルの高い学習をさせています。中学校では、一般のRegular Classに対してAdvanced Classなどと呼ばれます。高校では Regular、Honors、AP(Advance Placement)クラスとレベルが高くなります。
 前の学年のその科目の成績や先生の推薦などを元に、受講許可の是非が決められます。小学生の時にGATEと認められた場合に、受講が許可される場合もあります。

特定分野の学習に重点
マグネット・スクール


 ロサンゼルス学校区(Los Angeles Unified School District)のように大きな学校区では、理数・医学・アート(美術・音楽・演劇など)などの特定の分野の学習に重点を置いた学校、主に高校を設立しています。私の教え子は、美術のマグネット・スクール(Magnet School)に通っていました。午前中は普通の学校で学習する内容と同じものを勉強しますが、午後の時間中、絵を描いたり彫刻を作ったりして美術に費やします。
 このような学校に入るには、学校区の様々なルールを満たしたり、学校独自の選考をパスすることが必要です。この形式の学校やプログラムは大変人気があり、希望者のウェイティングリストがあるのが普通です。入学希望の1、2年前から準備が必要のようです。

地域住民で運営する
チャーター・スクール


 地域住民が自分たちの子供のニーズに合った教育をするために、設立・運営するのがチャーター・スクール(Charter School)です。学校区などの公的組織が設立しないので私立学校のようですが、授業料を州政府が税金から捻出しますので、公立学校の性格も持っています。設立の動機は、保護者の地元公立学校での教育への不満が主です。そのため、公立校以上のアカデミックな実績を目指す学校、公立校では法律等の制約があり提供できないバイリンガル教育を目指す学校が、多く見られます。
 チャーター・スクールは、カリキュラム、実績、財政状況など、非常に多様性に富んでいます。そのため、選択に当たっては、十分調べることが必要です。