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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

中2の長男の補習校の学習が 続きません。今後、どうすれば?

中2の長男の補習校の学習が続きません。今後、どうすれば?

松本輝彦(INFOE代表)

日本語の基礎はほぼ完成。将来のために、現地校の学習を大切に。

ある質問

在米8年になります。この 先、特に帰国の予定はありませ んが、できれば子供たちには日 本の大学に進学してもらいた いと思っています。

最近、中2の長男が思春期 ( 反抗期?)に入ったらしく、 補習校の宿題等が以前のよう にうまく進んでおりません。補 習校の先生とも、どのように学 習を進めたら良いのか暗中模 索の状態です。

現地校ではちゃんと宿題も 提出し、成績も取れています。

質問への回答

私の回答は、「補習校を辞め ても仕方ありません。しかし、 次に述べるような約束を、お 子さんと交わしてください」で す。

「日本語での読書を増やす」
日本語での知識を獲得する 最も効果的な方法は、日本語の 本の読書です。日本語での知 識、さらには日本人としての常 識・文化的な力を伸ばします。

「現地校の成績を上げる」
現地校の学習・成績は、今後 のお子さんの学業・進学の成功 への鍵です。また、英語での知 識・学力が日本語での能力に大 きな力を発揮します。
 
◇  ◇  ◇  ◇
 回答の根拠をご紹介します。
■中学生:補習校が続かない
中学生になって、日本語での 勉強が続かなくなって、補習校 を退学する。

実は、中学生が、現地校での 英語での勉強と並行して日本 語での学習を続けてきた子供 (保護者)が、補習校を退学する 最も一般的な時期です。どの補 習校でも見られる現象で、それ ぞれの補習校の小学生と中学 生の生徒数を比べればはっき りします。

中学生になって日本語での 勉強が続けられなくなる理由、 また、補習校を退学する理由 は、子供・家庭の事情によりさ まざまです。しかし、日米の学 校の小学校と中学校の勉強の 目的の違いが、その理由の根底 になっています。

■小学校での学習
小学校段階での学習の大き な目的の1つは「言語の習得」、 具体的には「話す聞く」から「読 み書き」の能力の完成です。

低学年の「話し言葉中心の学 習」「文字の導入」から、高学年 の「読み書き」能力の完成まで の学習ステップを通じて、第1 言語の習得を目指します。日米 どちらの小学校でも、高学年に なると読書量が増えて、作文・ エッセイで苦労する子供が多 くなります。

補習校でも、国内の学校と同 じカリキュラムで日本語を学 びます。この時期を補習校で学 んだこのお子さんは、読み書き も含めた日本語の基礎がほぼ 完成していると思われます。

■中学・高校での学習
日本(補習校)の中学校以降 の学習は、言語としての日本語 ではなく、日本語での知識や学 力の獲得が目的です。そして、 知識・学力の量と質は、学年と 共に飛躍的に増大していきま す。それは、日本の中学・高校 の学習内容を振り返ればはっ きりとわかります。

また、現地校の中学・高校で の学習もまったく同じ状況で す。ご相談のお子さんは、現在 中学2年生(現地校7〜8年) とのことですが、今後、現地 校での勉強は学年が上がるに 従って学習の質量共により厳 しくなってきます。習熟度別の クラスが多くなり、生徒の学習 レベル・能力に応じた学習が要 求されます。

すなわち、現実的には、中学・ 高校のレベルのすべての学習 内容を、日本語と英語で学ぶこ とは不可能ということです。

■大学進学
アメリカの日本人高校生が、 日本・アメリカを問わず、大学 に進学するためには、現地校で の学習・成績が最も大切です。

日本の大学への進学に当 たっては、「帰国子女大学入試」 を受験します。この特別入試 は、海外で学んだ日本人を対象 としています。この特別入試を 実施する大学は、語学力・海外 生活体験・現地高校で得た学力 など、国内受験生が持たない、 海外の学校で学んだ受験生だ けが持つ能力や特性を求めて います。日本語だけで授業を行 う大学・学部は基礎的な日本語 能力を求めますが、補習校の中 学校で学んだ基礎があれば十 分です。また、最近は英語のみ、 あるいは英語での授業が大半 の受け入れ大学・学部が多くな りましたので、入学後の日本語 力を必要以上に心配すること はありません。

アメリカの大学に出願・進学 の可能性のあるお子さんの場 合、現地校での学習・成績が最 重要なのは当然です。

(2010年7月1日号掲載)