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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

子供がレポート作りで苦戦。レポート指導の目的と対策は?

子供がレポート作りで苦戦。レポート指導の目的と対策は?

松本輝彦(INFOE代表)

「調べて、書く」トレーニング。レポートの「型」を身に付ける。

レポート?

アメリカの学校で必ずト レーニングされる「レポート」 は、「調べた事実や内容、それ に対する自分の考察・考え・感 想をまとめた文章」のことで す。

読書後に感想を書かせたり、 内容を分析させたりする「ブッ クレポート」と区別してくださ い。

また、「考えて、書く」のが エッセイで、「調べて、書く」の がレポートだと理解してくだ さい。

小学校での練習

小学校でのレポート作成指 導は、レポートの「型」と「方法」 をしっかり身に付けさせるの が目的です。

「考えて、書く」エッセイと並 行して、「調べて、書く」レポー ト作成のトレーニングが始ま ります。

最初のステップは、3年生く らいで、半年から1年かけて、 先生の指導に従って、表紙・内 容・まとめ・感想とレポートの 内容を徐々に仕上げていきま す。この段階では文字よりも 絵・写真・サンプルなどを決め られた大きさの用紙に書いた り貼り付けたりして、1ページ ずつ作っていきます。最後に、 それらを綴じこんで1冊の本 (ノート)にして、レポートの完 成です。レポートの「型」と作 成のステップ・内容を、子供が 身体で覚えていきます。

次は、自分の住んでいる州の 地理や歴史の学習の一環とし てのレポートの作成です。カリ フォルニアの4・5年生が作る 「ミッションレポート」がその 例です。キリスト教伝導のため に、南から北へと建設された 21 のミッションをたどることに より、ヨーロッパ人による開拓 初期のカリフォルニアの歴史 が概観できます。子供たちは、 1つのミッションを選び、1年 かけてそのミッションについ てのレポートを作成します。

レポートの全体構成を示す 目次が、先生より渡されます。 表紙にミッションの絵を書き 上げ、地図を示し、建設の歴史 や建物の特徴を文章にまとめ ます。最後に、子供自身の考察 や感想を書いて完成です。選ん だミッションの調査は、イン ターネット・図書館や自分で購 入した資料を活用します。さら に、ミッションを訪問し、資料 を集めたり子供自身が写真を 撮ったりするのに、家族全員が 協力します。子供によっては、 自分のミッションの大きな模 型を作って、レポートの一部と して提出する場合も多くあり ます。

小学校の最後は、アメリカ合 衆国全体の学習の一部として の「State Report」の作成です。 さまざまな方法がありますが、 1つの州を選んで、その地理や 歴史、さらには現状を調べまと めます。あるクラスでは、自分 の選んだ州の観光局に子供自 身が手紙を書いて、観光用の資 料を送ってもらいます。その資 料の中の写真・絵・地図・図表 を活用して、レポートをまとめ ました。

中学・高校での練習

小学校でのレポート作成ト レーニングを基礎として、中学 校では「調べる」、調べた結果を 「まとめて書き上げる」スキル の向上が中心となります。口頭 で発表する「プレゼンテーショ ン」のトレーニングも始まりま す。そのトレーニングは、すべ ての教科の学習の中で行われ ます。英語・社会・理科はもち ろんのこと、最近では数学でレ ポートを作成させる学校も見 受けられます。

高校になると、「レポート が書ける」のを当然として、レ ポート課題が出されます。指導 の中心は、「調査の方法や内容 が十分で、考察ができている か」「読者が理解できるような、 より効果的なレポートが書け ているか」など、より高度な指 導が行われます。

帰国生の「宝」

アメリカの学校で学んだ子 供が日本に持ち帰る「宝」の1 つが、レポート作成能力です。 「レポートって、何を、どう書 いたらいいんですか」と質問す る日本の大学生に、レポートは 書けません。日本の学校では指 導されることのない能力を、お 子さんは身に付けているので す。

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このコラムは、レポートの一 般的な内容や指導方法を、保護 者の皆さんに理解していただ く目的で、まとめてみました。 ここで説明したレポートの構 成や狙いを、お子さんに日本語 でお話ししてあげてください。 お子さんのレポート理解の参 考になると思います。

(2011年1月16日掲載)