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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

日本の学力が、世界と比べて向上? なぜ世界と比較?影響は?

日本の学力が、世界と比べて向上?なぜ世界と比較?影響は?

松本輝彦(INFOE代表)

PISAは学力のグローバルスタンダード。日本・世界の政府が注目

PISA 2009

PISAは、身に付けた知識や技能を実生活で活かせるかをみるための国際学力調査で、読解力・数学・科学の3分野で3年に1度実施されています。

世界65カ国・地域の15歳男女約47万人を対象に、2009年に実施したPISAの結果を、経済協力開発機構(OECD)が10年12月に世界で同時に発表しました。

日本では09年6〜7月、全国から抽出された185高校の1年生約6千人を対象に実施されました。

国際比較- 順位

国際比較(分野別順位)では、3分野とも、初参加の上海とシンガポール、さらに韓国、香港が、参加65カ国、地域中の最上位を占めました。特に、地域として初参加の「上海」が全分野1位となったのが印象的です。

欧米の国としては、フィンランドが読解力(3位)と科学的リテラシー(2位)と、03年、06年に続いて健闘して上位5位に入っています。

日本は、アジア諸国に遅れを取るものの、最上位に続くグループの成績を示しています。

アメリカの3分野の順位は、これらの国々に大きく遅れを取っています。特に数学的リテラシーは、全参加国の平均がやっとという状態です。

日本の順位の変化

日本は第1回以降、2回、3回と順位を下げ、学力低下が問題になりました。しかし、今回は「総合読解力」が前回の15位から8位になり、初回の水準に回復しました。ただ、「数学的応用力」は9位(前回10位)、「科学的応用力」は5位(前回6位)と横ばいでした。

この結果を踏まえて、文部科学大臣は「読解力を中心に我が国の生徒の学力は改善傾向にある」と述べています。しかし、日本はアジアの国々の比較で3分野共に下位にあり、1回目の順位と比べると「下げ止まり」の状態にあります。

学力のグローバル化

この4月から日本の小学校で完全実施される学習指導要領では「ゆとり教育」が見直され、学習の量と質が高められます。その変更の理由の一つが、日本が理数でトップ級から転落するなど過去2回の結果で学力低下を指摘された「PISAショック」です。

このショックを受けて、PISAの模擬試験として毎年、小・中学校で「全国学力調査」が実施されています。また、日本の生徒が読解力試験で弱いとされた「文章を熟考・評価して、その意見を書き表す力」の向上を、新指導要領で大きな目標としています。

日本同様、アメリカも含めた世界の政府が「学力向上」との掛け声で、このPISAの順位を上げるのに躍起になっています。PISAが「学力のグローバルスタンダード」となってきました。

OECDは「世界の自由経済の発展」を掲げる組織です。「経済」同様、そのOECDが実施するPISAは「学力のグローバル化」の指標として、今後さらに大きな力を発揮することになるのでしょうか。


(2011年4月1日掲載)